講師は元選手の辻善光さんらタイム計測から補助輪外しまで 子供も大人も全力の自転車教室「向日町トラックチャレンジ」

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 京都府向日(むこう)市の向日町競輪場で5月3日、走行技術を学び、バンクを全力で走れる自転車教室「第14回向日町競輪場トラックチャレンジ」が開かれた。親子でも楽しめるイベントとして、元プロロードレーサーの辻善光さんや競輪選手、学生の自転車選手、芸人らが講師を務めた。辻さん自身のレポートで、スクールの模様を紹介します。

バンク走路のイエローラインより上を走る練習。下のホワイトラインの走行より難しい Photo: Yoshimitsu TUJIバンク走路のイエローラインより上を走る練習。下のホワイトラインの走行より難しい Photo: Yoshimitsu TUJI

家族みんなで楽しめるイベント

競輪選手、芸人、トレーナー、学生といった幅広い講師陣 Photo: Yoshimitsu TUJI競輪選手、芸人、トレーナー、学生といった幅広い講師陣 Photo: Yoshimitsu TUJI

 2008年に第1回を開催し、8年目を迎えたこのイベント。今回は3つのコンセプトでイベント作りをしました。

1. 自転車を安全に楽しく乗ろう

 自転車ブームにより落車や事故が多発しているなか、技術を磨くことでより安全に自転車に乗れるようなプログラムを目指しました。

2. 競輪選手と競輪場をもっと身近に

 日本には44もの競輪場があります。自転車専用競技場がこれほど充実している国は珍しく、自転車競技大国でもありますが一般サイクリストには利用しにくく遠い存在でもあります。競輪選手の協力により競輪場が身近な競技場なるような取り組みを進めています。

3. さまざまな自転車競技を知ってもらう

 自転車競技にはロードレースやマウンテンバイクなどの走る競技だけでなく、サイクルサッカーやサイクルフィギュアといった競技も含まれています。サイクルサッカーの選手を講師として招くことで競技の認知度の向上と新たなプログラムを取り入れることにしました。

 今回は初めて、子供のスクールと大人のスクールを同時に行いました。ゴールデウィークであったこともあり、親子でのエントリーが多く、安心して思い切り自転車を楽しめるように同時進行でプログラムを進行しました。またお母さんには昼食作りを手伝っていただき、家族全員が楽しめる工夫をしました。

ガリガリガリクソンさんは子供たちと一緒に技術講習会に参加 Photo: Yoshimitsu TUJIガリガリガリクソンさんは子供たちと一緒に技術講習会に参加 Photo: Yoshimitsu TUJI
ゴールデンウィークだったため親子での参加が多く、受付後は親子別々に自転車を楽しんだ Photo: Yoshimitsu TUJIゴールデンウィークだったため親子での参加が多く、受付後は親子別々に自転車を楽しんだ Photo: Yoshimitsu TUJI

ガリガリガリクソンには負けないぞ!

 吉本興業所属のお笑い芸人、ガリガリガリクソンさんがゲストとして登場し、子供たちと一緒に講習会に参加して、自転車の技術向上を目指しました。関西では非常に有名な芸人さんで、子供たちは大喜び。一本橋やスラロームでは「対決したい!」と闘志むき出し。世の中の厳しさをストレートに伝えるタイプのガリクソンさんは本気で勝負し、勝ったり負けたりを繰り返し、どんどん全体の技術レベルが向上していきました。

ギリギリを攻めてパイロンを跳ね飛ばす Photo: Yoshimitsu TUJIギリギリを攻めてパイロンを跳ね飛ばす Photo: Yoshimitsu TUJI
白熱した対戦。相手が子供であろうが容赦ないガリガリガリクソンさん Photo: Yoshimitsu TUJI白熱した対戦。相手が子供であろうが容赦ないガリガリガリクソンさん Photo: Yoshimitsu TUJI
タイムトライアルバイクでも思い切り走れるのが競輪場のいいところ Photo: Yoshimitsu TUJIタイムトライアルバイクでも思い切り走れるのが競輪場のいいところ Photo: Yoshimitsu TUJI

 大人のスクールは競輪選手が講師となり競輪場のバンク走路を使用した本格的なメニューとなりました。初めてバンクを走る人もいればトラックレースに出場している人まで大きな実力差があるなか、競輪選手によるわかりやすい説明で、気付けば先頭交代ができるようになりました。時には競輪選手も一緒に走り、ペースのコントロールや目線の位置、声出し(注意喚起)の仕方など、安全に速く走れるように指導してくれました。

 また、立命館大学のサイクルサッカー部員を講師に招き、サイクルサッカーを取り入れた練習をしました。助走を付けてボールをキック!(本来のサイクルサッカーではペダルから足を離してはいけません) 自転車に乗るだけでなく、バランスを取りながらボールを蹴るのは一苦労。みんな苦戦しながらもバイクコントロールを磨きました。

立命館大学サイクルサッカー部が指導。競技の知名度向上と、選手たちの指導力向上に繋がった Photo: Yoshimitsu TUJI立命館大学サイクルサッカー部が指導。競技の知名度向上と、選手たちの指導力向上に繋がった Photo: Yoshimitsu TUJI
競輪選手が付きっきりで指導。このあと補助輪を外すことができた Photo: Yoshimitsu TUJI競輪選手が付きっきりで指導。このあと補助輪を外すことができた Photo: Yoshimitsu TUJI
テニスコート内でボールの取り合い。ボールを見ながら他の人とぶつからないように全体を見る難しいメニュー。ときには転倒しながらうまくなっていった Photo: Yoshimitsu TUJIテニスコート内でボールの取り合い。ボールを見ながら他の人とぶつからないように全体を見る難しいメニュー。ときには転倒しながらうまくなっていった Photo: Yoshimitsu TUJI

休憩返上で自主練習

 バンクを走れるようになるとタイム計測がしたくなります。200m、400m、3000mの計測を行い、3000mだけの人もいれば3種目とも計測する人も。競輪選手が走るコツを説明してくれるので、言われた通りに全力で走るだけ。3000mでは日本競輪選手会京都支部の窓場千加頼(まどば・ちかより)選手がデモ走行をし、みんな圧倒的なスピードと音に圧倒されました。

みんなに応援されながら走るタイムトライアルは力が入る。大人も本気 Photo: Yoshimitsu TUJIみんなに応援されながら走るタイムトライアルは力が入る。大人も本気 Photo: Yoshimitsu TUJI
窓場千加頼選手によるデモ走行。安定したフォームと圧倒的なスピード。加速するたびに会場がざわついた Photo: Yoshimitsu TUJI窓場千加頼選手によるデモ走行。安定したフォームと圧倒的なスピード。加速するたびに会場がざわついた Photo: Yoshimitsu TUJI

 頑張って自転車に乗るとお腹ペコペコに。マルホン胡麻油で揚げたての唐揚げとおにぎり、スープで元気回復。「おかわりー、おかわりー!」と唐揚げが大人気でした。

 子供たちはすごいスピードで食べて、気がつけばバンクで自主練習。休憩時間を返上して走り回りました。競輪選手も休憩返上で安全管理してくれました。

誰よりもお腹を空かしていたガリガリガリクソンさん。スープを3杯おかわりしていた Photo: Yoshimitsu TUJI誰よりもお腹を空かしていたガリガリガリクソンさん。スープを3杯おかわりしていた Photo: Yoshimitsu TUJI
唐揚げには高級天ぷら料亭で使用される胡麻油を贅沢に使用。おかわり続出 Photo: Yoshimitsu TUJI唐揚げには高級天ぷら料亭で使用される胡麻油を贅沢に使用。おかわり続出 Photo: Yoshimitsu TUJI
お腹ペコペコだった子供たちは上機嫌 Photo: Yoshimitsu TUJIお腹ペコペコだった子供たちは上機嫌 Photo: Yoshimitsu TUJI

本気で熱くなった全員リレー

女性でもすぐにバンク走行ができるようになり、全力で走ることができた Photo: Yoshimitsu TUJI女性でもすぐにバンク走行ができるようになり、全力で走ることができた Photo: Yoshimitsu TUJI

 最後は大人も子供も、プロも芸人も全員参加のリレー対決。この日補助輪が外れたばかりの子もいて最後までどうなるかわからない展開に。

 圧倒的リードしていた「チームからあげ」に助っ人としてサイクルサッカー選手が入ると、なんと圧倒的な遅さ!ギア比1:1(ロードでいうと前36T後ろ36Tに相当)という激軽ギアでどんどん差が拮抗していく。「チームおにぎり」では競輪選手が本気ダッシュ!最大2周半あった差がアンカーの時点で4分の1周差。

気合いの入ったこの表情!チームのために頑張った Photo: Yoshimitsu TUJI気合いの入ったこの表情!チームのために頑張った Photo: Yoshimitsu TUJI

 チームからあげのアンカーはガリガリガリクソンさん、チームおにぎりのアンカーはふるさとアスリート辻善光。差はどんどん詰まり、最後の直線で逆転しチームおにぎりの勝利!競輪選手から勝利記念の賞品を受け取り大喜び。負けたチームはガリガリガリクソンさんに詰め寄る場面も。みんなが本気で走り、笑い、熱くなった。

 参加してくれた皆さまに、協賛ブランドから提供された参加賞を用意しました。競輪選手会京都支部からはQUOカードとタオル、キャップ、Tシャツをご用意していただきました。

競輪選手からのプレゼントを羨ましそうに見る Photo: Yoshimitsu TUJI競輪選手からのプレゼントを羨ましそうに見る Photo: Yoshimitsu TUJI
タオルやキャップ、QUOカードまでたくさんのプレゼントが用意された Photo: Yoshimitsu TUJIタオルやキャップ、QUOカードまでたくさんのプレゼントが用意された Photo: Yoshimitsu TUJI
BMWジャパンのタオルとスティックバルーン Photo: Yoshimitsu TUJIBMWジャパンのタオルとスティックバルーン Photo: Yoshimitsu TUJI
左からサンボルト「Fma UV cutアームカバー」、太陽化学「サンファイバー」、竹本油脂「マルホン胡麻油 太香胡麻油」 Photo: Yoshimitsu TUJI左からサンボルト「Fma UV cutアームカバー」、太陽化学「サンファイバー」、竹本油脂「マルホン胡麻油 太香胡麻油」 Photo: Yoshimitsu TUJI
KTテープジャパンの「KTテープ」 Photo: Yoshimitsu TUJIKTテープジャパンの「KTテープ」 Photo: Yoshimitsu TUJI

補助輪が外れた子供も競輪場を1周

 今回は初めて全年齢、全レベル参加可能というイベントにしました。補助輪付きの自転車の子供から3kmを3分56秒で走る強者まで、分け隔てなく参加していただきました。

 補助輪が付いていた子は全員リレーのときには補助輪が外れていて、競輪場を1周できました。競技をしている方は競輪選手からトレーニング方法を学べて、ロードを乗り始めて間もない方は他の参加者と交流ができ自転車仲間を増やすことができました。

一人だけ補助輪付きで泣いていた子も、最後にはバンクを1周できるようになった Photo: Yoshimitsu TUJI一人だけ補助輪付きで泣いていた子も、最後にはバンクを1周できるようになった Photo: Yoshimitsu TUJI
「第14回向日町競輪場トラックチャレンジ」で、子供たちがガリガリガリクソンさんの“先生”になる場面も Photo: Yoshimitsu TUJI「第14回向日町競輪場トラックチャレンジ」で、子供たちがガリガリガリクソンさんの“先生”になる場面も Photo: Yoshimitsu TUJI

 誰もが楽しめるイベントを企画するにあたり、競輪選手の協力が不可欠でした。自転車で生きている競輪選手は肉体だけでなく精神的にも多くの壁を乗り越えてきているのでどんな話でも面白く、みんな興味津々でした。

 ただ、人前で話すことに慣れていなかったり、イベント運営の経験がない選手もいたため、今回のような機会を通じて学び成長してくれることも今後の活動で重要になってくると感じました。

全員で集合写真。ガリガリガリクソンさんのネタが不発に終わり、みんな苦笑い Photo: Yoshimitsu TUJI全員で集合写真。ガリガリガリクソンさんのネタが不発に終わり、みんな苦笑い Photo: Yoshimitsu TUJI

 第14回ともなると初回に携わっていたメンバーは一人もいません。そのような状況でも続けていくことが大切であり、また「向日町競輪場」が多くの人に愛される素晴らしい施設であることを伝え広めていくことが大切なのではないかと思います。

 向日町競輪場トラックチャレンジは多くの方のお力添えによって成功することができました。競輪選手会京都支部や吉本興業、ノベルティー協賛していただいた多くの企業に大変感謝しております。

 今後もこの活動を続けていけるよう、一同力を合わせて努力を続けていきたいと思います。

(レポート 辻善光)

辻善光辻 善光(つじ・よしみつ)

1984年生まれ、奈良県奈良市出身 京都府立北桑田高校から立命館大学へ進学。卒業後はマトリックスパワータグ、宇都宮ブリッツェン、チームUKYO、湘南ベルマーレに所属し、国内有数のスプリンターとして活躍。現在はTeamZenkoとしてシクロクロスやトライアスロンに参戦、またバイクトレーニング、ポジションチェック、栄養管理など自転車特有の知識と経験で「より楽に、より速く」自転車に乗れるようにトレーナー活動を展開中。吉本興業ふるさとアスリートとしても活動中。

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