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ジロ2016 チームNIPPOの挑戦<第5ステージ>チームカーの頭上に自転車何台? テレビには映らない、レースを占う屋根上事情

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 ジロ・デ・イタリア参戦中の「NIPPO・ヴィーニファンティーニ」の若手メカニック、福井響さんによる現地レポート。今回は芸術的、あるいはパズルのような、チームカーの屋根上事情についてお届けします。

イタリアへ到着し、車両のステッカーがすべて変わった。オランダでは英語表記、イタリアではイタリア語表記となる ©NIPPO Vini Fantiniイタリアへ到着し、車両のステッカーがすべて変わった。オランダでは英語表記、イタリアではイタリア語表記となる ©NIPPO Vini Fantini

睡魔も吹き飛ぶ大移動

 先日の休息日(鬼の移動日)を乗り越え、いよいよジロ・デ・イタリアがイタリアに帰ってきました!

 金棒(機材トラック)を右に左に揺らしながら走り続けた鬼の移動日。早朝から出発したは良いもののマザーズデイの日曜日は鬼のように渋滞し、減るのはガソリンばかりで、一向に減らないのはカーナビの距離表示。やっとのことで残り500km地点まで来ても、そこから始まるのは南イタリアらしい鬼のように穴だらけの道路。ついにはアドレナリンが湧き出し睡魔の“す”も吹き飛ぶ始末。これでまたメカニックとしての新たな耐性がつきました(笑)。

 さて、今日はレースをさらに面白く観戦するポイントを一つお教えします。皆さんご存知のチームカーという存在。頭にこぼれ落ちそうなくらいの自転車を満載し、レースの後ろでテンヤワンヤしながら選手をサポートします。

頭上に9台! 芸術的なチームカー屋上

チームカーのキャリアにたくさんのバイクを積んで、今日もスタート地点へと向かう ©NIPPO Vini Fantiniチームカーのキャリアにたくさんのバイクを積んで、今日もスタート地点へと向かう ©NIPPO Vini Fantini

 ジロには22のチームが出場しており、各チーム2台のチームカーが参戦できますから、合計44台のチームカーが色とりどりに列を成しています。

 チームカー1台あたり頭上に幾つの自転車を車載しているかご存知でしょうか? だいたい街中で見かける車は多くても3台くらいですよね。私の母校である鹿屋体育大学ではワゴン車でしたが、8台積みが頭上の限界でした。

 ここジロで各チームカーの頭上を見て回りますと、主流となりつつあるのが自転車が9台のスペアホイールが3ペア。いわゆる世界三大レースは各チーム9人出走ですから9台積みが理想になるんですね。

 9台フル車載したチームカーを眺めていると至る所に工夫がなされており無駄な空間が一切無くまさに芸術的。テレビで映った際には選手を横目にチームカーにも注目してみてください。

スタート地点に到着すると、レース用バイクを素早くキャリアから下ろす ©NIPPO Vini Fantiniスタート地点に到着すると、レース用バイクを素早くキャリアから下ろす ©NIPPO Vini Fantini
9台積みのキャリア(トレック・セガフレード) ©NIPPO Vini Fantini9台積みのキャリア(トレック・セガフレード) ©NIPPO Vini Fantini
9台積みのキャリア(ディメンションデータ) ©NIPPO Vini Fantini9台積みのキャリア(ディメンションデータ) ©NIPPO Vini Fantini

自転車の積み方でエースがわかる?

 ここでスパイスなお話です。芸術的に9台を積み上げたは良いものの、全ての自転車がすぐに取り出せるわけではありません。端っこに位置する右2台、左2台は簡単に降ろせますが、中心部に位置する自転車を取り出すには少々時間を要します。場合によっては、端の自転車を降ろしてからでないと中心部に位置する自転車が取り出せないこともあります。そうした場合、自転車を積む位置が肝心になってきます。

監督と相談しながら、誰のバイクをどこに積むか考える。NIPPO・ヴィーニファンティーニが現在使用しているキャリアは7台積み(写真は3月のレース時) ©NIPPO Vini Fantini監督と相談しながら、誰のバイクをどこに積むか考える。NIPPO・ヴィーニファンティーニが現在使用しているキャリアは7台積み(写真は3月のレース時) ©NIPPO Vini Fantini

 わかる方は少しずつわかってきたのではないでしょうか。より面白く観戦できる方法が。チームカー頭上のどこの位置にどの選手の自転車が載っているかを見るのです。

 たとえば平坦ステージですと、勝利に貢献するであろう選手はスプリンターになります。あとはそれをアシストする選手が順に大事になってきますね。そうすると必然的にスプリンターの自転車が取り出しやすい位置にやってくるわけです。さらにメカニックは右側に座っていますから、万が一の際に頭上の自転車を素早く取り出せる位置はチームカー右サイドの自転車となります。つまり右サイドの自転車はそのステージで有力とされる選手の自転車が配置されるわけですね。

第5ステージの第1チームカー。右側の取りやすい位置にダミアーノ・クネゴ(前)とグレガ・ボーレ(後)のバイクが積まれている ©NIPPO Vini Fantini第5ステージの第1チームカー。右側の取りやすい位置にダミアーノ・クネゴ(前)とグレガ・ボーレ(後)のバイクが積まれている ©NIPPO Vini Fantini
チームのゼネラルマネジャーと話す福井メカニック。明るい性格の福井はチームみんなから好かれている ©NIPPO Vini Fantiniチームのゼネラルマネジャーと話す福井メカニック。明るい性格の福井はチームみんなから好かれている ©NIPPO Vini Fantini
UCIが行っている内蔵モーターチェック。念入りにすべてのバイクをチェックしている ©NIPPO Vini FantiniUCIが行っている内蔵モーターチェック。念入りにすべてのバイクをチェックしている ©NIPPO Vini Fantini

レース途中での積み替えも

レースが終わると再びバイクをキャリアに積んで、ホテルへと足早に移動する。メカニックの仕事はレースが終わってからが忙しい ©NIPPO Vini Fantiniレースが終わると再びバイクをキャリアに積んで、ホテルへと足早に移動する。メカニックの仕事はレースが終わってからが忙しい ©NIPPO Vini Fantini

 逃げに乗った選手をサポートする時は、その逃げている選手の自転車を取りやすい位置に載せ替えることもあります。チームカー頭上のバイクの位置には実はその日のヒントが詰まっているんです。

 しかしこのヒントを参考にレースを観戦するためには、皆さん現地まで足を運んで頂く必要があります。さぁ今すぐ航空券を買いましょう! そしてNIPPO・ヴィーニファンティーニの応援にぜひいらして下さい(笑)!

 ほな、ぼちぼちいきまっせ〜!

福井響福井響(ふくい・ひびき)

1993年3月7日生まれ、大阪府出身。高校時代から自転車競技にめざめ、一般入試を受けて鹿屋体育大学に入学。自転車競技部に入部し、本格的に自転車競技に打ち込むが、そのなかでプロメカニックの存在を知り、大学2回生で選手からメカニックに転向。大学在学時からヨーロッパで活動するチームNIPPOでメカニック研修を積み、2015年、大学卒業と同時にNIPPO・ヴィーニファンティーニに加入。現在は、「本場の自転車競技を日本に普及させたい」という思いのもと、第一線の現場で働いている

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