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ジロ・デ・イタリア2016 第18ステージトレンティンがラスト150mで鮮やかな逆転劇 逃げグループに入った山本元喜が23位

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ジロ・デ・イタリア第18ステージは5月26日、ムッジョからピネローロまでの240kmで争われ、マッテーオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ)がジロ初勝利となるステージ優勝を挙げた。首位のスティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ)はマリアローザをキープしている。NIPPO・ヴィーニファンティーニの山本元喜は、今大会初めて逃げグループでレースを進め、終盤に遅れたものの23位となった。

区間優勝を遂げたマッテーオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ) Photo: Yuzuru SUNADA区間優勝を遂げたマッテーオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ) Photo: Yuzuru SUNADA

山本が逃げグループに加わる

マリアローザを囲むフォトグラファー Photo: Yuzuru SUNADAマリアローザを囲むフォトグラファー Photo: Yuzuru SUNADA

 大会は終盤へと突入し、最終決戦地のアルプス山脈が近づいてきた。そんなタイミングで訪れた240kmの最長ステージは、ラスト20kmを切って迎える2級山岳プラマルティーノが最大勾配17%。そして、最大勾配20%の激坂サン・マウリッツォは残り28kmとフィニッシュ前2.5kmの2回通過。500m続く石畳の上りをクリアすると、テクニカルな下りが待ち受け、勝負どころとなることが予想された。

 序盤に形成された逃げグループは24人。この中に山本が加わった。逃げを得意とする山本だが、初出場のジロでついにチャンスがやってきた。メーン集団は先頭を行くグループの動きを容認。リーダーチームのチーム ロットNL・ユンボがメーン集団をコントロールし、逃げグループとのタイム差は最大で12分台にまで広がった。

 残り50kmを前に、逃げグループからダニエル・オス(イタリア、BMCレーシングチーム)が上りを利用してアタック。これをきっかけに数人が追随するが、その後の下りで多くの選手が合流。シュテファン・キュンク(スイス、BMCレーシングチーム)がコーナーで落車したが、しばらくしてグループに復帰した。

 残り42kmで、逃げグループから今度は前日の勝者であるロジャー・クルーゲ(ドイツ、イアム サイクリング)がアタック。クルーゲはすぐに捕まったが、続けて飛び出したオリヴィエ・ルガック(フランス、エフデジ)とパヴェル・ブルット(ロシア、ティンコフ)が数秒のリードを得て先行を開始。やがてブルットが独走態勢に入った。

エスケープグループに入った山本元喜 Photo: Yuzuru SUNADAエスケープグループに入った山本元喜 Photo: Yuzuru SUNADA

 フィニッシュラインを一度通過した後、1回目のサン・マウリッツォへ。約20秒差でリードしていたブルットだったが、この上りで後続が次々と合流。この時点で山本は遅れ、逃げグループは11人に絞られた。

 2級山岳プラマルティーノの上りが始まると、11人の中からモレーノ・モゼール(イタリア、キャノンデール プロサイクリングチーム)がアタック。これをジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)とイヴァン・ロヴニー(ロシア、ティンコフ)がチェック。モゼールとブランビッラがペースを上げると、ロヴニーは遅れ、先頭は2人となる。今大会ではマリアローザを着用するなど、好調のブランビッラとレース巧者のモゼールは快調に飛ばし、後続を引き離す。そのまま頂上の山岳ポイントを通過し、フィニッシュへと向かう下りを進んだ。

猛追実り、会心の勝利

終盤のモゼールとブランビッラの争い Photo: Yuzuru SUNADA終盤のモゼールとブランビッラの争い Photo: Yuzuru SUNADA

 いよいよ迎えた2回目のサン・マウリッツォ。先頭の2人で先に仕掛けたのはモゼール。それに対抗すべくブランビッラもカウンターアタックを繰り出すが、両者いずれの攻撃にもしっかりと対応。差がつくことはなく、そのままラスト1kmのフラムルージュを通過した。

 互いに勝利を意識し牽制状態に入る。前に出たのはモゼール、ブランビッラはすぐ後ろにピッタリとつける。

 その後方には、猛然と追い込む1人の選手の姿が見える。ブランビッラのチームメートで、ともに逃げグループでレースを進めていたトレンティンだ。先頭2人のうち、後ろを走るブランビッラは後方を確認しその存在に気が付いている様子。しかし、モゼールは自身のスプリントタイミングを図っている状態。

 そして、決定的瞬間はラスト150mで起こった。トレンティンが2人に追いつくと、ここまで追い上げてきたスピードのまま逆サイドから追い抜き、先頭に躍り出た。ようやく気付きスピードを上げたモゼールだったが時すでに遅し。ラスト50mで勝利を確信したトレンティンは、右手人差し指を高々と突き上げ、そのポーズのままフィニッシュラインを通過した。会心の勝利に、その立場を譲ったブランビッラもガッツポーズだ。

 ツール・ド・フランスではステージ2勝の実績があるトレンティンだが、ジロは出場2回目で初勝利。予想をはるかに超える劇的な幕切れとあって、ジャージのファスナーを閉める間もなくフィニッシュへと飛び込んだ格好だ。アシストとして走った北のクラシックを経て調子が上がっていたといい、「今日のステージでは、逃げが容認されることは予測できていた。上りの感覚もよかったし、ブランビッラが前に行ってくれたことで、チームにとって完璧なレース展開になった」と勝因を語った。

総合上位に変動なし

 一方のメーン集団は、クルイシュウィック擁するチーム ロットNL・ユンボがしっかりと主導権をキープ。エンリーコ・バッタリーン(イタリア、チーム ロットNL・ユンボ)がペースメイクし、ライバルたちの動きを抑えた。

チームメートに守られて走るクルイシュウィック Photo: Yuzuru SUNADAチームメートに守られて走るクルイシュウィック Photo: Yuzuru SUNADA

 何らかの動きが見られる可能性があった2回目のサン・マウリッツォでも、クルイシュウィック自ら先頭に立ち、ライバルの様子をうかがう。頂上手前で総合3位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)が、その後の下りで総合2位のヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)と同4位のヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)がスピードを上げたものの、クルイシュウィックはいずれの動きもチェックする。

 結果的に順位、タイム差ともに変動なく、総合上位陣は一団のまま13分24秒差でフィニッシュラインを通過。勝負の行方は、フレンチアルプスを行く第19、第20ステージへと委ねられることとなった。

 なお、序盤から逃げ続けた山本は最後まで前方でレースを進め、総合上位陣に先着。ステージ優勝のトレインティンから13分2秒差の23位フィニッシュとなっている。

第18ステージ結果
1 マッテーオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ) 5時間25分34秒
2 モレーノ・モゼール(イタリア、キャノンデール プロサイクリングチーム) +0秒
3 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ) +0秒
4 サーシャ・モドロ(イタリア、ランプレ・メリダ) +20秒
5 ニキアス・アルント(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン) +30秒
6 イヴァン・ロヴニー(ロシア、ティンコフ) +34秒
7 マッテーオ・ブザート(イタリア、ウィリエール・サウスイースト) +1分10秒
8 クリスティアン・クネース(ドイツ、チーム スカイ) +1分16秒
9 アクセル・ドモン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +1分24秒
10 ダヴィデ・マラカルネ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +4分28秒
23 山本元喜(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +13分02秒

個人総合(マリアローザ)
1 スティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) 73時間50分37秒
2 ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +3分00秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +3分23秒
4 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) +4分43秒
5 イルヌール・ザカリン(ロシア、チーム カチューシャ) +4分50秒
6 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +5分34秒
7 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +7分57秒
8 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター チーム) +8分53秒
9 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +10分05秒
10 カンスタンティン・シウツォウ(ベラルーシ、ディメンションデータ) +11分15秒
156 山本元喜(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +3時間38分45秒

ポイント賞(マリアロッサ)
1 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード) 185pts
2 マッテーオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ) 141pts
3 ディエーゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) 137pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) 134pts
2 シュテファン・デニフル(オーストリア、イアム サイクリング) 72pts
3 ホンダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシングチーム) 69pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) 73時間58分34秒
2 セバスティアン・エナオ(コロンビア、チーム スカイ) +16分44秒
3 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール プロサイクリングチーム) +44分36秒

チーム総合
1 アスタナ プロチーム 221時間53分12秒
2 キャノンデール プロサイクリングチーム +12分42秒
3 モビスター チーム +16分59秒

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