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ジロ・デ・イタリア2016 第10ステージ新人のチッコーネが大金星 マリアローザはユンゲルスへ、昨年3位のランダがリタイア

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 ジロ・デ・イタリア第10ステージが5月17日、カンピ・ビゼンツィオからセストラに至る219kmで争われ、プロ1年目のジューリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニ・CSF)がジロの大舞台でのプロ初勝利を飾った。頂上ゴールに向けての激しい攻防の末、総合首位のマリアローザはボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)が初獲得。NIPPO・ヴィーニファンティーニの山本元喜は117位でゴールした。

プロ1年目の21歳、ジューリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニ・CSF)がジロ初勝利 Photo: Yuzuru SUNADAプロ1年目の21歳、ジューリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニ・CSF)がジロ初勝利 Photo: Yuzuru SUNADA

ランダ、復調せず

 2度目の休息日を終え、再びジロの熱戦がスタートした。この日は前半に2つの3級山岳を越え、後半は小刻みなアップダウンをこなしながら終盤に1級山岳、最後は3級山岳の頂上ゴールに至る。203km地点の1級山岳は終盤に最大13%の急勾配が待ち受け、最後の上りも平均勾配は5%と緩めだが7.4kmといやらしい長さだ。総合上位勢は、とにかくライバルから遅れないことが重要になる。

 スタート直後、逃げを打ち合う展開のなかで異変が起こった。昨年個人総合3位のミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)が、最初の3級山岳で大きく遅れたのだ。この日の朝から腹痛を訴えていたというランダは、一気に6分を失い、そのままリタイア。今年チームを移籍し、単独エースとして臨んだジロだったが、大会序盤から調子が上がらず、真価を発揮しないままレースを去ることになった。

クネゴが山岳賞奪回

後半、単独で逃げたプライドラー Photo: Yuzuru SUNADA後半、単独で逃げたプライドラー Photo: Yuzuru SUNADA

 レースは前半の山岳で抜け出した十数人が、後半合流して13人の先頭グループになった。積極的に動くのはジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター チーム)で、前半2つの山岳ポイントで先頭通過。また山岳賞2位につけるダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)も、逆転を狙って逃げに加わった。またバルディアーニ・CSFは、エースのステファノ・ピラッツィ(イタリア)をはじめ、唯一3人の選手を送り込むことに成功した。

 終盤の1級山岳を前に、逃げとメーン集団の差は約4分半。178km地点の中間スプリントポイントで抜け出したゲオルク・プライドラー(オーストリア、チーム ジャイアント・アルペシン)が、そのまま単独先頭で1級山岳の上りへと突入した。追走ではクネゴが積極的な動きを見せ、上り終盤の急勾配でプライドラーを追い抜き、頂上付近ではクネゴとバルディアーニのピラッツィ、チッコーネという、3人の先頭グループとなった。

 頂上の山岳ポイントはクネゴがスプリントを決め35ポイントを奪取。山岳賞リーダー奪回を決めた。

山岳ポイントを取りに動くクネゴ Photo: Yuzuru SUNADA山岳ポイントを取りに動くクネゴ Photo: Yuzuru SUNADA

21歳の新人が大きなプロ初勝利

 いっぽうメーン集団では、終盤の1級山岳でアスタナ プロチームがペースアップ。集団の人数は徐々に絞られ、マリアローザを着るジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)もポジションを下げて苦しい展開になった。ランダ以外の総合有力勢は集団に残るが、今大会序盤にマリアローザを着たトム・デュムラン(オランダ、チーム ジャイアント・アルペシン)は戦略をステージ優勝狙いに切り替え、この日は終盤意図的に遅れて総合タイムを失う動きを見せた。

 先頭の3人は約8kmのテクニカルな下りへと突入した。ここでチッコーネが先頭を走るとき、ピラッツィがコーナーの進入でクネゴに接触。2人とも落車はまぬがれたものの、チッコーネから離れてしまうことになった。ピラッツィはこの後さらに単独で落車し、完全に後退することになった。

 期せずして単独先頭に立ったチッコーネは、2番手に約20秒の差を付けて最後の上りに突入。下りで単独2番手に躍り出たイヴァン・ロヴニー(ロシア、ティンコフ)が追うものの、勢いづいたプロ1年目の21歳は逆に差を広げ、そのままガッツポーズでゴールへと飛び込んだ。これまで無名の新人が、母国イタリアの最高の舞台でプロ最初の勝利を挙げた。

ニバリ(右)をマークするマリアローザのブランビッラ。すぐ後ろにユンゲルスがつける Photo: Yuzuru SUNADAニバリ(右)をマークするマリアローザのブランビッラ。すぐ後ろにユンゲルスがつける Photo: Yuzuru SUNADA

マリアローザの献身

 メーン集団ではテクニカルな下りで、ダウンヒルを得意とするアンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター チーム)がアタックを見せた。総合3位に付ける準エース格の動きに対応したのは、マリアローザを着るブランビッラだった。1級山岳の上りでわずかに遅れていたブランビッラは、下りで集団に追いつき、上りに入るとほぼ先頭固定でアマドールを追走。自らのマリアローザを守るより、総合2位に付ける実質のエース、ユンゲルスのための動きだ。

 アマドールは最後の上りの中腹で、メーン集団に約50秒の差を付けた。総合での32秒差を逆転し、暫定で首位に立つタイム差だ。逃げ集団で先頭争いをしていたチームメートのヴィスコンティがアマドールを待ち、上り終盤でアマドールを引くアシストを見せる。

初めてマリアローザを着たユンゲルス Photo: Yuzuru SUNADA初めてマリアローザを着たユンゲルス Photo: Yuzuru SUNADA

 アマドールはステージ6位でゴール。マリアローザ獲得かとも思われたが、上り終盤で有力選手らが強力に追い込み、メーン集団はアマドールにほぼ追いつく形でゴールに飛び込んだ。ブランビッラは脱落したものの、ユンゲルスはアマドールから5秒差でゴール。チームメートから首位の座を受け継ぐことになった。

 ユンゲルスはここまで新人賞(25歳以下の総合トップ)のマリアビアンカを着るが、ついにマリアローザも獲得。23歳の若さながら、すでに2度のルクセンブルクチャンピオンに輝く若き王者だ。ゴール後のユンゲルスは、マリアローザを着ながら献身的な働きを見せたブランビッラを称え、「可能な限り首位の座にとどまりたい」と今後の意気込みを語った。

第10ステージ結果
1 ジューリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニ・CSF) 5時間44分32秒
2 イヴァン・ロヴニー(ロシア、ティンコフ) +42秒
3 ホンダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシングチーム) +1分20秒
4 ネイサン・ブラウン(アメリカ、キャノンデール プロサイクリングチーム) +1分53秒
5 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +2分04秒
6 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター チーム) +2分10秒
7 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター チーム) +2分11秒
8 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)
9 ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)
10 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム)
117 山本元喜(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +27分33秒

個人総合(マリアローザ)
1 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) 40時間19分52秒
2 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター チーム) +26秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +50秒
4 スティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ)
5 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) +52秒
6 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ) +1分11秒
7 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +1分44秒
8 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) +1分46秒
9 イルヌール・ザカリン(ロシア、チーム カチューシャ) +2分08秒
10 ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +2分26秒
175 山本元喜(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +1時間39分55秒

ポイント賞(マリアロッサ)
1 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 119pts
2 アルノー・デマール(フランス、エフデジ) 91pts
3 マールテン・チャリンギ(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) 82pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) 56pts
2 ジューリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニ・CSF) 27pts
3 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル) 25pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) 40時間19分52秒
2 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール プロサイクリングチーム) +5分32秒
3 カルロス・ベロナ(スペイン、エティックス・クイックステップ) +7分01秒

チーム総合
1 モビスター チーム 121時間03分59秒
2 エティックス・クイックステップ +50秒
3 アスタナ プロチーム +1分54秒

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