“最古参”のクラシックレース雨と雪が襲った激闘のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ スカイのプールスが初制覇

by 平澤尚威 / Naoi HIRASAWA
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 アルデンヌクラシック3連戦の最後を飾る「リエージュ~バストーニュ~リエージュ」(UCIワールドツアー)が4月24日にベルギー・ワロン地方で開かれ、ヴァウテル・プールス(オランダ、チーム スカイ)が優勝した。雨や雪にも見舞われる厳しいコンディションのなか、最後は4人に絞られたゴールスプリントを制した。別府史之(トレック・セガフレード)は134位でゴールした。

リエージュ~バストーニュ~リエージュを制し右手を突き上げたヴァウテル・プールス(チーム スカイ)  Photo: Yuzuru SUNADAリエージュ~バストーニュ~リエージュを制し右手を突き上げたヴァウテル・プールス(チーム スカイ)  Photo: Yuzuru SUNADA

 5大クラシックレース“モニュメント”の一つで、最古参を意味する“ラ・ドワイエンヌ”という別名をもつリエージュ~バストーニュ~リエージュは、今年で102回目を迎えた。

 リエージュからアンスまで253kmのコースには、10カ所の登坂ポイントをはじめ多くのアップダウンが設けられ、獲得標高は4000mに及んだ。例年、最後の登坂ポイントとして勝負どころになっていたコート・ド・サン・ニコラ(登坂距離1.2km、平均勾配8.6%)の先にもう一つ、コート・ド・ラ・ルー・ナニオ(0.6km、10.5%)という石畳の坂が加わった。

雪の中を走る逃げ集団 Photo: Yuzuru SUNADA雪の中を走る逃げ集団 Photo: Yuzuru SUNADA

 レースは雨が降るなかで開催され、時々晴れたり、吹き付けるような雪やヒョウが降ったりという目まぐるしさ。数kmごとに天候が変わり、晴れて選手たちがレインウェアを脱いだ途端に、雪が降り始めるなど厳しいコンディションのなかでレースは争われた。コース序盤には、降雪のため迂回ルートを採用する措置も取られた。

 逃げ集団は8人で、メーン集団は前年の王者、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)を擁するモビスター チームがコントロール。最大10分ほどのリードを与えながらも差を縮めていった。

 終盤にさしかかり、モビスターに代わってエティックス・クイックステップが先頭を引き始め、残り23kmで逃げの選手を全てキャッチした。エティックスは2013年優勝のダニエル・マーティン(アイルランド)、2015年2位のジュリアン・アラフィリップ(フランス)をエースに、5人が集団前方に陣取った。

メーン集団をコントロールするモビスター チーム Photo: Yuzuru SUNADAメーン集団をコントロールするモビスター チーム Photo: Yuzuru SUNADA
集団前方に人数を揃えたエティックス・クイックステップ Photo: Yuzuru SUNADA集団前方に人数を揃えたエティックス・クイックステップ Photo: Yuzuru SUNADA

 リエージュでは、どの坂で勝負を決定づけるアタックが生まれるかが注目される。残り20.5kmのコート・ド・ラ・ロッシュ・オウ・フォーコーン(登坂距離1.5km、平均勾配9.3%)でカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、モビスター チーム)、続くサン・ニコラではディエゴ・ローザ(イタリア、アスタナ プロチーム)やイルヌール・ザカリン(ロシア、チーム カチューシャ)が仕掛けるも、不発に終わった。しかし、エティックスやモビスターをはじめ各チームのアシスト陣が減り、エース格の力勝負に決着は委ねられた。

 残り約3km、最後の登坂ポイントであるルー・ナニオにはアラフィリップが先頭で入った。しかし、それをミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)があっという間に抜き去っていった。石畳の上り坂を力強く駆け上がるアルバジーニに、ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)とサムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシングチーム)、プールスが食らいついた。アラフィリップやバルベルデは20人ほどの集団に取り残され、10秒ほどの差で前を追った。

石畳の上り坂でペースを上げたミヒャエル・アルバジーニ(オリカ・グリーンエッジ)石畳の上り坂でペースを上げたミヒャエル・アルバジーニ(オリカ・グリーンエッジ)

 ゴールの直前にも、登坂ポイントに設定されない1kmほどの上りが待ち構える。先頭の4人はリードしているとは言え、牽制になれば追いつかれそうな距離で、集団との差を気にかけながら上っていく。ここでも調子よく先頭を引いていたアルバジーニが残り1kmからアタックすると、プールスがチェックしてこの動きを封じた。今度はプールスがアタックし、アルバジーニが抑え込むという攻防が繰り広げられた。

 上りでは決着がつかず、勝負は4人のゴールスプリントに持ち込まれた。左へのコーナーを曲がって最終ストレートに入ると、プールスが先に腰を上げスプリントを仕掛けた。これにアルバジーニ、コスタが続き、サンチェスは脱落。プールスに比べ、スプリント力があるアルバジーニに有利な展開に見えたが、差し切るだけの脚は残っていなかった。アルバジーニ、コスタを振り切ったプールスが、右手を高く突き上げた。

リエージュ~バストーニュ~リエージュ表彰式(左から)ルイ・コスタ、ヴァウテル・プールス、ミヒャエル・アルバジーニ Photo: Yuzuru SUNADAリエージュ~バストーニュ~リエージュ表彰式(左から)ルイ・コスタ、ヴァウテル・プールス、ミヒャエル・アルバジーニ Photo: Yuzuru SUNADA

 総合系ライダーとしてグランツールなどのステージレースで活躍しているプールスは、ティレーノ~アドリアティコやカタルーニャ一周(ともにワールドツアー)などでステージ優勝を経験しているが、クラシックでは初勝利。それもモニュメントでの優勝とあって、プロキャリアで最大の勝利となった。

■リエージュ~バストーニュ~リエージュ(253km)結果
1 ヴァウテル・プールス(オランダ、チーム スカイ) +6時間24分29秒
2 ミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ) +0秒
3 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) +0秒
4 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシングチーム) +4秒
5 イルヌール・ザカリン(ロシア、チーム カチューシャ) +9秒
6 ワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・アルペシン) +11秒
7 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ) +12秒
8 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) +12秒
9 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +12秒
10 ディエゴ・ローザ(イタリア、アスタナ プロチーム) +12秒
134 別府史之(日本、トレック・セガフレード) +14分6秒

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