ガルシアが総合3位、クロフォードが山岳賞キナンがチーム総合優勝 インドネシアで開催のアジアツアー「ツール・ド・フローレス」

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 和歌山県と三重県にまたがる熊野地域を本拠地とするUCI(国際自転車競技連合)コンチネンタルチーム「キナンサイクリングチーム」が、インドネシアで5月19~23日に開催された「ツール・ド・フローレス(UCIアジアツアー2.2)」に出場し、チーム総合優勝、個人総合3位などの成績を残した。チームの指揮をとった石田哲也監督のレポートをお届けします。

ツール・ド・フローレスに参戦したキナンサイクリングチームのメンバー。(選手左から)伊丹健治、阿曽圭佑、ジャイ・クロフォード、ウェズリー・サルツバーガー、リカルド・ガルシア Photo: KINAN Cycling Teamツール・ド・フローレスに参戦したキナンサイクリングチームのメンバー。(選手左から)伊丹健治、阿曽圭佑、ジャイ・クロフォード、ウェズリー・サルツバーガー、リカルド・ガルシア Photo: KINAN Cycling Team

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第1ステージ: サルツバーガーが区間2位

観客でごった返すスタート地点。クロフォードが記念写真に応じる Photo: KINAN Cycling Team観客でごった返すスタート地点。クロフォードが記念写真に応じる Photo: KINAN Cycling Team

 ララントゥーカからマウメレに向けて、カテゴリー3級、1級の上りを越える138.8kmのレース。スタートからアップダウンとコーナーの続く、気の休まらないコースだ。

 ハイペースの中、50km地点でリカルド・ガルシアが落車。軽いケガで済んだが序盤のアクシデントにヒヤリとする。その後、伊丹健治がすぐにフォローへ入り、ガルシアは無事に集団へ復帰した。集団前方では激しいアタック合戦の後、ウェズリー・サルツバーガーを含む14人が逃げ集団を形成した。我々としてはミーティング通り、ステージ優勝を狙えるウェズを逃げに乗せられた。

 大所帯となった逃げ集団はペースを上げ、メーン集団との差をみるみる広げ、ゴールでは5分差まで開き、逃げ切りゴールスプリントへ。優勝は、クリスティ・ジェイソン。昨年のツール・ド・沖縄の優勝者で、先週の「ツール・ド・イジェン」でもステージ優勝をしている元ニュージーランドチャンピオンだ。

サルツバーガーがステージ2位 Photo: KINAN Cycling Teamサルツバーガーがステージ2位 Photo: KINAN Cycling Team

 サルツバーガーはステージ優勝は逃したものの、ステージ2位、総合も3位に入り、翌日からとても走りやすい位置につけた。逃げの14人は5分の差をつけたが、その多くがパンチャーで、この先のハードな上りのステージを考えれば、総合成績ではメンバーが入れ替わるだろう。第2ステージからは山のレースが続く。チームの調子は良く楽しみだ。

第1ステージ結果
1 ジェイソン・クリスティ(ニュージーランド、ケニヤンライダーズ・ダウンアンダー) 3時間28分41秒
2 ウェズリー・サルツバーガー(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +0秒
3 マ・ガンドン(中国、WISDOM-HENGXIANG CYCLING TEAM)
19 リカルド・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) +5分57秒
26 阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム)
30 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム)
32 伊丹健治(キナンサイクリングチーム)

第2ステージ: ガルシアが区間3位

 この日はマウメレからエンデに向けて、山岳を4つ越える141.3km。最後に待つ1級山岳を越えて下った先がゴールとなる。序盤から小さな逃げが繰り返し形成される中、ダニエル・ホワイトハウス(イギリス、トレンガヌサイクリングチーム)が単独で逃げ続けた。

山岳が連続するコースに、集団は細分化された Photo: KINAN Cycling Team山岳が連続するコースに、集団は細分化された Photo: KINAN Cycling Team

 最後の1級山岳ではジャイ・クロフォード、ガルシアを含む8人が抜け出し前を追いかけるが、ホワイトハウスはそのまま後続に3分の大差を付けて単独でゴール。ステージ優勝と総合リーダーを手にした。

ガルシアが区間3位 Photo: KINAN Cycling Teamガルシアが区間3位 Photo: KINAN Cycling Team

 後続の8人では、ガルシアがチームUKYOのベンジャミン・プラデスに続き3位でゴール。続いてクロフォードが6位。サルツバーガーが勝負どころのパンクで遅れ13位。伊丹は38位、阿曽も55位で無事完走した。

 ハードなステージだったが順調に前でレースを展開することができた。翌日からはほぼ頂上ゴールのステージが2つ続くので、ここで大きくジャンプアップを狙う。

第2ステージ結果
1 ダニエル・ホワイトハウス(イギリス、トレンガヌサイクリングチーム) 3時間55分51秒
2 ベンジャミン・プラデス(スペイン、チームUKYO) +3分36秒
3 リカルド・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)
6 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +3分40秒
13 ウェズリー・サルツバーガー(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +8分53秒
38 伊丹健治(キナンサイクリングチーム) +18分54秒
55 阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム) +23分21秒

第3ステージ: 頂上ゴールで総合成績アップ

ホテルで出発準備をする選手たち Photo: KINAN Cycling Teamホテルで出発準備をする選手たち Photo: KINAN Cycling Team

 エンデ~バジャワまでの123.3km。スタートからアップダウンを繰り返し、最後に超級山岳を上ってゴールのハードなコースだ。

 スタートから少人数が逃げ、リーダーチームのトレンガヌサイクリングチームがコントロールする安定した展開。我々は最後の山岳に向け、5人全員で集団前方を陣取り終盤に備える。恒例となった伊丹による集団とチームカーとのピストン補給は、山岳コースでかなりハード。6kg以上のボトルを持って何度も山を上る姿はベテランの職人技だ。

 レースは数人の逃げ集団を1分差まで詰めたところで最後の超級山岳へ。先頭を固めていたトレンガヌサイクリングのアシスト陣もあと1人になり、87人でスタートした集団も20人ほど、そこから更にペースは上がり10人ほどに絞られた。

 キナンはクロフォードとガルシアの2人を送り込み、チームUKYOのプラデスと再三アタックを繰り返す。しかしリーダーのホワイトハウスは遅れずに反応。結局ゴールまで10人の集団は分かれずに一団でゴールした。優勝は香港のロナルド・イェン。6位にクロフォード、9位にガルシアが入り、これで2人が総合トップ6入りとなった。

第3ステージ結果
1 ロナルド・イェン(香港、WISDOM-HENGXIANG CYCLING TEAM) 3時間34分14秒
2 ベンジャミン・プラデス(スペイン、チームUKYO) +0秒
3 チョウ・ヒョンミン(韓国、GEUNSAM INSAM CELLO) +2秒
6 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム)
9 リカルド・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)
29 ウェズリー・サルツバーガー(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +3分34秒
36 阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム) +5分31秒
55 伊丹健治(キナンサイクリングチーム) +16分57秒

第4ステージ: 総合争いで激しいバトル

スタート直前まで日陰で待つ選手たち Photo: KINAN Cycling Teamスタート直前まで日陰で待つ選手たち Photo: KINAN Cycling Team

 バジャワからルッテンへに至る、ハードな山岳を越える136.6km

 スタート直後から30km続く急な下りで3人がアタック。1分差を付けてリードしていく。集団後方では下りで遅れていく選手も。下りきるとトレンガヌサイクリングチームのコントロールが入り、ペースは安定した。

 キナンとしては早めの仕掛けも考えていたが、総合3位のプラデスが下りで逃げ集団に加わり、リーダーチームを消耗させるには十分な逃げ集団になったので、レース後半まで待つ事に。集団は逃げまで最大3分程で、いつでも捕まえられる差を維持してコントロールする。集団では伊丹、阿曽が補給役に回り、クロフォード、ガルシア、サルツバーガーは集団前方で足を休めながら走った。

チームカーでボトルを受け取る伊丹 Photo: KINAN Cycling Teamチームカーでボトルを受け取る伊丹 Photo: KINAN Cycling Team
大量のボトルを集団後ろのチームカーから、伊丹が集団前方まで運び上げる Photo: KINAN Cycling Team大量のボトルを集団後ろのチームカーから、伊丹が集団前方まで運び上げる Photo: KINAN Cycling Team

 そして本格的な山岳に入り、1つ目の超級山岳入口、残り30km地点でクロフォードがアタック。集団は活性化して一気に12人に絞られた。逃げていた選手を吸収しながら、ペースをさらに上げて前を追いかける。

 先頭は中国のリュウ・ジャンペンが単独先行。続いてクロフォードとプラデスが、12人からさらに抜け出した。後ろはアシストを失った総合リーダーを含むメーングループ。リーダーのホワイトハウスは1人で集団を引き、2番手でリカルドがマーク。逆転の大きなチャンスが訪れた。

 しかし、ホワイトハウスは残り10km以上を1人で先頭に立ち引き続け、逃げるクロフォードとプラデスとのタイム差は20秒から開かない。逃げる2人は先頭のリュウを数mまで追い込んだが届かず、クロフォードがステージ3位となった。ガルシアはホワイトハウスと同タイムの集団でゴール。個人総合の逆転には至らなかった。

 クロフォードは個人総合4位にアップ。チーム総合は2位に7分差をつけ、キナンの1位が安全圏となった。

クロフォードが区間3位 Photo: KINAN Cycling Teamクロフォードが区間3位 Photo: KINAN Cycling Team
表彰式後、地元の観客との記念撮影に応じるクロフォード Photo: KINAN Cycling Team表彰式後、地元の観客との記念撮影に応じるクロフォード Photo: KINAN Cycling Team

第4ステージ結果
1 リュウ・ジャンペン(中国、WISDOM-HENGXIANG CYCLING TEAM) 3時間48分49秒
2 ベンジャミン・プラデス(スペイン、チームUKYO) +2秒
3 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム)
4 リカルド・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) +33秒
19 ウェズリー・サルツバーガー(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +3分18秒
25 阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム)
53 伊丹健治(キナンサイクリングチーム) +15分28秒

第5ステージ: ガルシアが総合3位フィニッシュ

レーススタートを待つ選手たち Photo: KINAN Cycling Teamレーススタートを待つ選手たち Photo: KINAN Cycling Team

 ルッテンからラブワンバジョへ向かう121.5km。最終日もハードなコースで、スタートから6㎞地点に超級山岳が設定されている、見るだけで嫌になるコースプロフィールだ。スタート地点では入念にアップをする選手が多くみられ、ここで最後の逆転を狙う選手が仕掛けていく事が予想される。我々もそこに備えてスタートした。

 パレードから0km地点を過ぎると一気に加速し、そのままの勢いで超級山岳へ。目まぐるしく変わる状況にラジオツール(競技用無線)は慌ただしい。頂上付近では数人の抜け出しにサルツバーガーと伊丹が加わる。ハイスピードの中、メーン集団では総合2位の選手が遅れはじめたところで、クロフォードとガルシアが攻撃を開始。前方のサルツバーガーと伊丹も合流して一気に仕掛ける。

 複数に分かれたグループは、どこもハイスピードで我慢比べ状態。その後一旦遅れた選手が追い付き、メーン集団は20人程に大きくなるがそれもつかの間。ゴールまで30km地点、今大会最後の山岳ポイントへ向けて、一気に加速した集団は再び崩壊する。

大会ロゴとキナンが使用するヨネックスのバイク Photo: KINAN Cycling Team大会ロゴとキナンが使用するヨネックスのバイク Photo: KINAN Cycling Team
ガルシアが区間2位 Photo: KINAN Cycling Teamガルシアが区間2位 Photo: KINAN Cycling Team

 先頭はクロフォードとUKYOのプラデス。15秒遅れて個人総合リーダーのホワイトハウスと、これにぴったりついたガルシア。その後はバラバラに選手が上っていく。ここで大きく差が開けば個人総合順位のジャンプアップ、そして逆転のチャンスも出てくる。最後のチャンスと勝負に出たが、もちろんリーダーも強く、なかなか先頭2人とのタイム差が開かない。

 そのままの状態で頂上をクリアし、ゴールへ一気に下っていく。そんな時、先頭のクロフォードが下りで落車。ココでの落車は痛かった…。1人になったプラデスに、後ろからリカルドとリーダーが追い付き先頭は3人に。クロフォードはレースへ復帰し、後続の第2グループに合流してゴールへ向かった。

 先頭集団は3人のままゴールへ、ステージ優勝のプラデスに続きガルシアが2位でゴール。ガルシアは最終日で総合3位にアップ。またクロフォードが山岳賞ジャージを獲得した。

ガルシアは個人総合でも3位に Photo: KINAN Cycling Teamガルシアは個人総合でも3位に Photo: KINAN Cycling Team
総合3位のインタビューを受けるガルシア Photo: KINAN Cycling Team総合3位のインタビューを受けるガルシア Photo: KINAN Cycling Team

第5ステージ結果
1 ベンジャミン・プラデス(スペイン、チームUKYO) 3時間17分50秒
2 リカルド・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) +0秒
3 ダニエル・ホワイトハウス(イギリス、トレンガヌサイクリングチーム) +3秒
8 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +2分50秒
12 阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム) +7分36秒
52 伊丹健治(キナンサイクリングチーム) +26分19秒

最終個人総合成績
1 ダニエル・ホワイトハウス(イギリス、トレンガヌサイクリングチーム) 18時間11分43秒
2 ベンジャミン・プラデス(スペイン、チームUKYO) +2分56秒
3 リカルド・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) +3分40秒
4 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +6分09秒
12 ウェズリー・サルツバーガー(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +21分19秒
24 阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム) +39分25秒
47 伊丹健治(キナンサイクリングチーム) +1時間17分17秒

キナンサイクリングチームの各賞成績
山岳賞 1位(ジャイ・クロフォード)
チーム団体総合時間賞 1位
ベストアジアンチーム 1位
ポイント賞 3位(リカルド・ガルシア)

キナンは直前開催のツール・ド・イジェンに続いて、チーム総合優勝を勝ち取った Photo: KINAN Cycling Teamキナンは直前開催のツール・ド・イジェンに続いて、チーム総合優勝を勝ち取った Photo: KINAN Cycling Team

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 今回のツール・ド・フローレスを終えて、個人総合優勝には届かなかったものの、各ステージで積極的に攻撃し、ステージ入賞と各賞獲得でチームの存在を大きくアピールできたと思います。

 個々の力に加えチーム力も良くまとまり、とてもいい状態で国内ツアーに挑めます。ツアーオブジャパン、そして我々が最も重要視する「ツール・ド・熊野」では、ぜひ会場に足を運んでいただき、ロードレースのスピード感を感じてください。そしてキナンサイクリングチームに会いに来ていただけたら嬉しいです。是非会場では応援よろしくお願いします。(キナンサイクリングチーム監督 石田哲也)

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