ツアー・オブ・ジャパン2016 第5ステージ(南信州)リオ五輪代表コンビが活躍 内間康平が単独大逃げ、新城幸也がスプリントで5位

by 澤野健太 / Kenta SAWANO
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 8日間で争われるツアー・オブ・ジャパンの第5ステージが6月2日、長野県飯田市で開催され、内間康平(ブリヂストン アンカー サイクリングチーム)が最後の4周半を単独の大逃げ、新城幸也(ランプレ・メリダ)がスプリントで5位に食い込むなど、リオ五輪ロードレース日本代表の2人が活躍した。ステージ優勝はダニエルアレクサンドル・ハラミリョ(ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルCT)。個人総合時間首位はメヘディ・ソフラビ(イラン、タブリーズ シャハルダリ)が守った。

7周目の山岳ポイントを独走で通過した内間康平 Photo: Kenta SAWANO7周目の山岳ポイントを独走で通過した内間康平 Photo: Kenta SAWANO

 この日のコースはJR飯田駅前を出発し、天竜川の川岸まで7.3kmのパレードランの後に、周回コースに入って正式スタート。12.2kmを10周し、最後は周回から離れて1.6kmを走り、飯田市松尾総合運動場前にゴールする。レース距離は123.6kmと長くはないが、周回コース前半の山岳ポイントに向けて平均斜度10%近い急勾配が2kmほど続き、後半には高速ダウンヒルがあるなど、アップダウンの激しい難コースだ。午前9時に気温16度、風速約4mのコンディションで、パレードランがスタートした。

駒ケ岳山系の山々をバックに飯田駅前をスタートする選手たち Photo: Kenta SAWANO駒ケ岳山系の山々をバックに飯田駅前をスタートする選手たち Photo: Kenta SAWANO
地元の小学生200人も飯田駅前で選手を応援 Photo: Kenta SAWANO地元の小学生200人も飯田駅前で選手を応援 Photo: Kenta SAWANO

焼き肉ポイント過ぎでアタック

 6周目、2度目の山岳ポイントで内間が動いた。この日2度目の山岳ポイントを取ったラヒーム・エマミ(イラン、ビシュガマン サイクリングチーム)が集団に吸収されると、そのまま一気に下りS字カーブで集団が細長くなった通称「焼き肉ポイント」付近で、内間がアタックをかけた。
 
「感覚的にここしかない」という得意の下り基調の坂が始まるポイントだった。下りでも踏み続け、7周目でリーダージャージを着るソフラビらタブリーズ シャハルダリ勢がコントロールする約80人のメイン集団に40秒差。8周目では1分2秒と差を広げた。

独走する内間康平を追うタブリーズ シャハルダリ勢 Photo: Kenta SAWANO独走する内間康平を追うタブリーズ シャハルダリ勢 Photo: Kenta SAWANO

 前日はイラン勢2人に逃げ切りを許し、内間のブリヂストンアンカー サイクリングチームは、トマ・ルバ(フランス)が10位に入るのが精一杯だった。レース前のミーティングでは「イラン勢に勝たせ続けるわけにはいかない。最初から積極的に誰かが動いて行こう」と話したという。その言葉のとおり、チームメイトのダミアン・モニエ(フランス)が逃げるなど、チームは集団を刺激し続けた。

苦手な独走に挑戦

8周目の山岳ポイントに向かって単独で上る内間康平 Photo: Kenta SAWANO8周目の山岳ポイントに向かって単独で上る内間康平 Photo: Kenta SAWANO

 風も味方した。得意の下りでは向かい風、あまり得意でない上りでは追い風基調で、精神的にも楽にコースマネジメントができたという。レース終盤になっても内間は1周19分20秒~30秒台をキープ。逃げを容認したメイングループは1周20分40秒のペースで、8周目を終えた時点で3分15秒差をつけ、内間は一時バーチャルリーダー(仮想首位)になった。

38位でゴールも内間康平は大歓声で迎えられた Photo: Kenta SAWANO38位でゴールも内間康平は大歓声で迎えられた Photo: Kenta SAWANO

 しかし最終周の10周目でメイン集団が猛追。周回の最初はメイン集団とは1分50秒差だったが、周回を終えるころには差が10秒ほどに。周回を離れ天竜川を渡り、最後の約1kmの直線に先頭で突入した内間だったが、ゴール前600mで捕まってスプリントには加わらず、38位でゴールした。「集団はそんなに甘くないです。でもチャレンジしたことが成果だった」と内間は自己評価。ツール・ド・フランスなら敢闘賞に値する走りで、3万8000人の観客を熱狂させた。アジアツアーで戦い、総合首位をキープしたシャハルダリも「日本の選手の中でも山でも平坦でも戦える素晴らしい選手」と評価した。

 同郷・沖縄の先輩である新城と挑む8月のリオ五輪に向け、「1段階上げていく」のが内間のTOJでのテーマだ。苦手な独走にあえて挑戦し、ゴール直前まで4周半、約50kmを単独で逃げた。これまでの最長の逃げは2014年ツール・ド・シンカラのラスト30kmの逃げだった。この日はそれを大きく上回り「苦手でもこういう走りができるという自信になった」と明るい表情だった。

ハンドルを投げるゴールスプリントで5位に入った新城幸也 Photo: Kenta SAWANOハンドルを投げるゴールスプリントで5位に入った新城幸也 Photo: Kenta SAWANO

新城は復帰後初スプリント

 内間の活躍に負けじと、先輩・新城も骨折からの復帰後初のスプリントに参加し、ステージ5位に食い込んだ。ゴール前約300mから始まった40人弱の集団スプリントで中央から、左のラインを抜け出し、全開でもがいた。優勝したハラミリョからは1車身離れたが、2位以降はほぼ横並びでのゴールだった。「日に日に調子が良くなってきているし、体が思うように動くようになってきた。今日は(南信州ステージでの)2008年の2位以上を狙っていました」と来週の欧州復帰戦に向け、全力を出せるようになったことをアピールした。

ジロ・デ・イタリアを終えかけつけたNIPPO・ヴィーニファンティーニの福島晋一監督(右)から健闘をたたえられる内間康平 Photo: Kenta SAWANOジロ・デ・イタリアを終えかけつけたNIPPO・ヴィーニファンティーニの福島晋一監督(右)から健闘をたたえられる内間康平 Photo: Kenta SAWANO
スプリントで5位に食い込み明るい表情で会見する新城幸也 Photo: Kenta SAWANOスプリントで5位に食い込み明るい表情で会見する新城幸也 Photo: Kenta SAWANO

 「リオに一緒に出る内間選手が今日のようないい走りをできて、オリンピック代表として、とにかくうれしい」と会見の最初で自分のことよりも、後輩の活躍をたたえた。2カ月後に迫ったリオ五輪に向け、代表2人が手応えを感じさせるレースを南信州の難コースで展開した。
 
厳しいアップダウンのコースにメカトラブルの土井雪広や、佐野淳哉(ともにマトリックス パワータグ)ら4人がリタイアした。

表彰される各賞の選手たち。(左から)山岳賞のラヒーム・エマミ、新人賞のダニエル アレクサンデル・ハラミリョ、個人総合首位のメヘディ・ソフラビ、ポイント賞のアンソニー・ジャコッポ Photo: Kenta SAWANO表彰される各賞の選手たち。(左から)山岳賞のラヒーム・エマミ、新人賞のダニエル アレクサンデル・ハラミリョ、個人総合首位のメヘディ・ソフラビ、ポイント賞のアンソニー・ジャコッポ Photo: Kenta SAWANO
ステージ優勝と新人賞で表彰されたダニエル アレクサンデル・ハラミリョは長野県観光PRキャラクターの「アルクマ」に迫られ笑顔 Photo: Kenta SAWANOステージ優勝と新人賞で表彰されたダニエル アレクサンデル・ハラミリョは長野県観光PRキャラクターの「アルクマ」に迫られ笑顔 Photo: Kenta SAWANO

 翌第6ステージは6月3日、静岡県小山町をスタートする「富士山ステージ」として開催。13.2kmのパレード区間の後、道の駅「すばしり」横のふじあざみライン入口から富士山須走口5合目まで、11.4kmを一気に駆け上がるヒルクライム・レース。平均勾配10%、最大勾配22%と、富士山五合目に至る舗装路では最も勾配がきついルートで、標高の高さから天候や気温との戦いにもなりそうだ。

第5ステージ(南信州)結果
1 ダニエルアレクサンデル・ハラミリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルCT) 3時間18分08秒
2 アンソニー・ジャコッポ(オーストラリア、アヴァンティ アイソウェイ スポーツ) +0秒
3 ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)
4 ベンジャミン・プラデス(スペイン、チームUKYO)
5 新城幸也(ランプレ・メリダ)
6 キャメロン・バイリー(オーストラリア、アタッキ チームグスト)
7 ロビー・ハッカー(オーストラリア、アヴァンティ アイソウェイ スポーツ)
8 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム)
9 初山翔(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)
10 木村圭佑(シマノレーシングチーム)

個人総合成績
1 メヘディ・ソフラビ(イラン、タブリーズ シャハルダリ チーム) 12時間57分59秒
2 アンソニー・ジャコッポ(オーストラリア、アヴァンティ アイソウェイ スポーツ) +34秒
5 ダニエルアレクサンデル・ハラミリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルCT) +41秒
4 ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +41秒
5 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +52秒
6 ロビー・ハッカー(オーストラリア、アヴァンティ アイソウェイ スポーツ) +54秒
7 オスカル・プジョル(スペイン、チームUKYO)
8 アルヴィン・モアゼミ(イラン、ピシュガマン サイクリングチーム) +55秒
9 キャメロン・バイリー(オーストラリア、アタッキ チームグスト)
10 ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ) +56秒

ポイント賞
1 アンソニー・ジャコッポ(オーストラリア、アヴァンティ アイソウェイ スポーツ) 67pts
2 ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) 66pts
3 ダニエルアレクサンデル・ハラミリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルCT) 45pts

山岳賞
1 ラヒーム・エマミ(イラン、ピシュガマン サイクリングチーム) 14pts
2 メヘディ・ソフラビ(イラン、タブリーズ シャハルダリ チーム) 13pts
3 ベナム・マレキ(イラン、タブリーズ シャハルダリ チーム) 10pts

新人賞
1 ダニエルアレクサンデル・ハラミリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルCT) 12時間58分40秒
2 アミール・コラドゥーズハグ(イラン、ピシュガマン サイクリングチーム) +21秒
3 アントニオ・ニバリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +22秒

チーム総合
1 ピシュガマン サイクリングチーム 38時間56分04秒
2 タブリーズ シャハルダリ チーム +03秒
3 アヴァンティ アイソウェイ スポーツ +31秒

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