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ジロ・デ・イタリア2016 第20ステージアルプス最終決戦はタラマエが勝利 激走ニバリがマリアローザを奪取し2度目の総合優勝に王手

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ジロ・デ・イタリア第20ステージは5月28日、ギレストルからサンタンナ・ディヴィナーディオまでの134kmで争われ、レイン・タラマエ(エストニア、チーム カチューシャ)が独走でステージ優勝。ジロ初出場で初勝利を挙げた。注目の総合争いは、前日ステージ優勝のヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)がライバルを圧倒。総合首位に立つと同時に自身2度目の総合優勝に王手をかけた。NIPPO・ヴィーニファンティーニの山本元喜は140位でフィニッシュし、初出場での完走へあと一歩に迫った。

逆転で総合首位に立ちマリアローザを着たヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) Photo: Yuzuru SUNADA逆転で総合首位に立ちマリアローザを着たヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) Photo: Yuzuru SUNADA

第99回ジロの最終決戦地はアルプス山脈

 2016年のジロは、いよいよ大詰め。第18ステージまでマリアローザをキープしていたスティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ)が前日のステージで落車し、遅れを喫したことによって総合争いが混沌となった。トップのヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)から総合2位のニバリまでは44秒。総合3位に順位を落としたクルイシュウィックは1分5秒差と、展開次第では総合順位のシャッフルも大いにあり得る状況だ。

 最終日の第21ステージは、慣例として総合成績を左右する動きは起きないことから、事実上このステージがマリアローザをかけた最後の戦いでもあった。その舞台はアルプス山脈を行く134kmのコース。序盤から上りが始まり、1級山岳を3つ越えた後、登坂距離2.3kmの3級山岳を上りきってフィニッシュを迎える。そこでマリアローザに袖を通した選手が、今年のジロ制覇を濃厚とする。

 レースは10人が逃げグループを形成。総合上位陣を脅かす存在がいなかったこともあり、メーン集団は逃げを容認。10分以上のタイム差を得て先を急いだ。その間、スタートから19km地点に設けられた1級山岳ポイントをシュテファン・デニフル(オーストリア、イアム サイクリング)が1位、ミケル・ニエベ(スペイン、チーム スカイ)が2位で通過した。

雪の残るボネット峠を行くプロトン Photo: Yuzuru SUNADA雪の残るボネット峠を行くプロトン Photo: Yuzuru SUNADA

山岳賞争いでニエベがクネゴを逆転

 続く2つ目の1級山岳、ボネット峠を上り始めた残り92km地点で、ニエベが逃げグループからペースアップ。これを追う選手が現れず、独走状態となった。ニエベの狙いは、山岳賞争いでトップに立つこと。1つ目の1級山岳を2位通過した時点で、山岳賞首位のマリアアッズーラを着るダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)との間が24ポイント差に迫り、通過順位次第ではニエベがトップに躍り出る可能性が膨らんでいた。

 ニエベを追うグループが6人によって形成されたが、その中には当初逃げグループに加わっていたクネゴやデニフルが含まれておらず、ニエベにとって山岳賞を獲得するうえで願ってもないチャンスが訪れた。

 そして、狙い通りニエベが頂上を1位通過。35ポイントを獲得した一方で、クネゴはポイント獲得ならず、この時点でニエベが山岳賞首位となった。

大逆転をかけニバリがアタック

区間優勝を果たしたタラマエ Photo: Yuzuru SUNADA区間優勝を果たしたタラマエ Photo: Yuzuru SUNADA

 40kmにわたる長い下りに入り、ニエベは追走グループに吸収される。今大会活躍が光ったジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)も後方から合流。8選手が先頭で先を急ぐ格好となった。

 3つ目の上りが始まった残り約30kmで、ジョゼフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ、キャノンデール プロサイクリングチーム)とホンダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシングチーム)がペースアップ。さらに、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター チーム)が加わった。この3人が快調にリードするが、10kmほど進んだところでタラマエとタネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ プロチーム)が合流した。

 残り15kmでドンブロウスキーが再びペースを上げると、またもアタプマとヴィスコンティがチェック。しかし、一旦遅れたかに見えたタラマエが追いつくと、そのままのペースで先頭へと出て独走を開始。みるみる間にその差が開いていった。

 総合上位陣が含まれるメーン集団は、人数をそろえるアスタナ プロチームがペースをコントロール。先頭グループの逃げ切りは完全に容認したものの、マリアローザ争いで優位に立とうという構えだ。残り20kmを前に、ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ プロチーム)がペースを上げると、集団は総合上位の選手たちだけに絞られる。そして、残り15kmのバナーを通過すると同時にニバリがアタック。総合での大逆転をかけた決死のトライが始まった。

チャベスを突き放すニバリ Photo: Yuzuru SUNADAチャベスを突き放すニバリ Photo: Yuzuru SUNADA

最後の最後にライバルを圧倒

 ニバリのアタックに続いたのは、マリアローザのチャベスと総合4位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)。しかし、その構図もわずかな間だった。ニバリが高回転のペダリングでリズムに乗せると、チャベスもバルベルデもそのスピードに太刀打ちできなかった。

 ニバリはライバル2人を引き離すと、あえて先頭グループからは遅れてニバリの上がりを待っていたカンゲルトに合流。しばらくカンゲルトが牽引した後、ニバリが再び独走を開始。後方では、リゴベルト・ウラン(キャノンデール プロサイクリングチーム)がチームを超えたアシストで、同じコロンビア人のチャベスを援護するが、やがてチャベスがそのペースからも遅れてしまう。123.7km地点に設けられた、この日3つ目の1級山岳通過時点でニバリがバーチャルマリアローザとなり、総合での逆転が見える状況となった。

 トップを独走していたタラマエは、ペースを落とすことなく最終盤の3級山岳を上りきり、単独2位を走っていたアタプマに52秒差をつけて勝利。満面の笑みでフィニッシュラインを越えた。

 タラマエのフィニッシュから6分44秒後。ニバリがフィニッシュへとやってきた。ペースに陰りはなく、最後までしっかりと踏みきった。マリアローザの行方は、ライバルたちとのチャベスとのタイム差で決まる。そして、チャベスがタラマエから8分20秒差でフィニッシュしたことを確認すると、総合での逆転が決まりニバリはスタッフと大喜び。劇的な逆転劇に喜びもひとしおだ。

ゴールに向かうニバリ Photo: Yuzuru SUNADAゴールに向かうニバリ Photo: Yuzuru SUNADA

 最終ステージを前に、総合優勝をほぼ手中に収めたニバリは、「素晴らしい1日になった。スカルポーニとカンゲルトはフィニッシュに向けて、さらにはヤコブ・フルサング(デンマーク)のアシストも見事だった」とチームメートの働きを称えた。さらには、「標高の高い場所でもしっかりと呼吸ができ、上手く走りきる自信があった。失うことも、また勝つためのリスクを負うことも恐れていなかった」と続けた。

山本元喜のジロ初完走が目前に

 激しい山岳決戦の後方では、このステージを乗り切るべくいくつかのグルペットが形成され、フィニッシュを目指していた。山本は70人以上で形成されたグループに位置。45分6秒遅れで1日を終えた。

 これにより、ジロ初出場での完走が近づいてきた。残すは1ステージ。目的地・トリノのフィニッシュ地点に到達すれば、晴れてジロ3週間の長旅が完遂となる。

第20ステージ結果
1 レイン・タラマエ(エストニア、チーム カチューシャ) 4時間22分43秒
2 ホンダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシングチーム) +52秒
3 ジョゼフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ、キャノンデール プロサイクリングチーム) +1分17秒
4 ミケル・ニエベ(スペイン、チーム スカイ) +4分12秒
5 アレクサンドル・フィリフォロフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) +4分36秒
6 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) +6分44秒
7 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +6分57秒
8 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール プロサイクリングチーム) +6分57秒
9 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター チーム) +7分47秒
10 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +8分06秒
140 山本元喜(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +45分06秒

個人総合(マリアローザ)
1 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 82時間44分31秒
2 ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +52秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +1分17秒
4 スティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) +1分50秒
5 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +4分43秒
6 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +8分31秒
7 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール プロサイクリングチーム) +11分47秒
8 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター チーム) +13分21秒
9 ホンダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシングチーム) +14分09秒
10 カンスタンティン・シウツォウ(ベラルーシ、ディメンションデータ) +16分20秒
152 山本元喜(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +4時間49分05秒

ポイント賞(マリアロッサ)
1 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード) 185pts
2 ディエーゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) 152pts
3 マッテーオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ) 141pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ミケル・ニエベ(スペイン、チーム スカイ) 152pts
2 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) 134pts
3 ホンダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシングチーム) 118pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) 82時間53分02秒
2 セバスティアン・エナオ(コロンビア、チーム スカイ) +29分38秒
3 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ) +1時間10分07秒

チーム総合
1 アスタナ プロチーム 248時間37分41秒
2 キャノンデール プロサイクリングチーム +6分57秒
3 モビスター チーム +21分00秒

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