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ジロ2016 チームNIPPOの挑戦<最終ステージ>「何としても完走」という想いを結実 山本元喜が語る初めてのジロ・デ・イタリア

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 初出場のジロ・デ・イタリアで完走を果たした山本元喜(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)が、大会全体をレポート。ジロのメンバーに選ばれるためのアピールや、強い想いで完走を目指した大会中の走りを振り返ります。NIPPO・ヴィーニファンティーニの選手・スタッフによるリレー連載のラストを飾ります。

最初の山頂ゴールを終えて、ホッとした表情をみせた山本元喜 Photo: NIPPO VINI FANTINI最初の山頂ゴールを終えて、ホッとした表情をみせた山本元喜 Photo: NIPPO VINI FANTINI

ハードな山岳も無事にゴール

 とても厳しかった最終週のラスト4ステージを無事に乗り越え、「ジロ・デ・イタリア」を完走することができました。

個人タイムトライアルを走る山本元喜。山岳タイムトライアルでは、好タイムでフィニッシュした Photo: NIPPO VINI FANTINI個人タイムトライアルを走る山本元喜。山岳タイムトライアルでは、好タイムでフィニッシュした Photo: NIPPO VINI FANTINI

 第18ステージでは自分が目標としていた「逃げに乗る」ということを無事達成することができました。最後まで逃げ切ることはできませんでしたが、集団には追いつかれずに23位でゴールできました。

 第19ステージは今年のジロ・デ・イタリアにおける最高標高の山岳である「チーマコッピ」を上るステージでした。スタート直後からハイペースなレースだったうえに、前日に逃げたことによるダメージもあり、かなり苦しみましたが、無事にゴールすることができました。

 第20ステージも前日と同じくハードな山岳コースでした。スタート直後から始まる20kmの上りにおけるアタック合戦によるペースアップで、一度は集団から遅れましたが、その後に集団に復帰しゴールすることができました。今回は最終回ということで、自分のジロ・デ・イタリアに対する全体的な感想を書きたいと思います。

不安の中で過ごした今季

 まずジロ・デ・イタリアへの出場に関しては今シーズンが始まる前から狙っていました。そのためにオフシーズンである去年の冬からハードなトレーニングを積み、かなり調子を上げた状態で1月末から始まるシーズンインに備えていました。

レースを終えて、ストレッチをしながらホテルへと向かう Photo: NIPPO VINI FANTINIレースを終えて、ストレッチをしながらホテルへと向かう Photo: NIPPO VINI FANTINI

 本来であればコンディションのピークは春過ぎに持ってくるのがベストです。しかし実績のない自分としてはまずはチームにジロ・デ・イタリアのメンバーに選んでもらうことが必要でした。なので、チーム内でメンバーが決まる前に調子がいいことをアピールし、選考される必要があったのです。

 今季最初のレースであった「ツール・ド・サンルイス」(アルゼンチン)の第1ステージで逃げに入り、あと一歩で逃げ切り優勝というところまでいき、アピールすることに成功。その後に出場したイタリアでのワンデーレース、コスタ・デリ・エトルスキやトロフェオ・ライグエリアでも逃げに乗り、かなり調子が良く、「今年は違う」というところをアピールできていました。

出走サインをする山本元喜 Photo: NIPPO VINI FANTINI出走サインをする山本元喜 Photo: NIPPO VINI FANTINI

 しかし、ライグエリアの後に横道から出て来た自動車と接触事後。右手の人差し指を6針縫うけがを負いました。そのけがの影響でハードなトレーニングをすることもできずGPルガーノ(スイス)を欠場。その後に行われたツール・ド・台湾に右手の人差し指を固定したまま出場するも、成績が振るう訳もなく、イタリアに帰ってからもコンディションが上がらないままでした。

 それと同時に深刻な下りの遅さが判明し、改善を余儀なくされました。その後はチーム内でもジロに出場する可能性が高いメンバーのグループでレースに出てはいたものの、ジロの出場にするのか否かの問いかけに対しては良い返事がもらえないまま、時間が過ぎていきました。

 そして、ジロのメンバーの最終選考になると言われていたジロ・デル・トレンティーノに出場し、コンディションこそイマイチでしたが、下りを完全に克服したことをアピール、ジロに出たいということを猛烈にアピールしていました。しかしそこでも良い返事はもらえず。下りを克服したところで、上りで付いて行けなければどうしようもないということだったのでしょう。

ゴール後に水分を補給する。1ステージ走り切るとトリノのゴールまで少し近づく Photo: NIPPO VINI FANTINIゴール後に水分を補給する。1ステージ走り切るとトリノのゴールまで少し近づく Photo: NIPPO VINI FANTINI

 チーム内でジロのメンバーが発表されると聞いていた日が過ぎても、なかなかメンバーの発表がされず、「じつはメンバーから外されているから連絡が来ないんじゃないか?」と思うような不安な日を過ごしていました。

 実際には、直前のレースでの落車でけがをした選手や体調不良を起こした選手が大量にいたことにより、メンバーの選出がかなり難航していました。

 ジロに出場する選手はドイツで開催されるエスキボーン・フランクフルトに出場し、そのままオランダ入りすることになっていました。自分へのジロの出場の決定の連絡がきたのがそのレースの出発前日でした。ジロへの出場が決まるまではかなり不安でしたので、その連絡を聞きやっと安心することができました。

周囲からの見られ方は変えられる

スタート地点で子どもたちからサインを頼まれる山本元喜 Photo: NIPPO VINI FANTINIスタート地点で子どもたちからサインを頼まれる山本元喜 Photo: NIPPO VINI FANTINI

 しかし、自分が出場することになったのはNIPPO側からの「“もし、日本人を出場させるのであれば”山本元喜」という強いプッシュがあったからだということも同時に知らされました。

 「そこまでして出場させてもらったからには何としても完走しなくてはならない。自分を推してくれたNIPPOの顔に泥を塗る訳にはいかない」というかなり重いプレッシャーも同時に感じていました。

 そしてエスキボーン・フランクフルトを終え、オランダ入り。監督から「何としても完走してくれ」という、指示というよりも懇願に近いようなことを言われながらのジロの出場となりました。

日本から応援に駆けつけてくださったファンと記念撮影 Photo: NIPPO VINI FANTINI日本から応援に駆けつけてくださったファンと記念撮影 Photo: NIPPO VINI FANTINI

 正直、完走できるかどうかには自分自身かなり不安なところもありました。見る人によっては「NIPPOの日本人枠で出場させてもらっている」と思われているだろうこともわかっていましたし、明らかな力不足も感じていました。

 しかし、(実際には違いましたが)たとえ「日本人枠」であっても完走することができれば、周囲からのそういった見られ方は変えることができる、自分に経験を積ませるために出場を推してくれたNIPPOにも結果として返すことができる、と考えて「何としても完走する」という強い想いで挑みました。

 その後のレースの模様や結果、感想はこちらの記事で書かせてもらった内容や、自分のブログにアップしていたレポートのとおりでした。

ジロの経験を次のステージへ

 ジロを終えた今、様々なプレッシャーから解放されたことにより正直ホッとしています。しかしこれが自分の選手としての終着点や目標であったわけではありません。今回積ませてもらった貴重な経験は次に生かして繋げてこそ初めて意味が出てきます。そのためにも今までどおり全力で、今まで以上に努力して頑張っていきたいと思います。

日本から激励にやってきたNIPPOの方々と記念撮影。たくさんの期待を背負ってのジロ出場だった Photo: NIPPO VINI FANTINI日本から激励にやってきたNIPPOの方々と記念撮影。たくさんの期待を背負ってのジロ出場だった Photo: NIPPO VINI FANTINI

 最後になりましたが、ジロ・デ・イタリア期間中に様々な形で応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。本当にたくさんの応援を感じ、そのおかげで心折れずに非常に高いモチベーションを維持してレースに挑み続けることができました。今後とも応援をよろしくお願いします。

山本元喜山本元喜(やまもと・げんき)

1991年11月19日生まれ、24歳。鹿屋体育大学出身で、2014年ヴィーニファンティーニ・NIPPOでプロデビュー。2015年からUCIコンチネンタルチームのNIPPO・ヴィーニファンティーニに所属。大学在籍時から2010年ツール・ド・北海道区間優勝、2011年U23全日本選手権優勝など活躍し、2016年は1月のツール・ド・サンルイス(アルゼンチン、UCI2.1)や2月にイタリアで開催されたGPコスタ・デリ・エトルスキ(UCI1.1)、トロフェオ・ライグエリア(1.HC)ではアタックを仕掛けて逃げに乗り、チームの成績に大きく貢献。身長/体重:163cm/62kg、脚質:パンチャー。ブログ「Genki一杯

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