ツアー・オブ・ジャパン2016 第6ステージ(富士山)プジョルが独走で富士山制覇、個人総合でも首位に 総合2連覇中のポルセイは3位

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 日本最大のステージレース、ツアー・オブ・ジャパン(TOJ)第6ステージとなる「富士山ステージ」が6月3日、静岡県小山町のふじあざみラインで行われ、距離11.4kmで標高差1200mを駆け上がる超級山岳をオスカル・プジョル(スペイン、チームUKYO)が後半独走で制した。プジョルは総合首位のグリーンジャージも獲得。日本人最高位は西薗良太(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)の17位だった。

富士山ステージを史上2番目のタイムで制したオスカル・プジョル(スペイン、チームUKYO) Photo: Ikki YONEYAMA富士山ステージを史上2番目のタイムで制したオスカル・プジョル(スペイン、チームUKYO) Photo: Ikki YONEYAMA

日本一の山でのヒルクライムステージ

パレードランの先頭に並んだ総合4賞ジャージ Photo: Ikki YONEYAMAパレードランの先頭に並んだ総合4賞ジャージ Photo: Ikki YONEYAMA

 TOJの名物ともいうべき富士山ステージは、富士山須走口から五合目までを一気に駆け上がる。距離は短いながらも、平均勾配10%、最大22%という険しい上りだけのレースだ。純粋な登坂力が試されるために大差がつき、良くも悪くも前日までの結果を大きく上下させる、総合成績を狙う上では非常に大事なステージだ。

 この日レースに臨んだのは、前日までのリタイアで、初日から10人減った84選手。レーススタート前に小山町の生涯学習センターからふじあざみライン入口まで、13.2kmのパレードランが行われた。選手たちはチームカーを従えて小山町内を移動。沿道からの歓声に応えた。

 選手たち一団は午前9時20分ごろスタート地点に到着。約40分のインターバルの後、午前10時にレースがスタートした。

パレードラン後、一旦リラックスする新城幸也(中央)らランプレ・メリダの選手 Photo: Ikki YONEYAMAパレードラン後、一旦リラックスする新城幸也(中央)らランプレ・メリダの選手 Photo: Ikki YONEYAMA
パレードラン後、ローラー台でアップする選手も。マルコス・ガルシア(左)とダニエル・ホワイトハウス Photo: Ikki YONEYAMAパレードラン後、ローラー台でアップする選手も。マルコス・ガルシア(左)とダニエル・ホワイトハウス Photo: Ikki YONEYAMA
NIPPO会長らと記念写真を撮影するNIPPO・ヴィーニファンティーニの選手 Photo: Ikki YONEYAMANIPPO会長らと記念写真を撮影するNIPPO・ヴィーニファンティーニの選手 Photo: Ikki YONEYAMA
スタート前、集中した様子をみせるポルセイェディゴラコール Photo: Ikki YONEYAMAスタート前、集中した様子をみせるポルセイェディゴラコール Photo: Ikki YONEYAMA

イラン勢の隙間をぬってプジョルが攻撃

 レース序盤、集団先頭を固めるのはピシュガマン サイクリングチームだ。同チームのエース、ラヒーム・エマミは昨年、このコースのレコードとなる38分27秒という驚異的なタイムを記録している。今年も得意の上りで成績を狙う構えだ。昨年のステージ2位で、TOJ総合2連覇中のミルサマ・ポルセイェディゴラコール(イラン、タブリーズ シャハルダリ チーム)も好位置につけて前をうかがう。山岳で驚異的な力を発揮するイラン勢2チームが戦いの軸になることは確実だ。

忙しく何度もガッツポーズしながらゴールしたプジョル Photo: Ikki YONEYAMA忙しく何度もガッツポーズしながらゴールしたプジョル Photo: Ikki YONEYAMA

 勾配が急になる中盤、先頭グループは6人に絞られた。イラン勢はピシュガマンがエマミとレザー・ホセイニ、タブリーズがポルセイェディゴラコールとガーデル・ミズバニ。ここにプジョルと、新人賞ジャージのダニエルアレクサンデル・ハラミリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルCT)がつく。

 2チームが2人ずつ、計4人を占めるイラン勢が圧倒的有利な展開かと思われたが、急勾配区間の終わり近く、残り4kmでアタックを仕掛けたのはプジョルだった。互いに見合う形になったイラン勢を尻目に一気に15秒差をつけると、快調なペダリングでゴールまでを独走で駆け抜けた。ステージ優勝とともに、個人総合でも首位を奪い取ることに成功した。

 後続はプジョルを追う動きが作られたものの、集団としてはまとまらずに崩壊。プジョルの56秒後にゴールへ飛び込んだのは、後方から追い上げたマルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)だった。ポルセイェディゴラコールは3位でゴール。総合3位に順位を上げたが、3連覇には黄信号が点灯した。

2位でゴールのマルコス・ガルシア。ブエルタ・ア・エスパーニャの山岳ステージで4位の経験がある Photo: Ikki YONEYAMA2位でゴールのマルコス・ガルシア。ブエルタ・ア・エスパーニャの山岳ステージで4位の経験がある Photo: Ikki YONEYAMA
3位でゴールするポルセイェディゴラコール。後ろは4位のホワイトハウス Photo: Ikki YONEYAMA3位でゴールするポルセイェディゴラコール。後ろは4位のホワイトハウス Photo: Ikki YONEYAMA

片山右京監督に「ビッグプレゼント」

 もともと短くきつい上りが得意だというプジョル。実は最初からこのステージを狙っていたという。「ゴール付近でスパートする予定だったが、集団で動きを見たら止まっていた時があったので、チャンスだと思って飛び出した」とレース後に語った。

 かつてサーヴェロ・テストチームや、オメガファルマ・ロットなどのトップチームに所属していた32歳。だが本場欧州での契約を失い、数年間モチベーションが低い状態が続いていたという。昨年から所属するチームUKYOでもアシストの仕事が中心。しかし今大会は違った。「今年は私が勝てる選手だということを見せたかった。そのためにハードなトレーニングを積んできた」と強い意気込みで臨んだ。

ステージ7位のアントニオ・ニバリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)。兄は今年ジロ・デ・イタリアを制したヴィンチェンツォ・ニバリ Photo: Ikki YONEYAMAステージ7位のアントニオ・ニバリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)。兄は今年ジロ・デ・イタリアを制したヴィンチェンツォ・ニバリ Photo: Ikki YONEYAMA
ゴール後、表彰式に向けて自慢のひげを整えるプジョル Photo: Ikki YONEYAMAゴール後、表彰式に向けて自慢のひげを整えるプジョル Photo: Ikki YONEYAMA

 富士山ステージを狙ってきた理由として「日本を象徴する山なので、制することに意味がある。クライマーとして火がついた」と語る。レース前に総合上位勢のゼッケン番号を控え、片山右京監督に「エンジョイしろ。今日はビッグプレゼントをする」と言い残してスタート。有言実行での優勝を決めてみせた。

 個人総合順位は大きく入れ替わり、この日の区間10位までの選手が、ほぼそのままの順位で総合での上位10人になった。ポイント賞、山岳賞は変わらないが、新人賞はステージ4位に入ったダニエル・ホワイトハウス(イギリス、トレンガヌ サイクリングチーム)が獲得した。

記者会見でのプジョル(左)と片山右京監督 Photo: Ikki YONEYAMA記者会見でのプジョル(左)と片山右京監督 Photo: Ikki YONEYAMA
表彰式での総合4賞ジャージ。(左から)新人賞のホワイトハウス、ステージ優勝で総合首位のプジョル、山岳賞のエマミ、ポイント賞のジャコッポ Photo: Ikki YONEYAMA表彰式での総合4賞ジャージ。(左から)新人賞のホワイトハウス、ステージ優勝で総合首位のプジョル、山岳賞のエマミ、ポイント賞のジャコッポ Photo: Ikki YONEYAMA

「トレーニング」の新城が日本人4番手でゴール

 日本勢は西薗が17位で2分57秒遅れ、すぐ後に続いて増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が18位で入った。いずれも日本人最速タイムを更新するハイペースだったが、総合上位争いからは遠ざかることになった。

 左大腿骨骨折からの復帰戦となる新城幸也(ランプレ・メリダ)は、日本人4番手となるステージ24位でゴールした。スタート前は「明日(伊豆ステージ)に向けてのトレーニングとして重いギアで走る」と気楽な様子を見せていたが、途中メカトラブルで一度停止しながらも上位でゴール。調子が上がっていることをうかがわせた。

日本人ステージ最上位でゴールした西薗良太 Photo: Ikki YONEYAMA日本人ステージ最上位でゴールした西薗良太 Photo: Ikki YONEYAMA
チーム内トップの位置でゴールした新城幸也 Photo: Ikki YONEYAMAチーム内トップの位置でゴールした新城幸也 Photo: Ikki YONEYAMA

 1週間のTOJも残すはあと2ステージ。翌第7ステージは6月4日、静岡県伊豆市の日本サイクルスポーツセンター(CSC)で「伊豆ステージ」が行われる。ほぼ上りと下りしかない特異なコースで、ステージ全体での獲得標高は3750m。通常CSCでは解放されていない“裏道”までを駆使して、12.2kmのサーキットを10周する122kmで争われる。最終第8ステージが平坦ということもあり、個人総合優勝争いは伊豆が実質の最終決戦となる。

 総合ではプジョルが抜け出しているが、チームはすでに2選手がリタイアするなど脆弱。総合上位争いは混沌としているといえるだろう。

第6ステージ(富士山)結果
1 オスカル・プジョル(スペイン、チームUKYO) 38分48秒
2 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) +56秒
3 ミルサマ・ポルセイェディゴラコール(イラン、タブリーズ シャハルダリ チーム) +1分10秒
4 ダニエル・ホワイトハウス(イギリス、トレンガヌ サイクリングチーム) +1分14秒
5 ラヒーム・エマミ(イラン、ピシュガマン サイクリングチーム) +1分18秒
6 ガーデル・ミズバニ・イラナグ(イラン、タブリーズ シャハルダリ チーム) +1分32秒
7 アントニオ・ニバリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +2分14秒
8 キャメロン・バイリー(オーストラリア、アタッキ チームグスト) +2分15秒
9 ベンジャミン・プラデス(スペイン、チームUKYO) +2分19秒
10 アミール・コラドゥーズハグ(イラン、ピシュガマン サイクリングチーム)

個人総合成績
1 オスカル・プジョル(スペイン、チームUKYO) 13時間37分41秒
2 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) +1分05秒
3 ミルサマ・ポルセイェディゴラコール(イラン、タブリーズ シャハルダリ チーム) +1分14秒
4 ダニエル・ホワイトハウス(イギリス、トレンガヌ サイクリングチーム) +1分23秒
5 ラヒーム・エマミ(イラン、ピシュガマン サイクリングチーム) +1分24秒
6 ガーデル・ミズバニ・イラナグ(イラン、タブリーズ シャハルダリ チーム) +1分43秒
7 キャメロン・バイリー(オーストラリア、アタッキ チームグスト) +2分16秒
8 アントニオ・ニバリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +2分23秒
9 アミール・コラドゥーズハグ(イラン、ピシュガマン サイクリングチーム) +2分27秒
10 ベンジャミン・プラデス(スペイン、チームUKYO) +2分28秒

ポイント賞
1 アンソニー・ジャコッポ(オーストラリア、アヴァンティ アイソウェイ スポーツ) 67pts
2 ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) 66pts
3 ダニエルアレクサンデル・ハラミリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルCT) 45pts

山岳賞
1 ラヒーム・エマミ(イラン、ピシュガマン サイクリングチーム) 20pts
2 オスカル・プジョル(スペイン、チームUKYO) 15pts
3 メヘディ・ソフラビ(イラン、タブリーズ シャハルダリ チーム) 13pts

新人賞
1 ダニエル・ホワイトハウス(イギリス、トレンガヌ サイクリングチーム) 13時間39分04秒
2 アントニオ・ニバリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +1分00秒
3 アミール・コラドゥーズハグ(イラン、ピシュガマン サイクリングチーム) +1分04秒

チーム総合
1 タブリーズ シャハルダリ チーム 40時間58分04秒
2 ピシュガマン サイクリングチーム +24秒
3 キナンサイクリングチーム +4分25秒

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