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“ジロで”つれづれイタリア~ノ<9>選手たちの疲労を左右するホテルの質 ジロでめぐる宿泊事情

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ブレッサノーネのエレファントホテル。クラシックで美しい Photo: MarcoFAVAROブレッサノーネのエレファントホテル。クラシックで美しい Photo: MarcoFAVARO

 みなさん、ジロからボンジュール!…と言いたかったのですが、大変なことが起きてしましました。インターネットが使えない事態に見舞われたのです。イタリア国内ではほとんどの宿泊施設やレストランに無料のWi-Fiサービスがあるのですが、5月27日の第19ステージ、ピレローロ→リスルではフランスへと越境したため、インターネットが丸一日使えない状態が続きました。ハイテクなフランスでも珍しいことで、スタッフも選手たちも他の取材陣もかなり驚いていました。結果として昨日はジロから面白いニュースをお伝えできませんでした。すみません。さて、この事件を教訓にグランツールにおけるホテル問題について考えてみたいと思います。

宿泊先はホテルとは限らない

 1000人以上参加するグランツールのコースを設計するには、たくさんの問題をクリアしなければなりません。コースもそうですが、スタートとゴール地点の広い駐車スペースの確保、そしてスタート周辺にある宿泊できる施設の確保。なぜ「ホテル」ではなく「施設」という言葉を使ったかと言いますと、泊まる場所は必ずしもホテルとは限らないからです。

ホテルでよく見かける朝の風景 Photo: MarcoFAVAROホテルでよく見かける朝の風景 Photo: MarcoFAVARO

 基本的にホテルの手配はすべてジロ・ディタリアのオーガナイザーである「RCS Sports」が担っています。各チームのスタッフと選手たちの宿泊費は無料です。朝食、昼食、夕食も含まれます。しかし、選手がケガや病気などでリタイヤすると、宿泊費の支給が途絶えます。もちろん、スポンサーやゲストもチーム負担となります。

 基本的に各チームの宿泊施設のリストは一般に公開することはありません。機材泥棒や、“追っかけ”の迷惑なファンから選手たちを守るためです。

選手の朝食。毎朝必ずたくさんのフルーツを食べます Photo: MarcoFAVARO選手の朝食。毎朝必ずたくさんのフルーツを食べます Photo: MarcoFAVARO

 ワールドツアーのチームは高級ホテル、プロコンチネンタルのチームはワンランクダウンのホテルという概念ではないようです。ほとんどは3~4つ星のビジネスホテルクラスでした。実際、プロコンチネンタルチームのNIPPO ヴィーニ・ファンティーニが宿泊したホテルには、カチューシャやティンコフ、ジャイアント・アルペシン、ロット・NL・ユンボ、エフデジなど、ワールドツアーチームも一緒でした。

疲れた体も癒されるベスト3

エレファントホテル。半地下でセレクトされた高級ワインのコーナーも完備Photo: MarcoFAVAROエレファントホテル。半地下でセレクトされた高級ワインのコーナーも完備Photo: MarcoFAVARO

 ベストホテルと呼べる場所は、3つありました。第15ステージ、ブレッサノーネ市内のエレファントホテル、第17ステージ、ミラノ近郊のグランホテル・ドゥーカ・ディ・マントヴァ、そして第20ステージ、クネオ郊外のカステッロ・ロッソホテル。いずれも質の高いホテルで、グランホテル・ドゥーカ・ディ・マントヴァは大型ショッピングセンターに隣接している便利さでした。

ミラノ近郊のホテル 外装はシンプルでしたが、内装は高級感に溢れました Photo: MarcoFAVAROミラノ近郊のホテル 外装はシンプルでしたが、内装は高級感に溢れました Photo: MarcoFAVARO
ミラノ近郊のホテルの内装。シンプルで快適 Photo: MarcoFAVAROミラノ近郊のホテルの内装。シンプルで快適 Photo: MarcoFAVARO
クネオ近郊のホテルからの眺め。古いお城をリニュアルし、高級ホテルへ生まれ変わりました Photo: MarcoFAVAROクネオ近郊のホテルからの眺め。古いお城をリニュアルし、高級ホテルへ生まれ変わりました Photo: MarcoFAVARO
仕事に疲れたスタッフも一休み Photo: MarcoFAVARO仕事に疲れたスタッフも一休み Photo: MarcoFAVARO

ゴーストタウンのような場所での宿泊も

フランスのリゾート地。ゴーストタウンのようでした Photo: MarcoFAVAROフランスのリゾート地。ゴーストタウンのようでした Photo: MarcoFAVARO

 ワーストホテルは、第12ステージ、ポルデノーネ市のホテルサンティン。設備が古く、スタッフの対応もあまり良くありませんでした。しかし、一番ひどかったのが、第20ステージ、フランス、リスルスキーリゾートのレ・バルコン・デ・シリウス。リスルスキーリゾートは苗場に似て、春先はゴーストタウンと化しています。ホテルというよりレンタルアパートのような施設で、食堂もなければインターネットもありません。食事はケータリング会社から支給されたもので、食堂がないため玄関先でとりました。

フランスのホテルの朝食の風景。どこの体育館の臨時食堂? Photo: MarcoFAVAROフランスのホテルの朝食の風景。どこの体育館の臨時食堂? Photo: MarcoFAVARO
仮設の食堂で食事をとる選手たち Photo: MarcoFAVARO仮設の食堂で食事をとる選手たち Photo: MarcoFAVARO

 少し古びた合宿所のような粗末なものでした。あまりのひどさに3つのチームは宿泊を拒否し、自腹で違うホテルを探しました。

せめて休みは至福のときを

第17ステージの朝。アルプスの絶景の前で心が洗われます Photo: MarcoFAVARO第17ステージの朝。アルプスの絶景の前で心が洗われます Photo: MarcoFAVARO

 ホテルの良し悪しは、長いステージと長い移動で疲れているアスリートに大きな影響を与えます。ホテルが快適であればあるほど、疲れのとれ具合は違います。実際、ほとんどの選手たちがマッサージと食事が終わると、街を出歩く気力が残っていないため、部屋でくつろいでいます。

 せめてこの短い至福の時間をいい部屋で過ごしてほしいものです。

 さて、明日はジロ最終日。イタリアのチャンピオン、ヴィンチェンツォ・ニバリ(アスタナ プロチーム)が総合優勝を飾りそうです。

 最終ステージの街、トリノでどんな騒ぎが起こるか、楽しみです。

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)

東京都在住のサイクリスト。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会や一般社団法人国際自転車交流協会の理事を務め、サイクルウエアブランド「カペルミュール」のモデルや、欧州プロチームの来日時は通訳も行う。日本国内でのサイクリングイベントも企画している。ウェブサイト「チクリスタインジャッポーネ

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