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ジロ・デ・イタリア2016メカニックのお仕事拝見 ディスクブレーキのテスト導入で選手からポジティブな反応も

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チーム宿泊先のホテルで夜遅くまで機材セッティングを続けるエフデジのメカニックスタッフら Photo: Aki KARASAWAチーム宿泊先のホテルで夜遅くまで機材セッティングを続けるエフデジのメカニックスタッフら Photo: Aki KARASAWA

 ジロ・デ・イタリアの第2ステージで、オランダ・アーンヘムからネイメーヘンまで190kmのコースへ繰り出した選手たち。それを支えるメカニックスタッフはスタートエリアでのバイクの調整やホテルへ戻ってからのセッティングやメンテナンスなど、余念がない。そんなメカニックスタッフの作業現場に迫るとともに、導入テストを一時中断中のディスクブレーキの方向性などを、テスト導入の経験があるランプレ・メリダのチームマネジャーらに取材した。

ハンドルの微妙なズレが気になるモドロ

 コースのコンディションが変わればマシンのセッティングも変わる。第1、第2ステージの夜には、チーム スカイ、BMCレーシングチーム、アージェードゥーゼール ラモンディアル、エフデジ、チーム ロットNL・ユンボが同じホテルに宿泊。タイムトライアルを終えたその夜は遅くまで、メカニックスタッフらがTTバイクを片付けたのち通常のバイクの準備に追われていた。

 地元オランダのチーム ロットNL・ユンボの前には、興味津々で眺めるホテルの宿泊客らの姿もチラホラ。スタッフのひとりは休みなく手を動かしながら、「現地入りしてからたくさんの観客に囲まれ続けている。このチームにとってオランダで開幕というのはほんとにエキサイティングなこと」とご機嫌の様子だ。

 第4ステージへ向けた南イタリアへの旅路について尋ねると、「まさか2000kmはトラックで走らないよ! アムステルダム空港へ行くだけ。向こうに違うトラックがあるからね」と教えてくれた。

黙々と作業を続けるチーム ロットNL・ユンボのメカニックスタッフら Photo: Aki KARASAWA黙々と作業を続けるチーム ロットNL・ユンボのメカニックスタッフら Photo: Aki KARASAWA
選手のバイクが6.8kg以内に収まっているかをチェックするスタッフ Photo: Aki KARASAWA選手のバイクが6.8kg以内に収まっているかをチェックするスタッフ Photo: Aki KARASAWA
第2ステージのスタート地、オランダ・アーンヘムの中心街に設けられたチームバスエリア。誰もが自由に立ち入ることができた Photo: Aki KARASAWA第2ステージのスタート地、オランダ・アーンヘムの中心街に設けられたチームバスエリア。誰もが自由に立ち入ることができた Photo: Aki KARASAWA

 一夜明けても、第2ステージのスタート直前までタイヤの空気圧、ギア、ブレーキのチェックに余念がない。ランプレ・メリダのチームバスの前では、バイクがレース使用機材規定の最軽量リミット6.8kgに収まっているか重量計の目盛に目を光らせる姿が見られた。

 ほかにも、ハンドル位置の微妙なズレが気になる様子のサーシャ・モドロ(イタリア)にメカニックスタッフが付き添い、リクエストどおりに調整を続けていた。その甲斐もあってか、その後モドロは第2ステージでスプリントゴールの3着に輝いた。

ハンドル位置の微調整を続けたサーシャ・モドロ(イタリア) Photo: Aki KARASAWAハンドル位置の微調整を続けたサーシャ・モドロ(イタリア) Photo: Aki KARASAWA
選手のバイクの最終確認をするランプレ・メリダのメカニックスタッフ Photo: Aki KARASAWA選手のバイクの最終確認をするランプレ・メリダのメカニックスタッフ Photo: Aki KARASAWA
チームバスエリアからスタートサインへ向かう選手ら Photo: Aki KARASAWAチームバスエリアからスタートサインへ向かう選手ら Photo: Aki KARASAWA

「遅かれ早かれディスクブレーキの時代が来る」

 ところで、UCIがこの春、プロロードレースのディスクブレーキ導入テストを一時中止したことについて、チーム関係者はどう考えているのだろうか。

 UCIは2017年のディスクブレーキ本格導入に向け、試験的に今年1年を通じてワールドチームによる使用を許可。しかし、4月10日のフランス「パリ~ルーベ」での選手負傷によりテストは一時中止された。このことについてチーム幹部やメカニックスタッフに尋ねてみた。

エフデジのメカニックスタッフを務めるティム・デユンゲさんは「メンテナンスやセッティングの手間はほとんど変わらない」 Photo: Aki KARASAWAエフデジのメカニックスタッフを務めるティム・デユンゲさんは「メンテナンスやセッティングの手間はほとんど変わらない」 Photo: Aki KARASAWA

 今回のジロ・デ・イタリアでは、ほとんどのチームがまだ通常のブレーキ経験のみ。エフデジで14年間メカニックスタッフを務めるティム・デユンゲ(Tim Dejonghe)さんは、「自分自身がプライベートで乗る時は通常のブレーキを使っているけれど、シクロクロスを楽しんでいる友人はやっぱりブレーキ性能が良いと言っているね」とコメント。「プロロードレースシーンでもディスクブレーキに移行していくと思うよ。ただし、すべてがクリアにならないと、うちのチームでの導入にはまだ早いかな。トラックの内装からバイクスタンド、全部をディスクブレーキ仕様に変えなきゃならないんだ。メンテナンスやセッティングの手間はほとんど変わらないと思うけれどね」

 一方、大会唯一のディスクブレーキ経験チームがランプレ・メリダだ。チームマネジャーのブレント・コーペラント(Brent Copeland)氏は、「実のところ、選手の誰からも不平不満が出なくて驚いているんだ」と、機材をディスクブレーキに変えた際の率直な感想を語ってくれた。

ディスクブレーキのテスト導入では「選手から不平不満が出なくて驚いた」とランプレ・メリダのチームマネジャーのブレント・コーペラント氏 Photo: Aki KARASAWAディスクブレーキのテスト導入では「選手から不平不満が出なくて驚いた」とランプレ・メリダのチームマネジャーのブレント・コーペラント氏 Photo: Aki KARASAWA

 「導入してすぐに、ブレーキ性能が格段に向上するという大きなアドバンテージがあることに気付いた。新しい製品をテストする際は、選手の感覚として懐疑的な場合が多い。しかし、今回選手たちから受けたフィードバックはどれもポジティブ。パリ〜ルーベ前日に合流して15分前に初めてバイクに飛び乗った選手がいたのだけれど、10分乗ってすぐ何も問題ないと言っていたよ。メリダからスポンサーを受けているからこういう話をしているのではなくて、正直な話。ブレーキ感覚が違ってくるのは問題ではないかと言う人もいるけれど、そもそもシマノやカンパニョーロなどブランドが異なれば感覚は異なる。選手たちはプロだから、それくらいすぐに順応できるよ」

 「セットにかかる時間は確かに多少延びるしれないけれど、差は微々たるもの。パンク時のホイール交換についてはむしろ速いくらい。うちのチームで使っているのはシマノだけど、新規に導入されたスルーアクスルシステム『RAT』によって、付け外しがスムーズにできるようになった。ここにあるのは通常のブレーキだけだから、見せられなくて残念だ。重量が300gというのは今のところ残念なポイント。2017年にはもっと軽量のモデルが出てくると聞いている」

ジロ・デ・イタリアでは通常のブレーキがセッティングされていた Photo: Aki KARASAWAジロ・デ・イタリアでは通常のブレーキがセッティングされていた Photo: Aki KARASAWA
スタート前にチームバス横に並んだランプレ・メリダの選手のバイク Photo: Aki KARASAWAスタート前にチームバス横に並んだランプレ・メリダの選手のバイク Photo: Aki KARASAWA

 「使用の一時中断に至った事故については、『選手のけがはディスクブレーキが原因』と証明されるまでは信じがたい話だね。選手の傷も見たけれど、ディスクブレーキではなくてチェーンリングによる傷のように見えたよ。そうはいっても、今後はより安全な仕組みが考案されていくはず。遅かれ早かれ、ディスクブレーキの時代が来るよ」

 第一線のチームマネジャーも予言する“新たな時代”の到来。今後の動向に目が離せない。

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