ツアー・オブ・ジャパン2016 第8ステージ(東京)【詳報】東京で再び魅せた新城&内間の五輪コンビ 総合優勝はプジョルが初の栄冠

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 大阪から東京まで8日間で開催されるツアー・オブ・ジャパン(TOJ)の最終日となる「東京ステージ」が6月5日、東京都大田区の大井ふ頭で行われ、序盤で形成された逃げグループがゴールまで逃げ切り、スプリントをサム・クローム(アヴァンティ アイソウェイ スポーツ)が制してステージ優勝を飾った。日本人最高位は同集団でスプリントに加わり3位だった内間康平(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)。個人総合ではオスカル・プジョル(スペイン、チームUKYO)が首位の座を守り、初の総合優勝を果たした。

残り4周で逃げグループ前方で走る(左から)新城幸也、秋丸湧哉、内間康平 Photo: Kenta SAWANO残り4周で逃げグループ前方で走る(左から)新城幸也、秋丸湧哉、内間康平 Photo: Kenta SAWANO

2周目に形成された10人の逃げ

 TOJ最終ステージのスタート地点、チームピットが設けられた日比谷公会堂前(東京都千代田区)に、出走する70人の選手が集まった。朝まで降り続いた雨が上がり、大勢の観客が詰めかけてスタートする選手を見送った。

スタート前、第5ステージでリタイアした土井雪広に激励される新城幸也 Photo: Kenta SAWANOスタート前、第5ステージでリタイアした土井雪広に激励される新城幸也 Photo: Kenta SAWANO
第8ステージスタート前の4賞ジャージ着用選手たち Photo: Kenta SAWANO第8ステージスタート前の4賞ジャージ着用選手たち Photo: Kenta SAWANO

 東京ステージは1.2kmのパレード区間を経てリアルスタートが切られる。その後、メイン会場となる東京都品川区の大井埠頭公園までの14.7kmを走り、周回コースへと合流。フラットで見通しの良い7kmのコースを14周する計112.7kmのコースレイアウトで最終ステージが争われた。

 レースはリアルスタートが切られた直後からアタック合戦がかかり、ブリヂストンアンカー サイクリングチームやアヴァンティ アイソウェイ スポーツが逃げを試み積極的に動いた。

レース序盤、10人逃げグループで走る新城幸也ら Photo: Kenta SAWANOレース序盤、10人逃げグループで走る新城幸也ら Photo: Kenta SAWANO

 大井埠頭の周回コースに入っても決定的な逃げは決まらない。ようやく2周回目に10人の集団が飛び出しに成功し、すぐに1分30秒ほどリードした。逃げグループには新城幸也(ランプレ・メリダ)や内間の“リオ五輪代表コンビ”が含まれ、イランのチャンピオンジャージを着るメヘディ・ソフラビ(タブリーズ シャハルダリ チーム)、総合成績12位につけるホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ)らが加わった。日本勢は入部正太朗、秋丸湧哉(ともにシマノレーシング)、鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)らが入った。

差を縮められないメイン集団

メイン集団の前方で集団をけん引するキナンサイクリングチーム Photo: Kenta SAWANOメイン集団の前方で集団をけん引するキナンサイクリングチーム Photo: Kenta SAWANO

 一方のメイン集団では総合2位のマルコス・ガルシアを擁するキナンサイクリングチームが牽引。窪木一茂でのステージ優勝やピエールパオロ・デネグリのポイント賞獲得を試みたいNIPPO・ヴィーニファンティーニらと協調し、逃げ集団との差をコントロールした。また、リーダージャージを着るプジョルは、アシストがサルバドール・グアルディオラ(スペイン、チームUKYO)を残すのみだったものの、集団前寄りで総合優勝を目指した。

後半、岡本隼(左)ら日本ナショナルチームがメイン集団を引っ張る Photo: Kenta SAWANO後半、岡本隼(左)ら日本ナショナルチームがメイン集団を引っ張る Photo: Kenta SAWANO

 逃げ集団は最大2分30秒程のリードでレースを展開。逃げ切りを目指す選手たちは協力し合い、スムーズにローテーションを行った。メンバーの10人全員が先頭交代に加わる逃げに対し、メイン集団を牽引するのは6人程度と、追走にはやや不利な情勢だ。

 レースが後半に入るとメイン集団では愛三工業レーシングチームや、日本ナショナルチームも集団のペースアップに加わり、逃げグループを追った。1周回ごとに20秒ずつ差を詰めていき、集団スプリントに持ち込みたい思惑だ。

逃げ集団内での争いに

 残り2周回に入ると、逃げグループ内からソフラビがアタックを仕掛け、小橋が脱落。ステージ勝利を争う動きが活発化した。残り1周に入ってからも繰り返されるアタック合戦の結果、新城やトリビオ、ソフラビが逃げグループから脱落。最終的に6人の集団でフィニッシュを目指した。

 ラスト1周で逃げグループとメイン集団の差は約50秒で逃げ切りがほぼ確定的になり、先頭を走る6人では牽制が入る。残り1km地点では鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)が単独で飛び出しを試みたが、クロームがチェックに入り吸収。内間もアタックを仕掛けるが決まらない。最後はアルヴィン・モアゼミ(ピシュガマン サイクリングチーム)がスプリントへ向けてペースを上げるなか、クロームがかわし、ステージ優勝を挙げた。

スプリントで第8ステージを制し、喜ぶサム・クローム(右端) Photo: Kenta SAWANOスプリントで第8ステージを制し、喜ぶサム・クローム(右端) Photo: Kenta SAWANO

 クロームは「チームは当初、個人総合優勝を狙っていたが、富士山ステージで見込みがなくなったため、ステージ勝利とポイント賞に目標に切り替えた。ポイント賞ジャージを着るジャコッポを勝たせる予定とは違ったが、嬉しい結果だ」とレースを振り返った。

五輪代表の走りをみせた内間

会見でレースを振り返る内間康平 Photo: Kenta SAWANO会見でレースを振り返る内間康平 Photo: Kenta SAWANO

 惜しくも優勝を逃した内間が、日本人最高位の3位でゴールした。内間は「昨日(新城)幸也さんが勝ったエネルギーを受け取って、今日は絶対勝ってやるぞという気持ちでスタートしました」とレース後の記者会見でコメント。最終局面に残りラスト1kmから仕掛けたが、「優勝した選手と2位の選手が最後すごく上手かった」と勝利には届かなかった。悔しさはあるものの、「オリンピック選手としての走りを、飯田ステージに続き見せることができたのは、凄く良かったと思います」と清々しい表情をみせた。

 五輪ロードレース、新城とのチームで狙うのは、「出るからにはメダル」。さらに調子を上げて「今までで一番いいコンディションで本番当日を迎えたい」と8月の五輪に向けての意気込みを語った。

アシストからの脱却

 メイン集団は先頭から19秒後にゴール。激戦のポイント賞争いは前日まで2位のデネグリがメイン集団2番手の区間8位に入り、逆転で総合ポイント賞のブルージャージを獲得した。「(スポンサーの)NIPPOがあるので、TOJは我々にとって重要なレース。今日はポイント賞ジャージの獲得とステージ優勝を狙ってチームは集団先頭で動いたが、逃げ集団が速くて捕まえることができなかった。だが最終的にブルージャージを手にすることができて良かったと思う」とデネグリはレース後に語った。

表彰台で並ぶ(左から)ステージ優勝のサム・クローム、ポイント賞のピエールパオロ・デネグリ、個人総合優勝のオスカル・プジョル、新人賞のダニエル・ホワイトハウス、山岳賞のミルサマ・ポルセイェディゴラコール Photo: Kenta SAWANO表彰台で並ぶ(左から)ステージ優勝のサム・クローム、ポイント賞のピエールパオロ・デネグリ、個人総合優勝のオスカル・プジョル、新人賞のダニエル・ホワイトハウス、山岳賞のミルサマ・ポルセイェディゴラコール Photo: Kenta SAWANO

 グリーンジャージのプジョルは集団中ほどの42位でゴールして、初の個人総合優勝を確定させた。レース後のプジョルは「ストレスはあったが最終的にはパーフェクトな運びができた。クラッシュもメカトラブルもなく、サルバ(グアルディオラ)がうまく安全な位置をキープしてくれた。(チームUKYOは)日本のチームなのでTOJは大事なレース。グリーンジャージを着られたのは正直想定外だったが、最後までキープできて良かった」と喜びを語った。

オスカル・プジョルは新人賞のダニエル・ホワイトハウスに向けシャンパンをかける Photo: Kenta SAWANOオスカル・プジョルは新人賞のダニエル・ホワイトハウスに向けシャンパンをかける Photo: Kenta SAWANO
グリーンジャージを獲得したオスカル・プジョル(中央)は片山右京監督(左)、ベンジャミン・プラデスと笑顔でポーズ Photo: Kenta SAWANOグリーンジャージを獲得したオスカル・プジョル(中央)は片山右京監督(左)、ベンジャミン・プラデスと笑顔でポーズ Photo: Kenta SAWANO

 これまでアシストとしての働きが中心だったが、「今回は考え方を変えて自分自身のために走る、ある意味エゴイストになった」という。アシストとしての走りでチームメートからの信頼は得てきたが、「なかなかアシストの立場では広く認められない。今回は自分の力を示したかった」と強い気持ちで臨んだレースだった。

第8ステージ(東京)結果
1 サム・クローム(オーストラリア、アヴァンティ アイソウェイ スポーツ) 2時間17分29秒
2 アルヴィン・モアゼミ(イラン、ピシュガマン サイクリングチーム) +0秒
3 内間康平(ブリチストンアンカー サイクリングチーム)
4 入部正太朗(シマノレーシングチーム)
5 エイドリアン・ヘギヴァリ(アメリカ、ユナイテッドヘルスケアプロフェッショナルCT)
6 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) +7秒
7 ダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ) +19秒
8 ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)
9 岡本隼(日本ナショナルチーム)
10 ダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)

個人総合成績
1 オスカル・プジョル(スペイン、チームUKYO) 19時間22分37秒
2 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) +1分05秒
3 ミルサマ・ポルセイェディゴラコール(イラン、タブリーズ シャハルダリ チーム) +1分08秒
4 ダニエル・ホワイトハウス(イギリス、トレンガヌ サイクリングチーム) +1分23秒
5 ラヒーム・エマミ(イラン、ピシュガマン サイクリングチーム) +1分24秒
6 ガーデル・ミズバニ・イラナグ(イラン、タブリーズ シャハルダリ チーム) +1分43秒
7 キャメロン・バイリー(オーストラリア、アタッキ チームグスト) +2分00秒
8 アミール・コラドゥーズハグ(イラン、ピシュガマン サイクリングチーム) +2分27秒
9 トマ・ルバ(フランス、ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) +2分52秒
10 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +2分58秒

ポイント賞
1 ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) 74pts
2 アンソニー・ジャコッポ(オーストラリア、アヴァンティ アイソウェイ スポーツ) 67pts
3 ダニエルアレクサンデル・ハラミリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルCT) 61pts

山岳賞
1 ミルサマ・ポルセイェディゴラコール(イラン、タブリーズ シャハルダリ チーム) 23pts
1 ラヒーム・エマミ(イラン、ピシュガマン サイクリングチーム) 20pts
2 オスカル・プジョル(スペイン、チームUKYO) 15pts

新人賞
1 ダニエル・ホワイトハウス(イギリス、トレンガヌ サイクリングチーム) 19時間24分00秒
2 アミール・コラドゥーズハグ(イラン、ピシュガマン サイクリングチーム) +1分04秒
2 アントニオ・ニバリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +1分49秒

チーム総合
1 タブリーズ シャハルダリ チーム 58時間16分01秒
2 ピシュガマン サイクリングチーム +3分23秒
3 ブリヂストンアンカー サイクリングチーム +4分24秒

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