産経新聞【輝く リオ五輪 和歌山県出身の選手たち】より「大舞台で最高の走りを」後輩がエール トラックレースの窪木一茂選手

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リオデジャネイロ五輪に出場する自転車の窪木一茂選手。後輩たちの期待を背負う(永原慎吾撮影)リオデジャネイロ五輪に出場する自転車の窪木一茂選手。後輩たちの期待を背負う(永原慎吾撮影)

 風を切るように走り、スピードを競い合う。平成27年まで和歌山県職員だった窪木一茂選手(27)。大学時代の後輩で、半年前までは同僚でもあった県教委スポーツ課の橋本凌甫さん(24)は、とことん勝負にこだわる、ストイックな性格の窪木選手の背中を追い続けてきた。大舞台に臨む窪木選手に橋本さんは「最高の走りを見せてほしい」と期待を寄せている。(産経新聞和歌山支局・永原慎吾)

 昨秋の「紀の国わかやま国体」の自転車ロードレース。硬いアスファルトの上を自転車で疾走する一人の男性は、優勝を確信すると、ユニホームに記された「Wakayama」の文字をアピールし、空に向かって右腕を突き上げた。「やっぱり勝ってくれた」。橋本さんは、自転車競技の県勢総合優勝を牽引した窪木選手の活躍をこう振り返る。

 2人の出会いは、自転車の強豪校として名高い日本大学の自転車部。高校時代から頭角を現していた窪木選手は橋本さんの憧れだったが、上下関係に厳しい部内で2学年も離れていた窪木選手の存在は遠く、親しく話すことはほとんどなかったという。

 だが、橋本さんが大学3年のときに迎えた平成24年のぎふ清流国体(岐阜県)の選手村で再会。すでに和歌山県に入庁し、3年後のわかやま国体で地元での総合優勝を目指していた窪木選手から、「和歌山に来いよ。ぜひ力を貸してほしい」と誘われたという。

 橋本さんは当時、大学卒業とともに自転車競技からは引退しようと考えていたが、憧れの先輩の言葉に心を揺さぶられた。「自分を買ってくれていた。見ていてくれていた」。橋本さんも26年、縁のなかった県へ行くことを決意。窪木選手とともに、国体での総合優勝を目指すことになった。

 県職員としての仕事と練習を両立させる日々。そんな矢先、突然の悲劇が襲う。同じ日大出身で、県勢の一人でもあった和田力選手=当時(22)=が突然の事故死。橋本さんは、和田選手とは同級生でとりわけ親しく、「何も考えられないぐらい、ショック。頭が真っ白になった」という。

 このとき、橋本さんを奮い立たせたのが窪木選手の言葉だった。事故後の合宿で、「あいつ(和田選手)は、ぶっちぎりで優勝すると言っていた。必ず優勝しよう」と鼓舞。その言葉で、消沈していた県勢の結束はより強固になったという。そして、県勢は国体では2位の岐阜、福岡に40点近い差をつけ、総合優勝を果たした。

 普段はクールで、自分の感情を表に出すことは少ないという窪木選手。だが、橋本さんは五輪選考の直前の今年3月、メールで「俺は五輪に行けると思うか」と問われた。窪木選手の五輪への思いの強さと同時に、抱えるプレッシャーの大きさも感じたという。

4月6日、リオ五輪の自転車競技トラック種目の代表選手5人が発表された(右から2番目が窪木選手)=2016年4月6日  Photo: Kyoko GOTO4月6日、リオ五輪の自転車競技トラック種目の代表選手5人が発表された(右から2番目が窪木選手)=2016年4月6日  Photo: Kyoko GOTO

 その翌月、五輪に駒を進めた窪木選手に、橋本さんはこうエールを送る。「ようやく立つことができた夢の舞台。楽しんで臨んでほしい」

 自転車競技 トラック競技場で行われるトラックレースや一般道を走るロードレースなど戦うフィールドによって名称が異なり、さらにそれぞれがいくつかの種目に分類されている。

 窪木選手が出場するのはトラックレースの中で、男子オムニアムと呼ばれる種目。陸上の10種競技のように、複数の種目で構成される競技で、2日間でポイントレースやタイムトライアルなどと呼ばれる6種目に挑み、各種目の順位により与えられるポイントの合計が最も高い選手が優勝となる。

産経新聞・和歌山版より)

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