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ジロ2016 チームNIPPOの挑戦<第18ステージ>福井メカニックも“ジロ完走”まであと1日 長丁場を乗り切るための「息抜き」とは

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 ジロ・デ・イタリア、残すは最終ステージの1日のみ。参戦中の「NIPPO・ヴィーニファンティーニ」の若手メカニック、福井響さんによる現地レポートも最終回。長丁場を乗り切るための息抜きのポイントや、今大会で得られた経験について語ってくれました。

2度目のジロ。福井響メカニックも完走まで“あと1日”となった ©NIPPO Vini Fantini2度目のジロ。福井響メカニックも完走まで“あと1日”となった ©NIPPO Vini Fantini

長丁場は体力よりも精神力!

 ジロ・デ・イタリアはついに最終日を迎えます。オランダから始まった1カ月間は過酷で長かったですが、スタッフのリタイアはゼロ。全員が無事に明日の最終日まで選手をサポートします。

 今日はそんな過酷な日々を乗り越えるための『スタッフの息抜き術』についてお話しします。

 21ステージもの長丁場ともなると、息抜きを怠るものならスタッフもぶっ倒れてしまいます。体力的な部分よりもストレスからくる精神面の部分での息抜きが最後まで元気に乗り切れるかを左右します。

 スタッフの手が圧倒的に足りていない私たちのようなワイルドカードチームは、毎日のように新しい問題が勃発します。ただでさえ時間のない小さなチームが、常に勃発する問題で1日中頭を悩ましていては、最後まで体がもつわけがありません。

 息抜き術はスタッフによって多少違ってきますが、1カ月も集団行動をしていると息抜き方法は似てきます。今日はそんなスタッフ陣の息抜き術をまとめてご紹介します。

定番のカッフェ&ミュージック

イタリアの朝食と言えばこれ。クロワッサン&カプチーノ ©NIPPO Vini Fantiniイタリアの朝食と言えばこれ。クロワッサン&カプチーノ ©NIPPO Vini Fantini

 ひとつ目の息抜き方法はイタリアご自慢のCaffé(カッフェ)。朝食はクロワッサンとカプチーノを片手にリラックスモード。レース会場に着くとバスに搭載されているエスプレッソマシンでCafféタイム。レース後ホテルに着くと仕事前にもう一杯。さらに飲む人は夕食後にもクイッと一杯飲んで床に着きます。この国にとってCafféとは生活に欠かせないものであり、1日の節目節目には必ず片手に温かい一杯があります。

 次に音楽。音楽は世界共通の娯楽ですね。たとえ言葉がわからずとも皆が楽しめます。第2監督を務めるマリオはイタリアのヴァスコ・ロッシというロック歌手が大好き。朝スタート地点へ向かうまでと、レース後ホテルへ向かう時はヴァスコ・ロッシがチームカーの中で鳴り響きます。もちろんマリオ監督も音楽に合わせながら叫んでいます。

 メカニック陣にとっても音楽は欠かせません。仕事中は必ずアップテンポなミュージックが掛かっています。メカニックの音楽担当は私。その日その日の気分に合わせた音楽を準備できるよう、トラックには1万曲が入ったパソコンを常備しています。イタリア人は踊るのも大好きですから、音楽と気分がベストマッチした時には急に踊りだすことも。陽気なイタリア人にとっては息を抜くだけでなく、あえて一息入れて仕事を楽しむ、そんな息抜き方法もありますね。


※動画はジロ以前の大会でのものです

仕事前にも一杯!?

 そして次に最も欠かせないのがアルコール。これは世界共通ですね。イタリア語にはアペリティーボという言葉があります。これが本当に便利な言葉で、日本語に訳すと「食前酒」でしょうか。

 夕食の前にクイっと一杯飲んで夕食をより美味しくする、とイタリア人から学んだことがあります。しかしジロ終盤のここ最近はレース後ホテルに着いてさぁ仕事をするぞ!というときに、アペリティーボという名目でお酒が注がれます。夕食はまだ3時間後なのですが…。

 時には仕事後にスタッフがチームバスに集まり、お酒とおつまみが用意された本格的なアペリティーボが開催されることもあります。

皆が揃って食事するのがイタリアンチーム。会話が弾む ©NIPPO Vini Fantini皆が揃って食事するのがイタリアンチーム。会話が弾む ©NIPPO Vini Fantini

 そしてもちろん夕食時にはワイン。数種類のファンティーニ製ワインが並び皆で乾杯。イタリア語で「サルーテ!」さらに日本語で「カンパイ!」と2カ国語で監督が音頭をとります。夕食はほろ酔い気分になって話はさらに盛り上がり、イタリア人は1日の出来事を常に笑いを含めながら話します。

 私の知人に落語家がいますが、イタリア人を見ているとまるで落語家そのもの。話の組み立てがとても上手く、沢山の登場人物とどでかいオチをもって一つの話が締めくくられます。そして一切噛まず時にはそのストーリーが10分近くに及ぶこともありますから、もう本当に落語を見ているよう。

 そうして陽気な1日は笑いながら過ぎていきます。

成長を測れた2度目のジロ

 今年のジロはチームカーに乗り3週間を常に最前線で過ごすことができました。これは私にとってまた新たな経験となりました。オランダからの移動や、山岳賞ジャージの奪還と維持。スタッフにとっても昨年以上に厳しく神経質な日々が続きました。

 勢いで乗り越えた昨年のジロとは違って、話せる言葉を増やして臨んだ私の2回目のジロ。チーム内で発生した問題を理解し、監督が日を重ねるごとに神経質になっていることも理解できるようになっていました。去年は理解できずに流していたことが、今年は数え切れない情報がどんどん頭に侵入し時には思わず大きなため息が出る日も。

 しかしその分、さらに沢山のジロの姿を今年は見ることができました。それは最前線で経験したことだけではなく、裏側で発生する問題を理解し順に解決することも含めての姿です。そこには自ら主張をする力も必要でした。まだまだ語学力は足りませんが、それでも負けじと意見を伝えることは次のステップへ向けた一歩だと思っています。

 私にとっての今年のジロを一言でまとめるとするならば、「自分の成長を測れた3週間」。まるで小学生の頃の身体測定をしているようでした。もし来年もこの素晴らしい機会を経験できるのなら、また3週間の測定器に乗って自身の成長と課題を確かめたいですね。

あと1日、ぼちぼちいきまっせ〜! ©NIPPO Vini Fantiniあと1日、ぼちぼちいきまっせ〜! ©NIPPO Vini Fantini

 残すはフィナーレの第21ステージ。しっかり最後まで走りきり、ファンティーニのスパークリングワインで乾杯します。

 それでは私のジロ寄稿はこれで最後です。今シーズンもまだまだ沢山レースは残っています。ジロが終わったあとも引き続きNIPPO・ヴィーニファンティーニの応援をよろしくお願いします。

 それでは最終ステージも、ぼちぼち頑張りまっせ〜!

福井響福井響(ふくい・ひびき)

1993年3月7日生まれ、大阪府出身。高校時代から自転車競技にめざめ、一般入試を受けて鹿屋体育大学に入学。自転車競技部に入部し、本格的に自転車競技に打ち込むが、そのなかでプロメカニックの存在を知り、大学2回生で選手からメカニックに転向。大学在学時からヨーロッパで活動するチームNIPPOでメカニック研修を積み、2015年、大学卒業と同時にNIPPO・ヴィーニファンティーニに加入。現在は、「本場の自転車競技を日本に普及させたい」という思いのもと、第一線の現場で働いている

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