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ジロ2016 チームNIPPOの挑戦<第10ステージ>3日間で駆け抜けた坂本拓也マッサーの初ジロ体験 世界を股にかけチームは活躍

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 NIPPO・ヴィーニファンティーニのジロ・デ・イタリア現地レポート、4人目に登場するはチーム2年目のマッサージャー、坂本拓也さんです。途中参加、途中離脱でわずか3日間の初ジロでしたが、ビッグレースの中で大きな経験を積みました。彼らマッサーがレースで何をしているのか、レースの舞台裏をお届けします。

レース後に選手のケアをする坂本マッサー。マッサージを中心に時間をかけてしっかりとケア ©NIPPO Vini Fantiniレース後に選手のケアをする坂本マッサー。マッサージを中心に時間をかけてしっかりとケア ©NIPPO Vini Fantini

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補給はレース中の重要な仕事

サコッシュの中身。ボトル2本と各種補給食が入る ©NIPPO Vini Fantiniサコッシュの中身。ボトル2本と各種補給食が入る ©NIPPO Vini Fantini

 チーム本隊がオランダでの開幕を終えて南イタリアに向かう頃、私は日本からジロ・デ・イタリアに向けて出発しました。ローマから車で第7ステージを終えたチームの待つカンポバッソへ移動し、夜中の2時にホテルへ到着。私の初ジロ・デ・イタリアがスタートしました。

 マッサーのレース中の仕事の一つとして、皆さんが一番に浮かぶであろう「補給」。この日私が担当したのは、メーンの補給エリアでのサコッシュ渡しです。別隊は山岳エリアでボトルを渡します。

 補給のときは200人を超える大集団が目の前を過ぎていきます。補給を渡すために、スルーしていく集団に近づいておかなければいけません。数十cmほどの距離を200台の自転車が過ぎていくなかで渡していくわけです。

先頭車両が通過し、マッサーたちは補給のスタンバイ ©NIPPO Vini Fantini先頭車両が通過し、マッサーたちは補給のスタンバイ ©NIPPO Vini Fantini

 これだけの人数の中から自分のチームの選手を探し出すことは難しいです。救いはチームジャージがオレンジで集団の中でも目立つこと! さらにこの日はエースのクネゴが山岳賞ジャージのマリアアッズーラを着用していたので、一目で見つけることができました。さすが特別ジャージ! テレビで見てる方もNIPPO・ヴィーニファンティーニの蛍光オレンジとブルーのジャージは探しやすいのではないでしょうか?

山岳賞ジャージを着るクネゴにサコッシュを手渡した ©NIPPO Vini Fantini山岳賞ジャージを着るクネゴにサコッシュを手渡した ©NIPPO Vini Fantini

ゴールへ先回り、「まさか」の抜け道

 補給を終えるとマッサーたちは次のエクストラの補給地点へ向かうか、ゴール地点へ向かいます。もちろん選手たちより先に到着して待ち構えなければいけないので、脇道や大回りを駆使して、大急ぎでゴールへ向かうのが日常茶飯事です。

 この日はレースも短く、補給エリアに来ている全チームが補給のあとはゴールへ直行だったのですが、ゴールまでの道のりは1本。つまり前にはたった今補給を渡した集団とチームカーがゴールへの道を通せん坊しているわけです。そこで大会オーガナイザーが取った対応は、レースの集団の横を抜いていくというシンプルかつ大胆な方法。

 集団をスルーする時に、まさか集団内にいるはずのない補給隊のチームカーたちが横を過ぎていくので、選手たちもザワザワ。応援しながら集団をパスする私に、NIPPOの選手が「Sakamoto sa-n, che fai!?(何やってるんだ!?)」と叫ぶ声が聞こえます。私もびっくりです…。この臨機応変な対応もジロ・デ・イタリアという大レースだからこそ!

特別に補給車が集団を追い抜いたステージ。窓から身を乗り出して、選手たちを応援 ©NIPPO Vini Fantini特別に補給車が集団を追い抜いたステージ。窓から身を乗り出して、選手たちを応援 ©NIPPO Vini Fantini

夕食の時間はマッサーが決める?

 このジロ・デ・イタリアの出走は9人。それに対してマッサーは最大5人が帯同しています。つまり1人のマッサーは選手1〜2人を担当することになります。

 NIPPOでは選手のケアはすべて夕食までに終わらせます。なぜなら夕食はみんな揃ってから、そして床に着くまでの時間は話したり散歩したりと、のんびり過ごすのがイタリアンスタイルだからです。

選手とコミュニケーションを取りながら、ケアを進める ©NIPPO Vini Fantini選手とコミュニケーションを取りながら、ケアを進める ©NIPPO Vini Fantini

 それでも時間がたくさんあるわけではありません。ジロのレース終了時間は17時から17時30分に設定されてるので、それからホテルに到着するのは早くて18時30分、遅い時には19時を過ぎることもあります。

 そこから1人1時間ほどかけて選手のケアです。次の日に疲れを残さないでリフレッシュした身体で走ってもらうために我々の本領発揮です。特に3週間のジロでは最重要ですね。

 ケアのときには毎晩監督から夕食の時間を聞かれます。これは上記で述べたマッサージをすべて終えてから夕食を食べるスタイルのため。実はチームの夕食の時間は、マッサーのマッサージの終わる時間で決まるのです。

NIPPOは2チーム体制で

チームが補給食として今季から導入したライスケーキ。日本米にビスケットやフルーツを混ぜている ©NIPPO Vini Fantiniチームが補給食として今季から導入したライスケーキ。日本米にビスケットやフルーツを混ぜている ©NIPPO Vini Fantini

 世界最大級のレースであるジロ・デ・イタリアに参戦中ですが、この期間私たちが挑むレースはジロだけではありません。チームは2部隊に分かれて、ジロ・デ・イタリアの“裏”では、私たちは5月18日から始まるツアー・オブ・ノルウェーと、5月29日からのツアー・オブ・ジャパンに挑みます。

 ワールドツアーチームなどでは3部隊に分かれて、同日の別レースを世界中で走ってることも当たり前。そのためジロ・デ・イタリアでの仕事をすべて終えると、私はチーム拠点のボローニャへ戻り、違うレースの準備をしました。

 そして、ジロ・デ・イタリアが第11ステージを迎える頃には、私たちは車で3日間かけてノルウェーへ渡り、5日間のステージレースが始まります。

 ノルウェーが終わるとそのまま日本へ旅立ち、ジロ・デ・イタリア同様にチームが重要視しているツアー・オブ・ジャパンへ参戦します。

補給地点で選手たちが到着するのを待つ ©NIPPO Vini Fantini補給地点で選手たちが到着するのを待つ ©NIPPO Vini Fantini

 たった3日間の私の初ジロ・デ・イタリアでしたが、今までしてきたレースに比べてもド肝を抜かれる3日間でした。しかし、私たちの仕事はジロだから特別ではなく、いつでも選手が最善の状態で走れるための準備をすること。

 まだまだ続くジロ・デ・イタリアをみなさんお見逃しなく! そして、ジロの裏で行われているレースでも、私たちの活躍に目を向けてくだされば幸いです。世界のあちこちで同時優勝! なんてことが起こるかもしれません。

坂本拓也坂本拓也(さかもと・たくや)

1991年生まれ、山口県出身。専門学校を経て、鹿屋体育大学へと編入。トレーナーやマッサージのスペシャリストとしての勉強を積み、2015年の大学卒業後からNIPPO・ヴィーニファンティーニのマッサーとして働き始め、現在はヨーロッパを拠点に本場の仕事を勉強中。

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