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ジロ2016 チームNIPPOの挑戦<第13ステージ>準備、移動、後片付け…メカニックの1日を大追跡 自転車もクルマも綺麗に洗車

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 ジロ・デ・イタリアは第13ステージを終え、いよいよ中盤の山場へと突入しました。参戦中の「NIPPO・ヴィーニファンティーニ」の若手メカニック、福井響さんによる現地レポートは、朝から夜までの慌ただしいチームの1日を、メカニック視点を中心にお届けします。

レース後、ホテルに到着するなりバイクの洗車が始まる ©NIPPO Vini Fantiniレース後、ホテルに到着するなりバイクの洗車が始まる ©NIPPO Vini Fantini

◇      ◇

スタッフの仕事は早朝から深夜まで

 チームキャプテン、ダミアーノ・クネゴの山岳賞ジャージを日々死守しているNIPPO・ヴィーニファンティーニ。テレビで毎日応援して下さっている方も多いかと思います。ライブに映るジロ・デ・イタリアはレースの後半3時間程度、見所であるレース後半戦に絞って放送されていますね。

マッサージャーがチームカーに積んだクーラーボックスに氷を入れる ©NIPPO Vini Fantiniマッサージャーがチームカーに積んだクーラーボックスに氷を入れる ©NIPPO Vini Fantini

 さて、スタッフにとってのいわゆる“仕事の見所”ですがこれは早朝から始まり、夜遅くに終了します。今日はそんな1日を時系列に沿って追ってみます。

 ジロ・デ・イタリアはレース終了予定時刻が毎日ほぼ同じであることは皆さんお気付きでしょうか? ジロは全世界でテレビ中継が行われますから、なるべく放映時間が毎日同じ時間帯になるよう設定されています。ちなみに現地時間で午後5時30分頃。もちろんレースの進行状況によりフィニッシュの時刻は多少変わってきますが、レースブックを見るとレース終了予定時刻の午後5時30分を基準にレースプログラムが組み立てられていることが分かります。

 逆にステージによって変わるのはスタート時刻。長い山岳ステージであれば午前11時にスタートすることもありますし、短い平坦ステージであれば午後1時にスタートが切られることもあります。選手やスタッフ、また現地に足を運ぶ観戦者は日によって大きく変わるスタート時刻に注意しその1日のプログラムを考えます。

 さて、第13ステージは中級山岳ステージ170kmのレースでした。レーススタート時刻は午後12時30分。これらを踏まえて第13ステージの1日を時系列に振り返ります。

朝からレース準備に忙しいスタッフたち ©NIPPO Vini Fantini朝からレース準備に忙しいスタッフたち ©NIPPO Vini Fantini

コーヒーとクロワッサンを詰め込んで

慌ただしいなかで食べる朝食 ©NIPPO Vini Fantini慌ただしいなかで食べる朝食 ©NIPPO Vini Fantini

AM7:00 スタッフ起床 – 朝食
 朝はホテルの各部屋からアラーム音が聞こえてきます。日々数え切れないほどのレースをこなしているためか、どのチームも自然と起床時間がほぼ揃うのが面白いところ。スタッフは2杯のコーヒーとクロワッサンをこしらえて1日のエンジンを始動させます。

AM7:30 出発準備
 メカニックはまずチームカーやバスの汚れ具合を見ます。もちろん前日のレース後にチームカーを洗っているのですが、どこからか飛んでくる砂や花粉で、朝になると車が汚れていることがあります。

 チームカーやバスはチームの顔でもありますから、寝ぼけた顔でレース会場には向かえません。しっかりと朝一番に顔を洗ってから仕事を始めます。

 次にチームカーにバイクと予備ホイールを積んでいきます。1人はエアーコンプレッサーで空気を入れ、あとの2人はチームカーにテキパキと積んでいきます。

朝の機材の積み込み。レースで使用するバイクはすべてチームカーに載せる ©NIPPO Vini Fantini朝の機材の積み込み。レースで使用するバイクはすべてチームカーに載せる ©NIPPO Vini Fantini
メカニックの1人がトラックの中ですべてのホイールに空気を入れる ©NIPPO Vini Fantiniメカニックの1人がトラックの中ですべてのホイールに空気を入れる ©NIPPO Vini Fantini

 それと並行してチームカーの準備をするのはマッサージャー。彼らは主に車内の準備をします。まず掃除機で隅々の埃を取り去り全ての窓を磨き上げます。そして前日のうちに準備してあったボトルの詰まったクーラーボックスを、それぞれのチームカーに積み込んでチームカーは完成。

 次に準備しなければならないのはスーツケースの積み込み。自転車が降ろされて空っぽになったトラックに、次は大量のスーツケースを積み込んでいきます。選手とスタッフ、そしてゲストを含めるとスーツケースは30人分に達します。

 マッサージャーが各部屋からスーツケースを集め、トラックへの積み込みはメカニックが担当。ここもチームプレーで仕事を速やかにこなします。

 スーツケースの積み込みが完了すると、トラックは次なるホテルへ向けて出発します。ホテル先回り班は駐車場の場所取りのため、なるべく早く出発します。

チームカー車内の清掃はマッサージャーの仕事 ©NIPPO Vini Fantiniチームカー車内の清掃はマッサージャーの仕事 ©NIPPO Vini Fantini
選手やスタッフ、ゲストのスーツケースを集めて、最後にトラックに積む ©NIPPO Vini Fantini選手やスタッフ、ゲストのスーツケースを集めて、最後にトラックに積む ©NIPPO Vini Fantini

レース会場は“お祭り騒ぎ”

バスとチームカーが隊列を組んで会場へと向かう ©NIPPO Vini Fantiniバスとチームカーが隊列を組んで会場へと向かう ©NIPPO Vini Fantini

AM 10:00 ホテル出発
 選手がチームバスに乗り込みいよいよ出発。チームバスを先頭にチームカーが続いていきます。移動もなるべく格好のつくように連なって行きます。スタート地点まではホテルから50km。約1時間で到着。駐車場ももちろんお祭り騒ぎですから人を掻き分けながら駐車します。

PM 12:30 レーススタート
 選手は30分前に出走サインを済ませて早めにスタートラインに向かいます。スタート地点ももちろんお祭り騒ぎ。DJが音楽で会場を盛り上げ、司会者は巧みなマイクパフォーマンスで観客を煽ります。そして山岳賞ジャージ着用中のダミアーノ・クネゴは観客の前を通るたびに声援のウェーブ。

 そうこうしているうちに、レースは観客の声援に押されて幕を開けます。

レース会場に到着すると選手たちのバイクをチームカーから下ろす ©NIPPO Vini Fantiniレース会場に到着すると選手たちのバイクをチームカーから下ろす ©NIPPO Vini Fantini
会場でホイールを装着し、レースバイクを準備 ©NIPPO Vini Fantini会場でホイールを装着し、レースバイクを準備 ©NIPPO Vini Fantini

撤収は早めが肝心

PM 5:30 フィニッシュ
 フィニッシュ地点には先回りしたチームバスがしっかりと選手を待ち構えています。選手はバスに戻るなり、すぐシャワーを浴びリラックスモードに入ります。最後の選手が戻ってくると、すぐさまバスは出発。レース後の撤収の早さがチーム力を表しているといっても過言ではありません。

 ちなみに自転車を積んだチームカーはバスを待つことなく、レース後すぐにホテルへ向かい仕事を始めます。が、この日はまた特別でフィニッシュ地点からホテルまで100km離れており、選手はチームカーに乗り込んでバスの出発を待たずしてホテルに直行。選手がなるべく休めるよう臨機応変に対応します。

チーム車両の洗車もメカニックの仕事 ©NIPPO Vini Fantiniチーム車両の洗車もメカニックの仕事 ©NIPPO Vini Fantini

PM 7:00 ホテル到着
 ホテルに着くなりメカニックは自転車の洗浄から仕事を始め、マッサージャーは選手のケアに入ります。メカニックの仕事は自転車の整備の他にチームカーの洗車、チームバスの洗車・清掃がありますが、これらが全て終わるのは午後9時30分ごろ。マッサージも大体午後8時ごろには終了し、選手は夕食へ向かいます。スタッフはその後、全員が仕事を終えるのを待って夕食を始めます。この日は午後9時45分に夕食が始まりましたね。

AM 0:00 就寝
 陽気に話しながら進む夕食はイタリアンチームらしく、長い日は1時間半ほど話し続けています。その後さらにコーヒー片手に話し合いをするスタッフもいれば、翌朝時間のない日はチームカーの車内清掃を夜のうちに済ますマッサージャーもいます。

 そうして寝床に着くのは大体シンデレラの魔法が切れるころ。私たちも明日の気力が切れぬよう、なるべく早く寝なければなりませんが、日によってはさらに遅くなる日もありますね。

ホテルの駐車場に所狭しと駐車されたチーム車両 ©NIPPO Vini Fantiniホテルの駐車場に所狭しと駐車されたチーム車両 ©NIPPO Vini Fantini

残り8ステージ、ぼちぼちいこか

 こうしてジロの1日は少しの余韻を残しながら終わります。これだけ内容が詰まっていると1日1日が一瞬で過ぎ去っていきますね。ここまで13ものステージをこなしたとは思えません。残る8ステージも一瞬で過ぎていくのでしょう。

 しかしここからはいよいよ厳しい山岳地帯に突入します。場所によってはまだ雪が残っているようで、ここまでのステージとはまた違う厳しさでさらに1日が短くなりそうです。

 スタッフは最後までリタイアがききません。肩の力を抜いて、明日からもぼちぼちいきまっせ〜!

福井響福井響(ふくい・ひびき)

1993年3月7日生まれ、大阪府出身。高校時代から自転車競技にめざめ、一般入試を受けて鹿屋体育大学に入学。自転車競技部に入部し、本格的に自転車競技に打ち込むが、そのなかでプロメカニックの存在を知り、大学2回生で選手からメカニックに転向。大学在学時からヨーロッパで活動するチームNIPPOでメカニック研修を積み、2015年、大学卒業と同時にNIPPO・ヴィーニファンティーニに加入。現在は、「本場の自転車競技を日本に普及させたい」という思いのもと、第一線の現場で働いている

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