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ジロ2016 チームNIPPOの挑戦<第15ステージ>秘蔵動画で紹介「プロメカニック洗車の流儀」 休息日前の4分間

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 ジロ・デ・イタリアは第15ステージを終え、2週間を消化し、選手もスタッフもお待ち兼ねの休息日。心身ともに一息入れてフィナーレへの1週間のためチームは体勢を整えます。参戦中の「NIPPO・ヴィーニファンティーニ」の若手メカニック、福井響さんによる現地レポートは、サイクリストが知りたい「プロの洗車」について、とっておきの動画つきでお届けします。

2週間の最後の力絞る

 さて、スタッフにとって休息日に休めるか否かは休息日前日の頑張りに掛かっています。前日のうちに自転車、ホイールを全て洗い上げ、タイヤ交換も済ませておくとしっかり休息のための1日となります。私たちも2週間目最後の力を振り絞り、休息日前に最終週の準備を終わらせました。

 よく洗車中に「自転車は毎日洗うのか?」と質問をされます。もちろん毎日洗うのですが、そこで何故だと聞かれると色々と理由がありそこからいつも話が長くなります。

 オイルは放っておくと、どんどん埃をキャッチして塊を作るため、それが潤滑を妨げる、というのが自転車を毎日洗う1番の理由だと思います。他にレースはいわゆるチーム一押しの自転車を公式にお披露目する場ですから、ピカピカな状態にするのは当たり前ですよね。

 また汚れた状態で整備すると手が真っ黒になりますし、自転車を綺麗にすることで不具合箇所が見つけやすくなります。つまり自転車を洗うことは良いこと尽くしで、逆に自転車を洗わないというのは毎日リスクを積み重ねていくことになります。

毎日、メカニックたちが行っている洗車。高圧洗浄機で汚れを落とす ©NIPPO Vini Fantini毎日、メカニックたちが行っている洗車。高圧洗浄機で汚れを落とす ©NIPPO Vini Fantini

いかに簡単に早くできるか

 そんな私たちにとって基本中の基本である洗車。今回はその洗車の作法を紹介します。作法といってもたった数分の出来事ですからとても簡単。現場で10分、20分も洗車に時間を掛けていては仕事になりませんから、いかに簡単に早く綺麗にできるかが要になります。今からお教えする超簡単な洗車法でぜひ皆さんの愛車も(毎日とは言いませんが…)綺麗にしてあげてください。

 まずは埃を吸って黒くなった油分を落としていきましょう。私たちが油落としに使用しているのは現場からワガママを言って開発して頂いたヴィプロスのグーキンαというもの。まだプロトタイプですがまもなく市場デビュー予定。こうして開発に関われるのも現場の楽しいところですよね。灯油や軽油でも油は落ちますが、チェーン洗浄液は臭いも少なくなにより汚れの落ち方が違います。

 この洗浄液をカップに入れてブラシを使い、まずはブレーキキャリーパー、次に変速機、そしてチェーン・スプロケットと各部位に塗っていきます。ブラシでこすって油を落とすのではなくあくまでも洗浄液を浸透させるイメージで塗っていきます。

洗車の必需品、ケミカル類。左からチェーン用の“ムオン”、変速部に使用するオイルスプレー“マリンルプリカント”、フレームのコーティング剤“クリーンイノベーター” ©NIPPO Vini Fantini洗車の必需品、ケミカル類。左からチェーン用の“ムオン”、変速部に使用するオイルスプレー“マリンルプリカント”、フレームのコーティング剤“クリーンイノベーター” ©NIPPO Vini Fantini
チームからの要望により完成した油分の洗浄剤“グーキンα”。もうすぐ市販化される ©NIPPO Vini Fantiniチームからの要望により完成した油分の洗浄剤“グーキンα”。もうすぐ市販化される ©NIPPO Vini Fantini

高圧洗浄機が便利

 黒い油が滴り始めるくらいしっかりと洗浄液を各部位に浸透させたら次は水で一気に流します。高圧洗浄機があると狭い部分もさらに綺麗に黒い油が落とせます。

 油分を落としたあとは食器用洗剤とスポンジで自転車の隅々を磨いていくだけ。チェーンやスプロケットは念入りにゴシゴシと洗ってあげると残った油分がさらに落ちます。ホイールもスポークやハブの部分までしっかりと洗ってあげてくださいね。隅々までしっかり磨き上げたら水で流して終了。

 しかし洗車はここで終わりではありません。大事なのはここから。なるべく早く水を拭き取り、チェーンも含めてなるべく細かい隙間の水も取り去ってください。私たちはエアーピストルを使って水を一気に吹き飛ばします。水が残っている状態で放置するとフレームに水垢が残りますし、油分のなくなった金属部分はすぐに錆び始めます。

愛車が長生きするために

仕上げに使用するフレームのコーティング剤の“クリーンイノベーター”。泡状になっており、ウエスを使って拭きあげるグーキン ©NIPPO Vini Fantini仕上げに使用するフレームのコーティング剤の“クリーンイノベーター”。泡状になっており、ウエスを使って拭きあげるグーキン ©NIPPO Vini Fantini

 綺麗に水を拭きあげたらオイルを散布します。私たちが使用しているのオイルは大きく分けて2種類。ひとつはブレーキキャリパーや変速機の関節部分に使う”マリンルブリカント”という軽いオイルスプレー。もうひとつはチェーン用の液体タイプのオイル”ムオン”。そして最後にクリーンイノベーターというコーティング剤でフレームもピカピカに磨き上げたら洗車は終了です。

 こうして毎日常に綺麗な状態を保っています。毎日洗っていると汚れも溜まりませんから洗車の苦労が少なく済みます。汚れた状態でしばらく放置していると油が固まり、汚れがフレームに染みたりと洗車の終わりが見えなくなります。

 自転車に長生きしてもらうコツはまさに”洗車”です。今週末は皆さんバケツとホースを持ってぜひ自転車と向き合ってみてください。

 それでは休息日もぼちぼちいきまっせ〜!

福井響福井響(ふくい・ひびき)

1993年3月7日生まれ、大阪府出身。高校時代から自転車競技にめざめ、一般入試を受けて鹿屋体育大学に入学。自転車競技部に入部し、本格的に自転車競技に打ち込むが、そのなかでプロメカニックの存在を知り、大学2回生で選手からメカニックに転向。大学在学時からヨーロッパで活動するチームNIPPOでメカニック研修を積み、2015年、大学卒業と同時にNIPPO・ヴィーニファンティーニに加入。現在は、「本場の自転車競技を日本に普及させたい」という思いのもと、第一線の現場で働いている

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