ゴールから表彰式まで30分の舞台裏ツアー・オブ・ジャパン 各賞ジャージを作るチャンピオンシステムの時間との戦い

by 澤野健太 / Kenta SAWANO
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 ツアー・オブ・ジャパン(TOJ)の表彰式で、選手が着る総合首位のグリーンジャージなど、4種類の各賞ジャージは、サイクルウェアブランドの「チャンピオンシステム」がゴール後のわずかな時間を使って作っている。「表彰式用」と「翌日のレース用」の2種類、合計8枚を、ゴールから約30分で製作し、選手に手渡すまでの舞台裏(6月2日南信州ステージ)に迫った。

チャンピオンシステム製のリーダージャージを着て南信州ステージのスタートに並ぶ選手たち Photo: Kenta SAWANOチャンピオンシステム製のリーダージャージを着て南信州ステージのスタートに並ぶ選手たち Photo: Kenta SAWANO

4賞合計8枚を準備

 6月2日の南信州ステージで、選手たちが集団スプリントでゴールすると、表彰台横のチャンピオンシステムのブースは大忙しになった。ゴール後30分で行われる表彰式に、各チームのロゴが入ったジャージを8枚作らなければいけないからだ。社長の棈木亮二さんと梶田歩さんは、公式リザルトが発表される前に、各賞ジャージの該当選手を推測して、そのチームのロゴの入ったステッカーを準備。大会本部から公式リザルトを受け取ると、表彰式用にジャージを製作する。

大会本部から公式リザルトを受け取り、表彰される選手を確認する Photo: Kenta SAWANO大会本部から公式リザルトを受け取り、表彰される選手を確認する Photo: Kenta SAWANO
棈木さん(右)と名前を確認しながら表彰用のジャージにステッカーロゴを貼る Photo: Kenta SAWANO棈木さん(右)と名前を確認しながら表彰用のジャージにステッカーロゴを貼る Photo: Kenta SAWANO

 表彰されるのは総合首位のグリーンジャージ、ポイント賞のブルージャージ、山岳賞のレッドジャージ、新人賞のホワイトジャージの4種類。しかし実際にチャンピオンシステムが用意するのはそれぞれ2枚ずつの合計8枚だ。表彰台用のジャージは長袖で、チームスポンサーのロゴはステッカーで貼るだけ。ジャージも毎回リサイクルされる。実際に着用するジャージは半袖の「ショートスリーブジャージ」で、スポンサーロゴは熱転写でプリント。翌日実際に選手が着用するために、直接手渡される。

NIPPO・ヴィーニファンティーニのマッサーから新しいロゴのステッカーを受け取る Photo: Kenta SAWANONIPPO・ヴィーニファンティーニのマッサーから新しいロゴのステッカーを受け取る Photo: Kenta SAWANO
ステッカーを張った表彰式用のジャージを表彰式の係員に手渡す Photo: Kenta SAWANOステッカーを張った表彰式用のジャージを表彰式の係員に手渡す Photo: Kenta SAWANO

リザルト出てからが勝負

 「リザルトが出てからの時間勝負です」と棈木さんは話す。この日は大会本部から公式リザルトが渡されるのが表彰式直前となり、大忙しだった。棈木さんがリザルトの中から各賞の選手を読み上げ、梶田さんがその選手のチームスポンサーのロゴが入ったステッカーを急ぎながら慎重に貼っていく。風が強い日はステッカーが丸まってしまい、ステッカーを無駄にしてしまうこともあるという。ステッカーが貼られたジャージは大会本部の表彰式担当が大急ぎで回収し、表彰台の4選手がセレモニーで誇らしげに着用した。

第5ステージの表彰式でステッカーを貼った各賞ジャージを着て並ぶ選手たち Photo: Kenta SAWANO第5ステージの表彰式でステッカーを貼った各賞ジャージを着て並ぶ選手たち Photo: Kenta SAWANO

 「表彰式の間も、気が抜けません」と実際の作業を担当する梶田さんは話す。表彰式を終えた選手に翌日レースで着用するジャージを手渡さないといけないからだ。間に合わなかった場合は選手宿舎まで届けなくてはならず時間との勝負になる。

選手が着用する各賞ジャージを熱転写でプリントする梶田さん Photo: Kenta SAWANO選手が着用する各賞ジャージを熱転写でプリントする梶田さん Photo: Kenta SAWANO
選手が着用する各賞ジャージを熱転写でプリントする梶田さん Photo: Kenta SAWANO選手が着用する各賞ジャージを熱転写でプリントする梶田さん Photo: Kenta SAWANO

スピードも丁寧な作業も必要

スポンサーロゴをプリントしたジャージを表彰式が終わるまで乾燥させる Photo: Kenta SAWANOスポンサーロゴをプリントしたジャージを表彰式が終わるまで乾燥させる Photo: Kenta SAWANO

 スピードと同時に丁寧さも要求される。NIPPO・ヴィーニファンティーニの選手は小さめのジャージを着る選手が多く、スポンサーロゴを印刷するスペースも少ないという。そのため「ジャージを少し引っ張ってプリントするのがコツです」とチームごとに微調整を行っている。そんな慎重な梶田さんでも失敗することもある。この日も山岳賞ジャージの「ピシュガマン サイクリングチーム」のスポンサーロゴを上下逆さまにプリントし苦笑い。「これは本当に珍しい失敗です」と棈木さんと苦笑いした。

表彰式後、ポイント賞ジャージを直接手渡す棈木さん Photo: Kenta SAWANO表彰式後、ポイント賞ジャージを直接手渡す棈木さん Photo: Kenta SAWANO
スポンサーロゴを逆さにプリントしてしまい苦笑い Photo: Kenta SAWANOスポンサーロゴを逆さにプリントしてしまい苦笑い Photo: Kenta SAWANO

 10分ほどの表彰式が終わるのと同時に、4枚の選手用のジャージをプリントし終えた。ブースの目の前を表彰選手が通るときに最後のレッドジャージが出来上がった。棈木さんは出来上がった4枚のジャージを手に猛ダッシュ。最初に目の前にいた山岳賞のラヒーム・エマミ(ピシュガマン サイクリングチーム)に笑顔で手渡した。残る3枚も選手バスまで追いかけて無事に渡すことができた。

 ゴールしてから表彰式を終え選手に各賞ジャージを手渡すまで、おおよそ40分。チャンピオンシステムのスタッフの時間と戦いが終わった。梶田さんは「選手たちの胸の1番良い所にしっかりスポンサーの名前が入ったところを見るのが誇らしいです」と満足そうに話した。ゴール後の時間との勝負を思わぬ勝負を見るのも面白いかもしれない。

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TOJ2016・サイドレポート ツアー・オブ・ジャパン2016

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