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ジロ・デ・イタリア2016 第15ステージ新星フォリフォロフが山岳個人TTを制す クルイシュウィックも同タイムで首位堅守

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 ジロ・デ・イタリア第15ステージが5月22日、カステルロットからアルペ・ディ・シウージに至る個人タイムトライアル(TT)で行われ、アレクサンドル・フィリフォロフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)がグランツール初優勝を挙げた。個人総合首位のマリアローザを着るスティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ)が0.16秒差の区間2位に入り、首位の座を守った。NIPPO・ヴィーニファンティーニの山本元喜は94位で完走した。

ステージ優勝のフィリフォロフと0.16秒差の区間2位に入り、首位のマリアローザを守ったスティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) Photo: Yuzuru SUNADAステージ優勝のフィリフォロフと0.16秒差の区間2位に入り、首位のマリアローザを守ったスティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) Photo: Yuzuru SUNADA

今大会最後の個人TT

山本は区間94位と好走 Photo: Yuzuru SUNADA山本は区間94位と好走 Photo: Yuzuru SUNADA

 最後の休息日前、2週目のクライマックスを飾るのは、10.8kmの山岳個人TTだ。今大会3度ある個人TTのラストを飾るにふさわしい、“上るだけ”の力勝負のステージ。序盤こそ緩やかに上るが、4.4kmの中間計測地点からゴールまで6.4kmは、平均勾配8.8%、最大11%という厳しいものになる。

 選手は総合順位の下から順に、1分間隔で1人ずつスタートしてタイムを競い、上位15選手のみ3分間隔でスタートする。余計な駆け引きはなく、現時点での各選手の実力差が如実に出るレースだ。上りのみとあって、選手は重たい平地用のTTバイクは使わずにノーマルバイクを選択。一部選手のみDHバーのアタッチメントを付けて出走していた。

 前日まで総合165位に付けていた山本は、レース序盤の5番目にスタートを切った。山本は先行する2選手を追い抜き、33分16秒というこの日94位のタイムでゴール。今大会初めて区間100位以内に入り、調子が上がっていることをアピールした。

フォリフォロフが驚異的なタイム

驚異的なタイムを記録したフォリフォロフ Photo: Yuzuru SUNADA驚異的なタイムを記録したフォリフォロフ Photo: Yuzuru SUNADA

 レース中盤を過ぎ、暫定首位に立つのは30分04秒のイアン・ボズウェル(アメリカ、チーム スカイ)。このタイムを大きく更新したのが、前日まで総合58位のフォリフォロフだった。中間計測でトップに立つと、ゴールではボズウェルのタイムを一気に1分25秒更新する、28分39秒を記録。初めて30分を切るだけでなく、28分台中盤という驚異的なタイムを叩き出した。

 フォリフォロフのタイムはレース終盤になっても破られないまま、総合上位の15人が次々とスタートを切った。まず好走を見せたのは、総合12位につけるボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)。29分43秒の好タイムで総合トップ10に返り咲いた。続いてイルヌール・ザカリン(ロシア、チーム カチューシャ)も29分26秒のタイムでゴール。フォリフォロフのタイムには及ばないものの、総合順位を上げた。

 逆にタイムを失ったのが、総合8位のリゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール プロサイクリングチーム)。区間49位の31分57秒というタイムで、一気に総合12位まで転落した。また総合5位のアンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター チーム)も30分51秒の区間27位とブレーキ。総合7位に順位を落とした。

ニバリにまさかのトラブル

 トップ4ではまず、総合4位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)が中間計測を2番手の好タイムで通過した。総合3位のヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)は中間10番手と抑えめの序盤だ。バルベルデは後半も力強いペダリングをみせ29分02秒でゴール。チャベスも後半盛り返して29分19秒という区間6位の好タイムを記録した。

区間3位と好調だったバルベルデ Photo: Yuzuru SUNADA区間3位と好調だったバルベルデ Photo: Yuzuru SUNADA

 総合2位のヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)はバルベルデより10秒遅い5番手で中間計測を通過。やや体を揺らしながら苦しそうに上るニバリだったが、レース後半で信じられないトラブルに見舞われた。チェーンがメカに噛み込み、無理矢理戻そうと踏み続けたところで、リア変速機がもげて走行不能に陥ったのだ。すぐに自転車を交換して走り始めたが、大きくタイムを失って30分49秒の区間25位ゴール。総合順位を1つ落とすことになった。

 最後にスタートしたクルイシュウィックは、まさに“マリアローザ・マジック”を演じてみせた。中間計測でまず暫定トップタイムを9秒更新。後半もスピードは衰えず、総合ライバル勢を上回る、暫定トップのフォリフォロフに迫る勢いでゴール地点に現れた。ゴールタイムは28分39秒で同じ。しかしわずかコンマ16秒及ばず、この瞬間にフォリフォロフの区間優勝が決まった。

優勝のフォリフォロフ「信じられない」

後半タイムを伸ばしたチャベス。総合2位に浮上 Photo: Yuzuru SUNADA後半タイムを伸ばしたチャベス。総合2位に浮上 Photo: Yuzuru SUNADA

 グランツール初出場で初勝利をもぎとったフォリフォロフは24歳の若手選手。180cmの長身ながら体重60kgと細身で上りを得意とすることから、今大会当初からこのステージでの好成績を狙っていたという。とはいえ優勝は本人も想定外。「信じられない。夢のようだ。ベストを尽くしたけど、信じられないよ」とレース後、喜びを爆発させた。

 総合上位勢ではタイムを失ったニバリに代わり、チャベスが総合2位に浮上。クルイシュウィックは総合首位を文句なしにキープして、逆に2位以下との差を2分台にまで広げた。ジロは最後の休息日を迎え、いよいよ最終決戦の第3週目へと突入する。

第15ステージ結果
1 アレクサンドル・フィリフォロフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) 28分39秒
2 スティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) +0秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +23秒
4 セルゲイ・フィルサノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) +30秒
5 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ プロチーム) +36秒
6 ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +40秒
7 イルヌール・ザカリン(ロシア、チーム カチューシャ) +47秒
8 ジョゼフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ、キャノンデール プロサイクリングチーム) +52秒
9 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +1分04秒
10 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +1分09秒
94 山本元喜(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +4分37秒

個人総合(マリアローザ)
1 スティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) 60時間41分22秒
2 ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +2分12秒
3 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) +2分51秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +3分29秒
5 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +4分38秒
6 イルヌール・ザカリン(ロシア、チーム カチューシャ) +4分40秒
7 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター チーム) +5分27秒
8 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +7分14秒
9 カンスタンティン・シウツォウ(ベラルーシ、ディメンションデータ) +7分37秒
10 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) +7分55秒
161 山本元喜(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +3時間16分17秒

ポイント賞(マリアロッサ)
1 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード) 138pts
2 ディエーゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) 112pts
3 サーシャ・モドロ(イタリア、ランプレ・メリダ) 84pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) 134pts
2 シュテファン・デニフル(オーストリア、イアム サイクリング) 72pts
3 ホンダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシングチーム) 69pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) 60時間48分36秒
2 セバスティアン・エナオ(コロンビア、チーム スカイ) +11分34秒
3 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール プロサイクリングチーム) +29分20秒

チーム総合
1 アスタナ プロチーム 182時間23分30秒
2 モビスター チーム +4分40秒
3 キャノンデール プロサイクリングチーム +19分05秒

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