U23は小林海が制す「自信があった」西薗良太が4年ぶり栄冠  與那嶺恵理は圧勝 全日本選手権個人TT詳報

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 東京都大島町で6月24日に開催された全日本選手権個人タイムトライアル(TT)で男子エリートを制したのは2012年優勝の西薗良太(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)だった。6月3日、ツアー・オブ・ジャパン富士山ステージで日本人最高タイムをたたき出し、3週間後の平地でも快走を見せた。女子エリートはディフェンディングチャンピオンの與那嶺恵理(ハーゲンスベルマン・スーパーミント プロサイクリングチーム)が前にスタートした萩原麻由子を抜き、2位に37秒差の圧勝で2連覇を決めた。

男子個人TTエリートの表彰。左から2位の佐野淳哉(マトリックスパワータグ)、優勝した西薗良太(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)、3位だった増田成幸(宇都宮ブリッツェン)男子個人TTエリートの表彰。左から2位の佐野淳哉(マトリックスパワータグ)、優勝した西薗良太(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)、3位だった増田成幸(宇都宮ブリッツェン)

「研究を繰り返した」

速く、安定したペースを刻み優勝を果たした西薗 Photo: Shusaku MATSUO速く、安定したペースを刻み優勝を果たした西薗 Photo: Shusaku MATSUO

 会場は大島の海岸線を走る1周11.2kmのコースで、男子エリートが3周、女子が2周、U23は1周で争われた。比較的平坦基調なコースで、天候はくもり。風は穏やかで、雨は降らなかった。

 男子エリートはコースを3周する33.6kmで争われた。出走する選手は2組に分けられ、前半では鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)が43分55秒67の好タイムを出してトップに立った。1時間ほど空き、昨年優勝の中村龍太郎(イナーメ信濃山形)や、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、西薗ら競合が集まる後半組が始まると次々にタイムを更新。実力者たちが前評判通りの実力を発揮した。

絞り込んだ身体で臨んだ増田成幸(宇都宮ブリッツェン) Photo: Shusaku MATSUO絞り込んだ身体で臨んだ増田成幸(宇都宮ブリッツェン) Photo: Shusaku MATSUO
パワーを生かしたライディングをみせたが、惜しくも2位だった佐野 Photo: Shusaku MATSUOパワーを生かしたライディングをみせたが、惜しくも2位だった佐野 Photo: Shusaku MATSUO

「今大会に照準」仕上げてきた西薗

 安定した走りを見せたのは西薗で、1周目から好タイムを刻んだ。平地というコンディションを生かし、パワー系ライダーの佐野淳哉(マトリックスパワータグ)も続く。身体の絞れ具合から良いコンディションと見てとれる増田も優勝を狙えるポジションをキープした。

 最終ラップに入っても西薗のペースは落ちず、エアロポジションを崩すことなくトップタイムでフィニッシュした。唯一の42分台で、他を寄せ付けない勝利となった。

「TOJ富士山ステージを日本人レコードタイムだったことが自信となった」と語った西薗 Photo: Shusaku MATSUO「TOJ富士山ステージを日本人レコードタイムだったことが自信となった」と語った西薗 Photo: Shusaku MATSUO

 自身2度目の優勝を果たした西薗は「ツアー・オブ・ジャパン(TOJ)の富士山ステージを日本人レコードタイムで完走したときから自信はあり、今大会は勝ちたいと思っていた。研究を繰り返し、身体も仕上げてきた」と話した。

 また、「2013年で一旦引退した際は強くなる兆しがあるなかでストップした。やり残したことを果たしたい」と今後の活躍を誓った。また「26日のロードレースはチームで勝利を目指したい」と続けた。

與那嶺「前の選手を捕まえるのは必須」

 女子の注目は昨年優勝を飾った與那嶺と萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ)の戦い。お互い海外のUCI女子ワールドチームに所属する実力者が揃った。レースはコースを2周する22.4kmで争われた。

女子TT表彰台。左から2位の梶原悠未(筑波大学)、優勝した與那嶺恵理(ハーゲンスベルマン・スーパー ミント プロサイクリングチーム)、萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ) Photo: Shusaku MATSUO女子TT表彰台。左から2位の梶原悠未(筑波大学)、優勝した與那嶺恵理(ハーゲンスベルマン・スーパー ミント プロサイクリングチーム)、萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ) Photo: Shusaku MATSUO
2位以下に30秒以上のタイム差をつけて優勝した與那嶺 Photo: Shusaku MATSUO2位以下に30秒以上のタイム差をつけて優勝した與那嶺 Photo: Shusaku MATSUO

 スタートから與那嶺、萩原が快調なペースを刻むが、続く梶原悠未(筑波大学)が好タイムで1周目を終えた。

 ディフェンディングチャンピオンの與那嶺は、1分前にスタートした萩原に迫り、最終ラップにオーバーテーク。昨年に続き優勝を飾った。一方、2位にはジュニアからカテゴリーを上げたばかりの梶原が入る健闘を見せた。

2強の一角に割って入り、2位になった梶原 Photo: Shusaku MATSUO2強の一角に割って入り、2位になった梶原 Photo: Shusaku MATSUO

 連覇した與那嶺は「勝つことしか考えていませんでした。前の選手を捕まえるのは必須で、追いついてからはリスクを取らず、深呼吸しながら走りました。2回目の折り返しで前の選手とのタイム差を計り、優勝を確信しました」。自信を持って臨んだことを明かし、26日のリオ五輪代表をかけるロードレースを前に幸先の良い勝利を飾った。

「勝ち以外ない」と話し、有言実行した與那嶺 Photo: Shusaku MATSUO「勝ち以外ない」と話し、有言実行した與那嶺 Photo: Shusaku MATSUO
萩原のスタート Photo: Shusaku MATSUO萩原のスタート Photo: Shusaku MATSUO

U23はスペインから帰国の小林が制す

 U23男子は昨年準優勝の山本大喜(やまもと・まさき、鹿屋体育大学)、3位だった小林海(こばやし・まりの、Team KOUTA C.PAULINO)、また、Jプロツアー「奈良クリテリウム」を制した小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)らがエントリーリストに名を連ねた。レースは11kmのみで、短期決戦の様相を呈した。

「残り1kmで勝ちを確信した」と語った小林 Photo: Shusaku MATSUO「残り1kmで勝ちを確信した」と語った小林 Photo: Shusaku MATSUO

 まず、レース中盤にスタートした小野寺が46km/hの平均速度を上回るタイムを叩き出し、基準タイムを作った。U23ナショナルチームメンバーの岡本隼(日本大学)や、学生個人TTを制している池邉聖(慶應大学)らはこれを上回ることができない。

 小野寺を上回るタイムでゴール地点に戻ってきたのは岡篤志(弱虫ペダルサイクリングチーム)で、頭を低く構えたエアロフォームを駆使し、小野寺から4秒先着し暫定トップに躍り出た。しかし、小林はそれを6秒上回るタイムでフィニッシュ。スペインのTTでも結果を残してきた小林が初のタイトルを手にした。

好調さをアピールし、3位に入った小野寺 Photo: Shusaku MATSUO好調さをアピールし、3位に入った小野寺 Photo: Shusaku MATSUO
低いフォームで好タイムを出した岡 Photo: Shusaku MATSUO低いフォームで好タイムを出した岡 Photo: Shusaku MATSUO

 小林は「前半は小野寺のタイムを基準にして走った。残り1kmに入ってから踏み切れば勝てると確信した。いまはロードレースで勝つことしか考えていない」と話し、初のタイトル獲得を喜ぶと同時に、翌日のロードを見据えていた。また、「5月に肘と手首を骨折しているため、当初は走れるかわからなかった。結果が出てホッとした」と続けた。

U23男子表彰。左から岡篤志(弱虫ペダルサイクリングチーム)、小林海(Team KOUTA C.PAULINO)、3位の小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)U23男子表彰。左から岡篤志(弱虫ペダルサイクリングチーム)、小林海(Team KOUTA C.PAULINO)、3位の小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)


男子個人TTエリート結果
1 西薗良太(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) 42分57秒29
2 佐野淳哉(マトリックスパワータグ) +26秒
3 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +51秒
4 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) +58秒
5 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) +1分26秒


女子個人TT結果
1 與那嶺恵理(ハーゲンスベルマン・スーパー ミント プロサイクリングチーム) 31分47秒10
2 梶原悠未(筑波大学) +37秒
3 萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ) +1分1秒
4 上野みなみ(CIEL BLUE KANOYA) +1分17秒
5 坂口聖香(パナソニックレディース) 1分21秒


U23男子TT結果
1 小林海(Team KUOTA C.PAULINO) 14分21秒51
2 岡篤志(弱虫ペダルサイクリングチーム) +6秒
3 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) +10秒
4 池邉聖(慶應義塾大学) +25秒
5 眞砂英作(明治大学) +26秒

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