瀬戸圭祐さんが実走レポート過去最高8000人が参加「Mt.富士ヒルクライム2016」 それぞれの目標胸に完走率99.4%

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 日本最大のヒルクライムレース「Mt.富士ヒルクライム」が6月11、12日に、山梨県の富士山有料道路「富士スバルライン」で開催されました。13回目となる今大会は、過去最高となる約8000人ものサイクリストが出走。梅雨とは思えない最高の“晴れ”舞台を迎えたヒルクライム当日、記録更新を目指す人、完走を目指す人が一丸となってゴールとなる五合目を目指しました。その様子を、グッド・チャリズム宣言プロジェクト理事で、アドベンチャーサイクリストの瀬戸圭祐さんが実走レポートします。

一合目付近から見上げる富士山。過去13回の大会で雲一つない富士山を拝みながら上れたのはほんの数回だとか Photo: Keisuke SETO

奇跡の晴天 「サイクルエキスポ」も盛り上がり

 梅雨の曇天予報を覆し、奇跡の晴天に恵まれた今年の「Mt.富士ヒルクライム」(通称:富士ヒル)。他のイベントとは一線を画した「富士山ブランド」の特別な魅力に引き付けられるように、出走者はついに8000人を超え、日本最大のヒルクライムイベントは日本最大の熱気とともに開催を迎えた。

「サイクルエキスポ2016」の会場である富士北麓公園の陸上競技場。激安商品満載で、思わず買いすぎてしまう… Photo: Keisuke SETO「サイクルエキスポ2016」の会場である富士北麓公園の陸上競技場。激安商品満載で、思わず買いすぎてしまう… Photo: Keisuke SETO
シャ乱Qまことさん×四家卯大さん×ヨースケ@HOMEさんによる「サイクルアーティストセッション」での即席ミニライブ Photo: Keisuke SETOシャ乱Qまことさん×四家卯大さん×ヨースケ@HOMEさんによる「サイクルアーティストセッション」での即席ミニライブ Photo: Keisuke SETO

 前日に開催された「サイクルエキスポ2016」では、今年も多彩なゲストによるステージイベントが行われた。パワートレーニングのエキスパートである中田尚志さんの「パワートレーニング入門講座」では、トレーニング方法だけでなく翌日のレース本番で使えるテクニックも公開。「シャ乱Q」のまことさんは自転車好きの音楽仲間とともに「サイクルアーティストセッション」としてミニライブを披露した。

 7月からスタートする「丸の内朝大学」で講師を務める筆者も「快適自転車ライフ講座特別講演」と題して、タイム更新を目指すだけではない「富士ヒルクライムのもうひとつの楽しみ方」をMCを務める絹代さんとともにお話させて頂いた。

トークショーでは「丸の内朝大学講師」として、富士ヒルの楽しみ方についてオヤジギャグを交えてお話!? Photo: Kyoko Shutokuトークショーでは「丸の内朝大学講師」として、富士ヒルの楽しみ方についてオヤジギャグを交えてお話!? Photo: Kyoko Shutoku
今中大介さん×片山右京さん×日向涼子さんによる「富士ヒル攻略トークショー」。即興アドリブトークで抱腹絶倒! Photo: Keisuke SETO今中大介さん×片山右京さん×日向涼子さんによる「富士ヒル攻略トークショー」。即興アドリブトークで抱腹絶倒! Photo: Keisuke SETO

 そして大会オフィシャルアドバイザーの今中大介さんとゲストの片山右京さん、日向涼子さんの3人による「富士ヒル攻略トークショー」で参加者の盛り上がりは最高潮に。台本無視の自転車ネタ即興トークを繰り広げるなか、3人共に「自己ベストの更新を目指す」と宣言した。

参加者の4割が初参加

 本番当日は曇天予報だったにもかかわらず、富士山頂が朝日に輝いていた。

 本格的にウォーミングアップをする人、仲間と談笑する人、荷物を預けたら体力温存で寝転んでいる人と様々だが、あちこちで普段会えない仲間や遠方からの参加者などとの出会い、交流を楽しむ姿が目立った。

 日本全国各地からだけでなく海外からの参加者も増えており、従来リピーターが多いヒルクライムイベントで今回は4割程度が初参加だという。富士ヒルは志を同じくする仲間を増やす大きな機会でもあるのだ。

午前7時10分、レースが静かにスタートした。写真はスタート後、計測開始地点を過ぎた料金所ゲート Photo: Keisuke SETO午前7時10分、レースが静かにスタートした。写真はスタート後、計測開始地点を過ぎた料金所ゲート Photo: Keisuke SETO

 午前7時10分、レースが静かにスタートした。1合目から2合目にかけては、森の間から顔を出す富士の山頂を見上げながら上って行く。過去13回の大会で雲一つない富士山を拝みながら上れたのはほんの数回というが、霊峰からはパワーがもらえるだけでなく、気持ちもワクワク楽しくなってくる。

つらくも楽しい25km

 一合目付近ではプロチアダンスユニットの「LOICX GIRLS」(ロイックスガール)が全身で応援をしてくれていた。参加者の過半数を占める40代以上のオジサンたちには最も効力のある応援かもしれない。第一給水所の樹海台駐車場では地元の女子高校生が声援を送ってくれ、その先でチェロの生演奏があり、気持ちを落ち着かせてくれる。

約3km地点ではプロチアダンスユニットである、LOICX GIRLS☆が熱烈応援。オジサンには効果絶大だ! Photo: Keisuke SETO約3km地点ではプロチアダンスユニットである、LOICX GIRLS☆が熱烈応援。オジサンには効果絶大だ! Photo: Keisuke SETO
第一給水所付近では、四家卯大さんがチェロを生演奏。美しいチェロの音色で、気持ちが落ち着く Photo: Keisuke SETO第一給水所付近では、四家卯大さんがチェロを生演奏。美しいチェロの音色で、気持ちが落ち着く Photo: Keisuke SETO
大沢駐車場では、元気一番堂太鼓会による大太鼓演奏がサイクリストを鼓舞してくれる Photo: Keisuke SETO大沢駐車場では、元気一番堂太鼓会による大太鼓演奏がサイクリストを鼓舞してくれる Photo: Keisuke SETO

 頑張りどころである17.2km地点の大沢駐車場では、大太鼓演奏の迫力あるパフォーマンスでサイクリストを鼓舞。

 19km地点から20km地点の1kmは「山岳スプリット賞」区間。最大斜度7.8%の急勾配を、トップ選手たちは時速30kmのスピードで上って行くから驚きだ。

奥庭自然公園入口付近は斜面を直登する胸突き八丁。ここを登り切ればフラット区間になる Photo: Keisuke SETO奥庭自然公園入口付近は斜面を直登する胸突き八丁。ここを登り切ればフラット区間になる Photo: Keisuke SETO
終盤になると、早くゴールした人たちの下りと双方向通行となる。随所でスタッフが通行帯順守を呼びかけている Photo: Keisuke SETO終盤になると、早くゴールした人たちの下りと双方向通行となる。随所でスタッフが通行帯順守を呼びかけている Photo: Keisuke SETO
樹林地帯を抜けると富士山頂が間近に見え始める。この辺りからラストスパートを仕掛ける選手が多い Photo: Keisuke SETO樹林地帯を抜けると富士山頂が間近に見え始める。この辺りからラストスパートを仕掛ける選手が多い Photo: Keisuke SETO

「何度経験してもゴールの感動は素晴らしい」

ゴールで思わずガッツポーズ!何回経験してもこの感動は素晴らしい。このために富士ヒルに来るのだ! Photo: Keisuke SETOゴールで思わずガッツポーズ!何回経験してもこの感動は素晴らしい。このために富士ヒルに来るのだ! Photo: Keisuke SETO

 奥庭自然公園の駐車場を過ぎると森林限界を超え、視界が急に広がり、眼下に西湖が見下ろせる。が、景色を楽しんでいる余裕はない。21km過ぎからほぼフラット区間が続き、最後にググッと登ってゴールとなる。

 完走率は99.4%。今年も参加者のほぼ全員が完走した。9年連続で参加している55歳の男性は、「いくつになっても制限時間内で上ってくるジジイになるのが目標」と語り、同じく50代の男性は「年に1度の定点観測で、どれくらい今自分が自転車に乗れているかが判る」と年齢に反比例して自己ベスト更新を目指しているという。

ゴール後の五合目駐車場。預けた荷物を取りに行く人、仲間と待ち合わせの人、食事や休憩の人などで大混雑 Photo: Keisuke SETOゴール後の五合目駐車場。預けた荷物を取りに行く人、仲間と待ち合わせの人、食事や休憩の人などで大混雑 Photo: Keisuke SETO

 50代で初参加の女性は、「試走より20分短縮できた。たくさんの自転車仲間に会えて嬉しい一日だった」ととてもポジティブだ。もちろん30代以下の若者も頑張っているが、自転車を愛する中高年の向上心は、富士山よりも高く感じた。

ゴール直前の最後の登り区間では、観客の皆さんがいろんなパフォーマンスで応援してくれる Photo: Keisuke SETOゴール直前の最後の登り区間では、観客の皆さんがいろんなパフォーマンスで応援してくれる Photo: Keisuke SETO
下山後の「サイクルエキスポ2016」の会場では、農水省が郷土料理百選に選定した吉田うどんが振る舞われた Photo: Keisuke SETO下山後の「サイクルエキスポ2016」の会場では、農水省が郷土料理百選に選定した吉田うどんが振る舞われた Photo: Keisuke SETO

 ちなみに今中大介さんと、その親友で5年ぶりの出走となる片山右京さんはラストの区間で抜きつ抜かれつのデッドヒートを展開したそう。最後は数cmを争うゴールスプリントを今中さんが制したそうだが、総合タイムでは何と0.14秒差で右京さんの勝利。50代も半ばに差し掛かる年齢にもかかわらず、めちゃめちゃ元気でお茶目な2人である。中高年パワーを引き出す富士ヒルと自転車の魅力は計り知れないものがある。

いつまでも富士ヒルを楽しむために

事故リスクの高い下りの安全確保は大会継続の重要課題。団体で下山し、前後右側を下山パトロール隊がコントロール Photo: Keisuke SETO事故リスクの高い下りの安全確保は大会継続の重要課題。団体で下山し、前後右側を下山パトロール隊がコントロール Photo: Keisuke SETO

 これからも富士ヒルを続けて行くには、事故を起こさない事が重要だ。特に下りはリスクが高く、主催者も神経を尖らせている。

 安全のために団体で下り、下山パトロール隊がその前後と右側を囲って団体のスピードをコントロールする体制を徹底している。ただ、8000人が下る順番待ちに長時間を費やすのは、唯一の難点だ。

路上に捨てられたエナジージェルの容器。その数は毎年増え続けているように思える。マナーを守ろう! Photo: Keisuke SETO路上に捨てられたエナジージェルの容器。その数は毎年増え続けているように思える。マナーを守ろう! Photo: Keisuke SETO

 さらに飲み終えたエナジージェルの容器がたくさん路上に捨てられていたのは、世界文化遺産でもある富士山への背徳行為、それ以前にマナー違反である。

 これから先も富士ヒルを続けていくために、下山後も街中でも、自転車に乗る時は常にルール順守とマナー向上を意識して、皆で「より良い自転車社会」につなげて行ければと願っている。

五合目からも富士山頂はくっきり。素晴らしい景色と達成感により、感動に酔いしれる人々で溢れている Photo: Keisuke SETO五合目からも富士山頂はくっきり。素晴らしい景色と達成感により、感動に酔いしれる人々で溢れている Photo: Keisuke SETO

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