ミヤタサイクルが主催新城幸也「一人ではここまで来れなかった」 TOJアフターパーティーで復活の喜びを分かち合った
ツアー・オブ・ジャパン(TOJ)が閉幕した6月5日夜、東京都内でメリダの国内販売を手がけるミヤタサイクル主催のアフターパーティーが行われた。メリダのバイクを使用するランプレ・メリダ、宇都宮ブリッツェンのチーム関係者が出席。ファンとの交流を楽しむなか、新城幸也(ランプレ・メリダ)は取材に対し、「皆の応援がなかったらここまで来ることはできなかった」と感謝の気持ちを表した。
高谷社長「今後の活躍に期待」

乾杯のあいさつをした高谷信一郎・ミヤタサイクル社長は、8日間のレースを終えた両チームの選手たちにねぎらいの言葉を送り、「非常に感激するレースだった。個人的に、生まれも育ちも京都の私にとっては初開催となる京都(第2ステージ)の初代チャンピオンにダヴィデ・チモライ選手が輝いたことが大きなイベント」だと活躍を称えた。一方で、新城の活躍に対し、「修善寺(第7ステージ)での完全復活の優勝、おめでとうございます。今後、ツール・ド・スイス、ツール・ド・フランス、さらにリオデジャネイロ五輪と控えるなか、次へと続く成績だったと思っている」と復活した新城の今後の活躍に期待を示した。

また高谷社長は、同日発表した「メリダ『リアクト チーム』新城モデル」をファンの前にお披露目し、「メリダとして選手個人のモデルを発表したのは、これまでルイ・コスタ(ポルトガル)が世界チャンピオンになったときのアルカンシェルモデルのみ」と説明。さらに市販するのは今回が初とのことで、「メリダにとって非常に異例なこと。ランプレ・メリダ、メリダ、そして私どもの期待の表れ」だと強調した。
“恩返し”はツール・ド・フランス、そして五輪で
写真撮影やサインなどの要望に応えるなかで新城は、「骨折してから回復まで決して僕一人の力で来たわけでははなく、支えてくれる人の力がないとこれまで来れなかった」と今年2月に負傷してからの4カ月間を振り返った。

「よくこの骨折で何か変わったかと聞かれるが、とにかく周囲の応援の大きさが変わった。治療をしてくれたり練習を付き合ってくれたり色々な人の助けがあって、そしてTOJでたくさんの人が応援してくれた。修善寺での優勝はそういうことが積み重なった結果だと思う。こうして復活させてもらったので、今度はリオで皆さんに喜んでもらえるような走りを…そのまえにツール・ド・フランスの出走メンバーに選ばれて走りを見せていきたい」と言葉に力を込めた。

TOJの修善寺コースは毎年観戦しているという熱心なロードレースファンの高嶋浩子さんは、「昨年は同じくランプレ・メリダのヴァレリオ・コンティ(イタリア)が修善寺を制し、そしてそのコンティがジロでディエーゴ・ウリッシ(イタリア)のために良いアシストをした。ハードなコースの修善寺で勝てる選手には活躍する選手が多いので、そういう意味でユキヤが本当に復活したんだと思いました」と新城を前に喜びを語った。
父・貞美さん「これだけできるとは思わなかった」

この日のパーティーには新城の両親もお祝いに駆けつけていた。父親の貞美さんは「修善寺でのレースをみて、よくぞここまで治ったと思った。勝ちに絡むのではなくて優勝するんだから本当にすごいこと。正直これだけできるとは思わなかった」と喜びとともに驚きを隠せない様子だった。
一方、母親のるみ子さんは「この場に幸也が立てていることが何より嬉しい。結果よりも、出場できることが幸せ」と涙ぐみ、「大けがして、今年はもうだめかもしれないと思っていた。今回の結果は本人の努力もあったと思うが、周りの励ましもあったからできたこと。本当に感謝しています」と周囲への感謝の気持ちを表した。
ランプレ・メリダのチームメイトもリラックスした表情でファンサービスに応じ、なかでも女性からの人気が高かったのは第2ステージ(京都)で優勝した“イケメン”チモライ。第2ステージを振り返り、「コースはとてもテクニカルで下りも危なかった。展開通り、チームにサポートされてステージ優勝できた」と感想を述べた一方、そのイケメンぶりに眉毛の手入れ方法を尋ねられると「専属の美容師に整えてもらっています」と返し、会場を沸かせた。
ブルーノ監督「次はジャパンカップで!」
パーティーの後半には、ジャージなどの豪華賞品が当たる抽選会が開催された。ランプレ・メリダの海外選手が抽選箱からファンの名前の入ったカードを引いてたどたどしい日本語で名前を読み上げたり、日本人選手が直接ファンとジャンケンをして当選者を決めたりと、会場はファンの一喜一憂で盛り上がりを見せた。

ランプレ・メリダのファンでとくにチモライのファンだという廣瀬辰哉さんは、チモライから名前を呼ばれ、さらに直接賞品のグリーンジャージ(リーダージャージ)を手渡され、「これからも応援していきます!」と喜びを語った。
女性が当たると会場から「bacio!」(イタリア語でキスの意味)コールが起こった。ホワイトジャージ(新人賞)とともにマルコ・クンプからキスを送られた横山美佳さんは、顔を真っ赤にして「緊張して汗をかいていたので申し訳なかった」といいつつ喜びを隠せない様子だった。




最後に、高谷社長からブルーノ監督含むランプレ・メリダの選手全員にメリダカラーの法被がプレゼントされた。襟と背の部分に書かれた「睦」という漢字に、絆や仲間という意味が込められていることを高谷社長から伝えらると、ブルーノ監督は笑顔で頷き、「皆さん、次はジャパンカップで会いましょう。キャプテンはおそらくユキヤです」と新城と固い握手を交わした。拍手と歓声で応えるファンに対し、ブルーノ監督は「皆さん素晴らしいチーム、素晴らしいスポンサーを支えていただき本当にありがとうございます」と感謝の意を述べた。