ラストレース目前のミスターブリッツェンに訊く「世界のトップスプリンターを相手に、覚悟を持って挑みたい」 廣瀬佳正選手インタビュー(後編)

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「(前編)自転車が好き、宇都宮が好き。情熱だけで動いていた」から続く

 ――栃木にはプロスポーツチームが多いですね

地元栃木で無料で発行されるスポーツ応援マガジン「SPO COM」(スポコン)地元栃木で無料で発行されるスポーツ応援マガジン「SPO COM」(スポコン)

 アイスホッケー、プロバスケット、サッカー、そしてブリッツェン。栃木では「4プロ」って言われています。いま栃木県には“スポーツで押していこう”という雰囲気があって、こういうスポーツのフリーペーパーが毎月3万部発行され、県内300カ所で配られています。

 ――凄い! こういうことは、実際に栃木に住んでいないと分からないですね

 そうですね。でもそれが地域の良さだと思うんですよ。ラジオも週に2回、AMとFMで1回ずつレギュラーがあって、FMは木曜の夕方6時からなんですよ。栃木って全国でも車の使用率がトップクラスなので、結構みんな聴いているんですよね。
このFM番組がすごくて、他のチームの選手の名前が普通に出てくるんです。シマノとかマトリックスとか、あと“鈴木真理選手のケガは大丈夫ですか?”というやりとりもある。すごい事ですよね。
一つの県がそういう形になって、これが全国20カ所とかになれば、もう日本の半分はロードレースがメジャーになるんです。そうすることがメジャースポーツにすることの最短距離じゃないかなって僕は思うんです。

栃木県内で約30万部を発行する「下野新聞」にもブリッツェンの話題が大きく取り上げられる。ジャパンカップを一週間後に控え、一面丸々を使っての特集が組まれた栃木県内で約30万部を発行する「下野新聞」にもブリッツェンの話題が大きく取り上げられる。ジャパンカップを一週間後に控え、一面丸々を使っての特集が組まれた

 ――応援バスツアーもチームの活動1年目から主催していますね

 最近は女の子も増えてきた。あと、地元のサッカーやバスケットを応援してくれている人が、ブリッツェンの応援もしてくれるようになっています。「同じ栃木で頑張っているプロスポーツチームだから、そっちも応援するよ」みたいな感じです。逆に僕らもバスケットの応援に行ったりして、いい関係を築いています。

「すごいレベルまで来た」

 ――チーム4年目の今年は国内ツアーで大活躍しました

 ブリッツェンって最近は上位に来るのが当たり前になっているじゃないですか。(メディアの)レポートとかでも、ニッポとかシマノとかと同じレベルで比べられて「ブリッツェンがどうして動かなかったのか?」と批判を受けたこともあった。一歩引いて見ると、すごいレベルまで来たんだなと思います。
ここまで来るのがすごく大変だったから、今、そういう(強くて当たり前という)価値観で話してもらっていることが、また嬉しいんですよね。

 ――チーム運営に携わりながら選手活動も続けてましたが、やはり一歩引いている感じはありましたか?

 それはありましたね。常に引退も頭の隅にありました。会社の事もやらないといけなくて、トレーニング時間もそんなに確保できませんでしたから、「こんなのでもプロって言えるのかな?とか。そこにすごい苛立ちもあったのは事実です。
今年は練習時間を例年より取れたので、国内のレースでは何とか優勝したりと、いい走りはできました。でも、常に「おせーな」と思いながら走ってますよ。まあそれはしょうがないんですよね。自分が始めたことだし。
でも今年は他の選手が、全員活躍してくれてるので、いいシーズンでした。

9月の国際大会「ツール・ド・北海道」、宇都宮ブリッツェンは初の団体優勝に輝いた9月の国際大会「ツール・ド・北海道」、宇都宮ブリッツェンは初の団体優勝に輝いた

 ――良いシーズンだったから引退を決めた?

 まあそうですね。国内ツアーで勝ちましたし(Jプロツアーでブリッツェンが個人・団体ともに総合優勝)。前例のない地域密着のプロチームが国内で1位になって、国際レースや全日本選手権でも良い走りができました。そういう意味だと、僕が辞めるタイミングとしてはすごく良いのではないかな。

 ――引退を決心したのはいつ頃ですか?

 だいたい夏くらいですね。表彰台を2回独占して、5連勝しましたよね。あの時に、もう国内ツアー戦は大丈夫だと確信したので、まあもういいかなと。
次のステップとして、チームはまたここからが大変になると思うんですよ。選手は新しい目標を作らなければならないですし、周りの期待も上がる。会社としても、これからもっとしっかりと運営をしなくちゃいけないですし。

ジャパンカップで「大きなものを残したい」

 ――大変になるけれど、それに対応できる力が付いた

 ですから今年のジャパンカップは楽しみですね。うちのチームは相当いいと思っています。選手の今の走りを見ていて、内心いけるんじゃないかと。今年のこのチームで、大きなものをもう一つ残して選手生活を退きたいですね。

 ――選手として最後のジャパンカップに臨む気持ちを教えてください

 ジャパンカップでは土曜のクリテリウムにのみ出場します。自分がどこまで上位に食い込めるか分かりませんが、世界のトップスプリンターを相手に、覚悟を持って挑みたいと思います。
宇都宮でのホームレースで世界のトップ選手を迎え撃つジャパンカップは、国内ツアー優勝と同じくらい毎年の目標で、大事にしているレースです。地元で好き放題にやられたくないから、絶対にチームの誰かが表彰台に上がりたいですね。
日曜のレースに自分は出ませんが、チームメイトが頑張って最高の結果を出してくれることを信じて見守りたいと思います。

◇      ◇

 廣瀬選手の公式戦最終レースは、10月28日に行われるJプロツアー最終戦「JBCF 輪島ロードレース」になる予定だという。

廣瀬佳正廣瀬 佳正(ひろせ よしまさ)
1977年生まれ。作新学院を卒業後、地元栃木のクラブチームYCSTを経て、2001年ブリヂストンでプロ入り。ブリヂストンに2年、シマノに6年間在籍し、入賞多数。2008年、宇都宮ブリッツェンを設立。2012年6月「東日本ロードクラシック」で国内ツアー初優勝。2012年9月、同年限りでの現役引退を発表。
http://www.blitzen.co.jp

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