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ジロ2016 チームNIPPOの挑戦<第2ステージ>南イタリアまで2200km!チームNIPPOの機材トラックがスイスを迂回するワケ

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 ジロ・デ・イタリア参戦中の「チームNIPPO」3人目の寄稿者は若手メカニックの福井響さんです。前回大会でもサイクリストに寄稿してくれましたが、今年の初記事は第3ステージ終了後のオランダから南イタリアに至る“空前の”大移動についてです。

チームカーの洗車もメカニックの仕事 ©NIPPO Vini Fantiniチームカーの洗車もメカニックの仕事 ©NIPPO Vini Fantini

ここぞとばかりに盛り上がるオランダ人ファン

 若僧メカニックの福井響と申します! 昨年のジロも寄稿させて頂きましたが、今年も裏方目線で現地のナマな情報を発信できればと思っております。

タイムトライアル用機材を準備する福井響メカニック ©NIPPO Vini Fantiniタイムトライアル用機材を準備する福井響メカニック ©NIPPO Vini Fantini

 私は昨年からNIPPO・ヴィーニファンティーニに所属しており、メカニックとして仕事をするのは2年目。まだまだ若僧ですが、先輩スタッフ陣にあれやこれやと怒られながら日々多岐にわたる仕事を学んでいます。

 さて! 今年のジロは皆様ご存知のとおりオランダで開幕しています。”イタリア一周”の割には随分とはみ出してしまっていますが、オランダの自転車ファンはここぞとばかりに大盛り上がり。

 滞在中のホテルには我々NIPPO・ヴィーニファンティーニの他に、チームスカイ、ティンコフ、カチューシャ、モビスターとトップチームのオンパレードで、ホテルにまで沢山のファンが詰め寄ります。

仕上げはフレームを磨くこと。細かなところまで気を配るプロメカニック ©NIPPO Vini Fantini仕上げはフレームを磨くこと。細かなところまで気を配るプロメカニック ©NIPPO Vini Fantini
ファンらが見守る中、選手からの要望を聞き、素早く対応する。選手のわがままな注文には少し困り顔? ©NIPPO Vini Fantiniファンらが見守る中、選手からの要望を聞き、素早く対応する。選手のわがままな注文には少し困り顔? ©NIPPO Vini Fantini

ワールドツアーチームの車両に「おったまげ」

 オランダ開幕ということで、各チームが持ち込む車両もいつもとは雰囲気が違います。NIPPO・ヴィーニファンティーニは、チームカー3台と機材トラック、そしてキャンピングカーをオランダに送り、バスや他のチームカーは第4ステージからの南イタリアで待ち構えています。

 ワールドツアーチームに目をやると、バスは当たり前、もちろんトラックだって持ち込んでいます。チームカーも沢山。専属シェフもいるんだそうで。

 しかもそれでいて、メーンバスやメイントラックはすでにイタリアで待機しているからおったまげ。つまりここオランダに来ているバスやトラックは、セカンドカーというわけです。

タイムトライアルの準備の傍ら、タイヤを貼る福井響メカニック ©NIPPO Vini Fantiniタイムトライアルの準備の傍ら、タイヤを貼る福井響メカニック ©NIPPO Vini Fantini
トラックはメカニック機材を積み、洗濯機や冷蔵庫などマッサーたちが使うスペースも1台に収まっている ©NIPPO Vini Fantiniトラックはメカニック機材を積み、洗濯機や冷蔵庫などマッサーたちが使うスペースも1台に収まっている ©NIPPO Vini Fantini

「お爺ちゃんトラック」信じ全車イタリアへ!

 NIPPO・ヴィーニファンティーニはプロツアーチームとは打って変わり、ここにいる全ての車両が前線用ですから第3ステージが終わるなり、スタッフ陣が気合いを入れて全車を南イタリアまで運びます。その距離なんと2200km。

 私は機材トラックを担当しますが、何せ20年、いや30年落ちのお爺ちゃんトラックですから無理は禁物。昨季一年間でご機嫌が斜めになる瀬戸際は掴んでいるので、あとはこのお爺ちゃんを信じるのみ。

写真には収まりきらない大きな機材トラック ©NIPPO Vini Fantini写真には収まりきらない大きな機材トラック ©NIPPO Vini Fantini

スイス迂回という“常識”

 また移動ルートに関しても、欧州自転車界には共通の認識があります。オランダやベルギー方面からイタリアへ南下する際、一般的にはスイスを通過するのが距離も短く手っ取り早く感じるのですが、機材をギッシリ積んだトラックは必ずフランスやオーストリアを迂回して南下します。

 これ、なぜだがわかりますか?

オランダステージでのメカニックは2人。手際よく仕事をこなす ©NIPPO Vini Fantiniオランダステージでのメカニックは2人。手際よく仕事をこなす ©NIPPO Vini Fantini

 EU諸国の国境は今現在、ほぼあってないような状態で、県をまたぐかのように通過できます。しかしEU非加盟であるスイスの場合は話が変わり、国境でのパスポートチェックの他に、トラックに関しては積載物の記載と確認が必要になることもあります。

 細かな荷物をてんこ盛り積んでいる私たちのトラックがそんな要望に応じるのは不可能です。場合によっては全て荷物を降ろすよう告げられることもあるそうで。

 そんなこんなで、こちらの自転車業界では、スイスを迂回することが共通認識として頭にあります。

27時間走ったトラックからの連携プレー

 また機材トラック班は、オランダ最終日の第3ステージを見ずして出発しますから、レースで使用した自転車は全て飛行機輪行。第3ステージで居残る先輩メカニックが1人で18台を輪行し、飛行機で発送した後そのまま南イタリアへ向け車を走らせます。

 そしてその飛行機が南イタリアに到着するころ、27時間走り続けた機材トラックが到着する予定で、私はその自転車を受け取って組み上げます。

 まさに連携プレー。全てが上手く運べば、この連携プレーが成功します。が、何が起こるかわからないのがこの業界のスリリングで面白いところ。

 私は任された任務を忠実に遂行するまで! 無事に運び切ります。

 それでは皆様、今年もぼちぼちいきまっせ〜!!

第2ステージで逃げに乗ったジャコーモ・ベルラート(右)と。若手選手たちとは同年代だ ©NIPPO Vini Fantini第2ステージで逃げに乗ったジャコーモ・ベルラート(右)と。若手選手たちとは同年代だ ©NIPPO Vini Fantini
福井響福井響(ふくい・ひびき)

1993年3月7日生まれ、大阪府出身。高校時代から自転車競技にめざめ、一般入試を受けて鹿屋体育大学に入学。自転車競技部に入部し、本格的に自転車競技に打ち込むが、そのなかでプロメカニックの存在を知り、大学2回生で選手からメカニックに転向。大学在学時からヨーロッパで活動するチームNIPPOでメカニック研修を積み、2015年、大学卒業と同時にNIPPO・ヴィーニファンティーニに加入。現在は、「本場の自転車競技を日本に普及させたい」という思いのもと、第一線の現場で働いている

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