動き出すメイド・イン・ジャパン海外展開を視野にトライアスロン競技へのサポートを強化 ブリヂストンが打ち出す新戦略

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 ブリヂストンサイクルが国内のスポーツバイク販売促進のため、トライアスロン競技に対するサポートを強化する。すでにリオ五輪日本代表の座を射止めたトライアスリート、上田藍選手をサポートしているが、今後、競技人口が増加傾向にある同分野で販売力を高め、さらなるシェア拡大を狙う。一方、海外展開を視野に入れたプロモーション活動として、20年ぶりとなる海外のトライアスリートとのサポートも開始。トライアスロンを軸に仕掛ける新戦略を、同社マーケティング担当者に聞いた。

イギリスの若手トライアスリート、ゴードン・ベンソン選手と日本を代表する女性トライアスリート、上田藍選手 「2016世界トライアスロンシリーズ横浜大会」にて Photo: Keita SETOイギリスの若手トライアスリート、ゴードン・ベンソン選手と日本を代表する女性トライアスリート、上田藍選手 「2016世界トライアスロンシリーズ横浜大会」にて Photo: Keita SETO

トップアスリートの起用で「アンカー」を訴求

 5月に行われた「2016世界トライアスロンシリーズ横浜大会」で、「BRIDGESTONE」と書かれたバイクで走り抜ける外国人選手がいた。ゴードン・ベンソン選手。ブリヂストンサイクルが20年ぶりにサポートすることになったイギリス人の若手トライアスリートだ。一方で同日、エリート女子の部で見事3位に輝いた上田藍選手。日本を代表する女性トップアスリートの彼女も、同じく「BRIDGESTONE」と書かれたアンカーのトップレーシングバイク「ANCHOR RS9」を使用していた。

アンカーRS9で走る上田藍選手。5月14日開催の「2016世界トライアスロンシリーズ横浜大会」にて Photo: Keita SETOアンカーRS9で走る上田藍選手。5月14日開催の「2016世界トライアスロンシリーズ横浜大会」にて Photo: Keita SETO

 これにはブリヂストンサイクルとしての2つの戦略がある。

 一つ目は国内のトライアスロン市場への本格参入だ。現在、日本トライアスロン連合(JTU)の会員登録者数は3万人、愛好者数は約35万人といわれるトライアスロン市場。今後もさらなる成長が見込まれ、ロードバイク人口が伸び悩む一方での新たな方向性として注目を集めている領域だ。

 トライアスロンが盛んなイギリスの競技関係者によると、現在の日本のトライアスロン市場は「イギリスの10年前」ともいわれる。同社マーケティング部商品企画課の瀬戸慶太課長は、「日本も現在のイギリスのような状態まで成長するポテンシャルがある」と見込む。一方、瀬戸氏によると日本のトライアスロン市場におけるアンカーのシェアは「まだまだ低いのが現状」で、上田選手などトップアスリートへのサポートを通じて、トライアスロンバイクとしてのアンカーの存在感を高めていきたい考えを強調した。

最新の解析技術を活用して設計された、アンカーのレーシングモデル「RS9」 Photo: Kenta SAWANO最新の解析技術を活用して設計された、アンカーのレーシングモデル「RS9」 Photo: Kenta SAWANO
2015年に発売したTTバイク「RT9」2015年に発売したTTバイク「RT9」

縮小する国内市場…海外での販売拡大に活路

 もう一つの狙いが、スポーツバイク事業そのものの海外展開だ。瀬戸氏は「市場を国外に広げなくてはならない時代に突入した」との認識を示す。

ブリヂストンサイクルの瀬戸慶太氏 Photo: Kyoko GOTOブリヂストンサイクルの瀬戸慶太氏 Photo: Kyoko GOTO

 内需が少なく、世界を見て動かなくてはならない台湾メーカーなどと違い、日本は人口1億人に対して自転車需要が7000万人。これまで国内市場のみで勝負できた。しかし、「状況は変わりつつある」(瀬戸氏)。少子化に伴い、今後国内市場の縮小が見込まれる中で、海外での活路を見出す必要に迫られているという。

 一方で、瀬戸氏は「自転車は乗れればいいという考え方は、将来少なくなっていく。我々がやるべきことは、自転車の楽しみ方や豊かな生活など自転車の可能性を広げる提案」だとし、日本の自転車文化を形成するうえで同社が培ったノウハウに、世界展開に向けた可能性があるとの見方を示した。

20年ぶり、海外選手をプロモーションに起用

 同社が今回、サポート契約を交わしたベンソン選手はアンダー23で世界選3位という戦績をもつ有望な若手選手の一人だ。トップアスリートといえるポジションではないが、同社は4年後の東京五輪を見据えた伸びしろに期待を込めたという。

新たにサポート契約を交わしたゴードン・ベンソン選手。アンカーRIS9で5月14日開催の「2016世界トライアスロンシリーズ横浜大会」に出走 Photo: Keita SETO新たにサポート契約を交わしたゴードン・ベンソン選手。アンカーRIS9で5月14日開催の「2016世界トライアスロンシリーズ横浜大会」に出走 Photo: Keita SETO

 同社は20年前にもアイアンマンの第一人者であるスコット・ティンリー選手(イギリス)をサポートしていた過去がある。しかし、これは「RADAC」(レイダック)という同社ブランドの国内向けプロモーションを目的としたもので、海外市場をターゲットに外国人選手をサポートするという意味では趣旨が異なる。

 海外選手をプロモーションに起用する場合、ロードレースではチーム単位でのサポートが原則のため、多額の費用などが難点となる。その点、トライアスロン選手は基本的には個人であり、サポートのハードルは比較的低い。瀬戸氏は「手探りな部分もあるが、海外で活躍する選手をサポートすることで知見を得ていきたい」と期待する。

 海外を意識した取り組みはすでに始まっている。アジア圏への輸出のほか、一昨年からはアジア最大のバイクショーである「台北ショー」にも出展するなど、海外市場進出に向けた準備は着々と進んでいる。世界的にブランド力のある「ブリヂストン」か、それとも国内で実績を積んだ「アンカー」として展開するかなど、検討中の課題をクリアすれば、その動きはさらに強まるとみられる。

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