ツール・ド・熊野2016 第3ステージ大久保陣が逃げ切りで最終ステージを飾る 個人総合はチームUKYO勢がワンツー

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 4日間の日程で行われたツール・ド・熊野(UCIアジアツアー2.2)は、6月19日に和歌山県太地町で最終の第3ステージが行われ、逃げ切った3選手のスプリントを、大久保陣(宇都宮ブリッツェン)が制しステージ優勝を果たした。個人総合時間賞では、第2ステージを勝利したオスカル・プジョル(スペイン、チームUKYO)がリーダージャージを守りきり、総合優勝を決めた。

逃げたメンバーでのスプリントを制し、第3ステージ優勝を果たした大久保陣(宇都宮ブリッツェン) Photo: Syunsuke FUKUMITSU逃げたメンバーでのスプリントを制し、第3ステージ優勝を果たした大久保陣(宇都宮ブリッツェン) Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 今大会の最後を飾るのは、クジラを目玉とする観光振興で知られる太地半島をめぐる、10kmのサーキット。美しい海が眼前に広がるコースを舞台に、10周回100kmで行われた。ポイントは、太地港からの上りや、テクニカルなコーナーが待ち受けるダウンヒルなどで、変化に富んだルート設計だ。

コース脇に美しい海が広がる Photo: Syunsuke FUKUMITSUコース脇に美しい海が広がる Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 前日の第2ステージまでを終えて、総合でトップに立つプジョルと2位のマルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)までのタイム差は9秒。さらに総合8位までがプジョルから27秒、総合10位までが33秒と、土壇場での大逆転の可能性もあり、総合上位陣を抱えるチームにとって、一瞬の気の緩みも許されないステージともなった。

 レースは、スタート直後から激しいアタックの応酬。ガルシアを含め総合上位に3選手が入るキナンサイクリングチームが積極的に展開する。そんな中、3周回目に入って一瞬の隙を突いて6人が逃げを決める。プジョル擁するチームUKYOとキナンサイクリングチームは互いに睨み合いの状況となり、逃げグループには合流できなかった。

3周回目に形成された6人の逃げグループ Photo: Syunsuke FUKUMITSU3周回目に形成された6人の逃げグループ Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 先を急ぐ6人は、メイン集団に対し約2分のリード。一方の集団はチームUKYOがコントロールをしながら、たびたび攻撃に出るキナンの動きをチェックし続けた。

 レース前半に降り始めた雨は、周回を追うごとに強くなっていき、さらには風にも苦しめられる状況に。仕事を終えたアシストや力なく集団から遅れた選手たちが次々とバイクを降りる格好となった。

強まる雨の中、メイン集団を追うマルコス・ガルシア(右)らキナンサイクリングチーム勢 Photo: Syunsuke FUKUMITSU強まる雨の中、メイン集団を追うマルコス・ガルシア(右)らキナンサイクリングチーム勢 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 そして、勝負の行方を左右した決定的瞬間が8周回目にやってくる。ダウンヒル区間でガルシアが落車。強い雨で視界不良の状態で、コースに流れてきた塵を踏んでしまったのか、激しいパンクでバランスを崩し路面に叩きつけられた。タイミングをほぼ同じくして、プジョルらチームUKYO勢がメイン集団をペースアップ。ガルシアを集団に戻したいキナン勢は、リカルド・ガルシア(スペイン)、ウェズリー・サルツバーガー(オーストラリア)、野中竜馬が懸命のアシストを見せるが、その差はなかなか縮まらなかった。

 逃げグループは後方からのプレッシャーを受けながらも粘りを見せ、逃げ切りが濃厚に。ステージ優勝争いは3人に絞られ、最後はスプリントに強い大久保がアイラン・フェルナンデス(スペイン、マトリックスパワータグ)、木村圭佑(シマノレーシングチーム)を振り切り勝利を決めた。

 トップのフィニッシュから19秒後、プジョルを含むグループがフィニッシュ。ライバルの動きに耐え、総合優勝を決めた。さらに約1分後にガルシアらのグループがやってきた。落車の遅れを取り戻すことができず、総合順位も落としてしまう結果となった。

 プジョルは、2週間前のツアー・オブ・ジャパンに続く、国内UCIレース2連勝。チームメートで、前回覇者のベンジャミン・プラデス(スペイン)が総合2位に続き、チームUKYO勢がワンツーフィニッシュを達成。日本勢の最上位は、伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)の総合5位だった。

 その他各賞は、ポイント賞がジョン・アベラストゥリ(スペイン、チームUKYO)、山岳賞がサルツバーガー、ヤングライダー賞は秋田拓磨(シマノレーシングチーム)、チーム総合はキナンサイクリングチームがそれぞれ獲得した。

各賞ジャージの4人。左からヤングライダー賞の秋田拓磨、山岳賞のウェズリー・サルツバーガー、個人総合時間賞のオスカル・プジョル、ポイント賞のジョン・アベラストゥリ Photo: Syunsuke FUKUMITSU各賞ジャージの4人。左からヤングライダー賞の秋田拓磨、山岳賞のウェズリー・サルツバーガー、個人総合時間賞のオスカル・プジョル、ポイント賞のジョン・アベラストゥリ Photo: Syunsuke FUKUMITSU
チーム総合1位のキナンサイクリングチーム Photo: Syunsuke FUKUMITSUチーム総合1位のキナンサイクリングチーム Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 今年で18回目だったツール・ド・熊野は、インターネットによるライブ配信や会場内のメインステージでのイベントもあり、これまで以上の盛り上がりを見せた。また、熱い応援はもとより、主催者をはじめ、地元の人々による運営や大会成功を目指して努力する姿も各チームの選手・スタッフの背中を押した。関係者からは、来年以降も開催を続ける強い意志が感じられ、国際自転車競技連合(UCI)公認レースとして、より地位や注目度が増すステージレースとなることが期待される。

第3ステージ(100.0km)結果
1 大久保陣(宇都宮ブリッツェン) 2時間32分29秒
2 アイラン・フェルナンデス(スペイン、マトリックスパワータグ) +0秒
3 木村圭佑(シマノレーシングチーム) +2秒
4 ジョン・アベラストゥリ(チームUKYO) +19秒
5 トマ・ルバ(フランス、ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
6 内間康平(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)

個人総合時間賞
1 オスカル・プジョル(スペイン、チームUKYO) 7時間58分13秒
2 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO) +31秒
3 トマ・ルバ(フランス、ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +35秒
4 ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ) +43秒
5 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム) +44秒
6 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +44秒

ポイント賞
1 ジョン・アベラストゥリ(スペイン、チームUKYO) 42pts

山岳賞
1 ウェズリー・サルツバーガー(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) 18pts

ヤングライダー賞
1 秋田拓磨(シマノレーシング) 8時間05分03秒

チーム総合
1 キナンサイクリングチーム 23時間58分13秒

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UCIアジアツアー ツール・ド・熊野2016

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