じてつう物語<9>自転車通勤で身体のベースを作りアイアンマンレースに挑戦 ジョン・B・ボードマンさん

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 日本で生まれアメリカで育ち、そして日本でフィットネス関連の会社を起業したジョン・B・ボードマンさん(52)。彼が自転車通勤を始めたきっかけは、トライアスロンへの挑戦だった。目標はアイアマンレースの年齢別の上位入賞と言うほどに本気で取り組んでいる彼にとって、自転車通勤は良いベース作りになっているという。

ジョン・B・ボードマンさん(52)ジョン・B・ボードマンさん(52)

経営者自らがフィットネスを実践!

 フィットネス関連企業の株式会社ブラボーグループを経営しているボードマンさんは、日本生まれのアメリカ人。ブラボーグループでは、「運動と音楽で人生を変える」というコンセプトのもと、フィットネススタジオで使われる音楽や、インストラクターの養成、そしてフィットネスプログラムの販売等を手がけている。

 ボードマンさんは、アメリカの大学でホテル学科に通い、マンハッタンを代表する高級ホテル「ウォルドルフ=アストリア」で2年間働いたのち、大学院でMBAを取得し、日本の金融機関に入ってウォール街で働いていた経験がある。その後、あるフィットネス関連企業と出会い、そのアジア担当を務めたのち「自分のビジネスを立ち上げたい」と思い、15年前にブラボーグループを立ち上げた。

ボードマンさんは、フィットネス関連の音楽や各種サービス等を提供する会社の経営者だボードマンさんは、フィットネス関連の音楽や各種サービス等を提供する会社の経営者だ

 そんなボードマンさんが自転車通勤を始めたのは、3年前。

 「高校時代は、陸上やバスケットボール、そしてクロスカントリーランなどに取り組んでいましたが、自転車はとくにスポーツとしては乗っていませんでした。自転車通勤をするようになったきっかけは、3年前にトライアスロンを始めたこと。それまでトライアスロンに出たことはなく、ゼロからのチャレンジでした。」

 フィットネス関連企業である以上は「社員も自らがフィットネスを実践する」というのがボードマンさんの方針。そしてボードマンさん自身「経営者の自分が、いちばんやらなくては」と考えてきた。そんな彼にとってトライアスロンは最適な競技だが、挑戦するからには、スイム、ラン、バイク(自転車)すべてのトレーニングが必要となる。その時間を捻出するのが課題となった。

 「どうやってトレーニングするのか、いつトレーニングするのかが課題でした。仕事がありますし、子供もワイフもいるので家庭での役割もある。そこで考えたのが、会社まで自転車で通勤することだったんです。」

 さっそくロードバイクを購入し、吉祥寺の自宅から九段下までの自転車通勤を開始したボードマンさん。実際に始めてみると、移動手段としての自転車のポテンシャルを思い知る。

 「吉祥寺の自宅から九段下の会社まで、距離は16km、時間は自転車で35分くらいです。電車で通勤するよりも(ドアツードアで)5分くらい早く着きます。ラッシュアワーの満員電車に乗ってストレスを感じることもありません。何よりも、自転車のほうがずっと楽しいと感じます」

 今では、週に3日の自転車通勤に取り組んでいる。自転車に乗らない日は、会社帰りにスイムのトレーニングをしているという。

ルールを守らない歩行者や自転車にビックリ!

スコットのTTバイク。自分の好きなバイクで通勤するのが楽しいスコットのTTバイク。自分の好きなバイクで通勤するのが楽しい

 天気が良かった取材当日も、ボードマンさんはもちろん自転車で会社に来ていた。そこで、ボードマンさんの愛車を見せていただくと、そこに現れたのは「スコット」のトライアスロンバイク。このまま、トレーニングどころかトライアスロンのレースにも出場できる自転車だ。しかしボードマンさんは、こんなふうに話す。

 「自転車通勤は(トレーニングの一環として取り組んでいるが)、あくまでもトライアスロンのベース作るため。会社に出勤することが第一だから、安全運転を心がけています。自分が大好きなマシンで通勤するのがいちばん楽しいからこの自転車で通っているけど、街中など他の交通があるところではTTバー(前傾姿勢を取るためのアタッチメント)は使いません。TTバーを握っていたら、ブレーキが遅れてしまうから。」

エアロポジションが取れるTTバーを装着するが「ブレーキングが遅れるので、街中でTTバーを使うのは良くないです」と話すエアロポジションが取れるTTバーを装着するが「ブレーキングが遅れるので、街中でTTバーを使うのは良くないです」と話す

 レース以外でTTバーを握るのは、ローラー台の上と、休みの日に走る限られたトレーニングコースの、限られた場所だけ。筆者が、稀にだが市街地等でTTバーを握っている人を見かける……と話すと、ボードマンさんは「危なくて信じられない」と言う。

 ところで、子供の頃からアメリカと日本を行き来してきたボードマンさんだが、自転車通勤をするようになって、日本の道路事情、交通事情について改めて感じることもあったようだ。

 「自転車通勤を始めて気がついたのは、車よりも自転車や歩行者がルールやマナーを守らないこと。よそ見をしながら自転車の目の前に飛び出してくる人は多いですし、車道の右側を走っている自転車も多いですね。これにはびっくりしました。特に、自転車が車道のどちらを走るのかについては、もしかして自分の認識が間違っているのではないかと思い、交番のお巡りさんにルールを確かめに行ったくらいです」

 一方、ボードマンさん自身も、それまでは意識しておらず、自転車に乗ることで知ったルールもある。

 「交差点の右折レーンを曲がろうとしたら、お巡りさんに怒られました。それまで、自転車は二段階右折というルールを認識していなかったからです。それ以降は二段階右折を守っていますが、走りにくい交差点が多いのには困ってしまいますね」

目指すはコナのアイアンマンレース!

横浜のトライアスロン大会でバイクパートを走るボードマンさん(ボードマンさん提供)横浜のトライアスロン大会でバイクパートを走るボードマンさん(ボードマンさん提供)

 ゼロからのチャレンジだったトライアスロンだが、オリンピックディスタンスのレースへ積極的に参戦、エイジ別カテゴリーでのランキングを上げて、10月17日からニュージーランドのオークランドで開催される、世界選手権シリーズグランドファイナルのエイジ別日本代表に選ばれた。

 ボードマンさんは「生涯アスリート」という言葉が好きだ。何故なら運動というものは年齢や体力によって左右されるべきではないと考えるからだ。多くの人は、運動は若いうちにしかできないと考えがちだが、そうではなく、またアスリートという単語は必ずしも競技に参加することを意味しないと考える。大切なことは何か特定の競技をする、し続けるということよりも、年齢に関係なく「自分はアスリートなんだ」という自覚のもと食生活に気を使い、運動を継続することだと考えている。

 そして長期的な目標は、ハワイのコナで開催されるアイアンマンワールドチャンピオンシップに出場すること。

 「アイアンマンレースのランキングで世界の上位1パーセントに入らないと、コナのアイアンマンレースに出場することはできまません。今は52歳ですが、あと3年、55歳までにコナのアイアンマンレースに出られるように、頑張りたいです」

 忙しい中、自転車通勤でベース作りをしながら、時間をやりくりしてトレーニングメニューをこなし、それでいて家族サービスも欠かさないボードマンさん。トレーニングの後は「マッサージの勉強をしたワイフがマッサージでリカバリーを助けてくれるんです」と笑顔で話す。その真剣味と楽しそうな表情が、ちょっとうらやましく思えた。

トレーナーが作成したトレーニングメニュー。忙しい中、このメニューをこなしていくトレーナーが作成したトレーニングメニュー。忙しい中、このメニューをこなしていく
奥さんも自転車が好き。休日にはトレーニングだけではなく、奥さんといっしょにサイクリングを楽しむことも多い(ボードマンさん提供)奥さんも自転車が好き。休日にはトレーニングだけではなく、奥さんといっしょにサイクリングを楽しむことも多い(ボードマンさん提供)

勤務先:ブラボーグループ(http://www.bravogroup.com/
通勤経路:吉祥寺~九段下、片道16km
所要時間:40分
頻度:週3日
じてつうの工夫:バイクはエアロ仕様だが、普段はTTバーは握らずに安全運転を心がける!

TEXT&PHOTO BY Gen SUGAI

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