「イーバイク・フェス」現地レポート<下>100kg積めるカーゴ、時速45km出る高性能車も 独ドルトムントに電動アシスト自転車集結

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香川真司が所属するドルトムントの名門サッカーチーム「ボルシア・ドルトムント」デザインのイーバイク Photo: Aki KARASAWA香川真司が所属するドルトムントの名門サッカーチーム「ボルシア・ドルトムント」デザインのイーバイク Photo: Aki KARASAWA

 荷物をたっぷり詰めるカーゴバイクから、最大500Wのアシストを得られるスポーツ車まで―。ドイツ中西部の都市ドルトムントで4月15~17日に初開催された欧州最大のイーバイク(電動アシスト自転車)のイベント「イーバイク・フェスティバル ドルトムント 2016」には、日本では見られない最新モデルが集結した。冠スポンサーのシマノ・ヨーロッパをはじめ100以上の出展社が集まった会場で、来場者の関心を集めたブランドやバイクを紹介する。

オールマイティーな車種が人気

 緑豊かなドイツでは、多くの都市で中心街から数kmも走ればオフロードのトレイルを楽しむことができる。また未舗装路を含む長距離自転車専用道が広範囲に整備されている。そんな道路事情から、電動アシスト自転車も悪路を難なく走行できる性能が必要。このため本格的なマウンテンバイク(MTB)仕様と並んで、舗装路の快適性と悪路の踏破性を兼ね備えたオールマイティーな車種「ATB(All Terrain Bike)」の人気が高い。

オールマイティーな車種「ATB」を多くラインアップする「リーゼ&ミュラー」のブース Photo: Aki KARASAWAオールマイティーな車種「ATB」を多くラインアップする「リーゼ&ミュラー」のブース Photo: Aki KARASAWA
リーゼ&ミュラーの折りたたみ型のイーバイク。小径のイーバイクはドイツでは希少 Photo: Aki KARASAWAリーゼ&ミュラーの折りたたみ型のイーバイク。小径のイーバイクはドイツでは希少 Photo: Aki KARASAWA

 「リーゼ&ミュラー」(Riese & Müller)はドイツで人気のATBブランド。小径車からカーゴバイクまで12〜15種のイーバイクを展開し、アジアやアメリカでも販売されている。会場のブースには、小さなスペースにたくさんの人が押しかけていた。

 注目を集めていたのは、電動アシストのフォールディングバイク(折りたたみ自転車)。日本ほど小径車を見かけることのないドイツでは珍しいモデルだ。スタッフに聞いてみると、リーゼ&ミュラーの歴史は、自社製品を開発する以前に、フォールディングバイク「BD-1」のアイディアを生み出し提供したことに始まったのだという。

 また同社イチオシのイーバイクは、100kgまでの荷物を積載可能なカーゴバイク。ペットや子ども、ケース買いをした瓶などを軽々と運べるだけでなく、荷台に大人が座っても問題なく走るという(※編集部注:使用する国の法規に従う必要があります)。運転者の体重も100kgまでOKという頑丈な造りだ。ブースのスタッフは、「ここ(荷台)に乗る人は、いい景色が現れたら運転を気にせず撮影を楽しめるよ」と新しいサイクリングスタイルを提案していた。

リーゼ&ミュラーのカーゴバイク。運転者と荷物でそれぞれ100kgの重さに耐える Photo: Aki KARASAWAリーゼ&ミュラーのカーゴバイク。運転者と荷物でそれぞれ100kgの重さに耐える Photo: Aki KARASAWA
シマノ・ヨーロッパがイーバイクのパーツを提供するブランドはドイツだけでおよそ60ある Photo: Aki KARASAWAシマノ・ヨーロッパがイーバイクのパーツを提供するブランドはドイツだけでおよそ60ある Photo: Aki KARASAWA
シマノ・ヨーロッパが展開するイーバイクのパーツ Photo: Aki KARASAWAシマノ・ヨーロッパが展開するイーバイクのパーツ Photo: Aki KARASAWA
シマノ・ヨーロッパが展開するイーバイクのパーツ Photo: Aki KARASAWAシマノ・ヨーロッパが展開するイーバイクのパーツ Photo: Aki KARASAWA

最高時速45kmのバイク

バイクのうしろに取付けられた「時速45km」のプレート Photo: Aki KARASAWAバイクのうしろに取付けられた「時速45km」のプレート Photo: Aki KARASAWA

 リーゼ&ミュラーのブースでは、バイクのうしろに「時速45km」のプレートが取付けられた車種がいくつかあった。実は、これらはイーバイクであって“自転車”ではない。

 出力500wまで補助動力が認められるが、スクーター(オートバイ)と同等の扱いになり、スクーターの免許が必要。免許の取得は15歳以上とされていることから、必然的に年齢制限が生じる。

 またスクーターのルールに従うため、後部にナンバーの取り付けが義務づけられ、自転車専用道はスクーターの走行が許可されている場合にのみ通行できる、血中アルコール濃度0.5パーミル以上は運転不可、という点もスクーターと同様だ。当然、ヘルメットの着用が義務付けられている。

 500wイーバイクは、さらに2種類に分類される。ひとつは「電気動力のみで最高時速20kmまで可」。ペダルを踏めば、より高速で走行できる。もうひとつのタイプは、「電気動力の自走は不可、最高時速45km」で、ペダルをこいでいる時のみ電動アシストが効く。リーゼ&ミュラーのプレート付きのバイクはこれに分類される。

 一方、日本の電動アシスト自転車に相当するのは、「ペデレック」と呼ばれるタイプだ。補助動力は出力250wまで、時速25kmまでのものを指す。ペデレックは同じイーバイクカテゴリーに属するものの、走行する際のルールは、ヘルメットが必須な点以外は通常の自転車と違いはない。トレイラー牽引OK、もちろん自転車専用道の走行が可能だ。

原付免許が必要な規格のイーバイクは、サイドミラーの設置も義務 Photo: Aki KARASAWA原付免許が必要な規格のイーバイクは、サイドミラーの設置も義務 Photo: Aki KARASAWA
「イーバイク・フェス」の広告が取付けられた市内のシェアバイク。こちらは通常の自転車だ Photo: Aki KARASAWA「イーバイク・フェス」の広告が取付けられた市内のシェアバイク。こちらは通常の自転車だ Photo: Aki KARASAWA

学生が制作した“最軽量のイーバイク”

ジャイアントのブースではロードバイク型の電動アシスト自転車が展示されていた Photo: Aki KARASAWAジャイアントのブースではロードバイク型の電動アシスト自転車が展示されていた Photo: Aki KARASAWA

 会場には、旺盛な開発欲に彩られた製品が目白押し。ATB以外にも、ロードバイクから本格MTBまで、スポーツ用途のイーバイクは枚挙に暇がない。1907年に自転車店としてドイツに創業し、その後バイクブランドに成長した「ローゼ」(Rose)では、目玉製品として今夏発売予定のファットバイクタイプのイーバイクを展示していた。

 ローゼのスタッフ曰く、とっておきのポイントは「3Dプリンターを使ってプロトタイプを制作したこと」だ。これまでは、開発中の製品はコンセプトやイメージ画像は紹介できても、展示品として並べらることができなかったが、3Dプリンターでビジュアライズすることによって、ユーザーだけでなく自分たちもイメージをつかみやすくなったという。さっそく、いかつい外観に引き寄せられたオートバイのライダーたちが、展示されたバイクのスペックなどについてスタッフへ質問を浴びせていた。

ローゼのブース Photo: Aki KARASAWAローゼのブース Photo: Aki KARASAWA
3Dプリンターで制作されたプロトタイプ Photo: Aki KARASAWA3Dプリンターで制作されたプロトタイプ Photo: Aki KARASAWA

 骨っぽい構造が目を引いたのは、ドルトムント専門大学(Fachhochschule Dortmund)の学生たちの作品「ピーターソンバイク」。“最軽量のイーバイク”を目指したとい、重量はバッテリーやペダルを含め15kgに収めた。

ドルトムント専門大学の学生たちが制作した「ピーターソンバイク」 Photo: Aki KARASAWAドルトムント専門大学の学生たちが制作した「ピーターソンバイク」 Photo: Aki KARASAWA
サドルを含めバランスを取る特殊な三角構造 Photo: Aki KARASAWAサドルを含めバランスを取る特殊な三角構造 Photo: Aki KARASAWA
ピーターソンバイクのモーターはアルミ製のケース Photo: Aki KARASAWAピーターソンバイクのモーターはアルミ製のケース Photo: Aki KARASAWA
ドルトムント専門大学のブースではシミュレーションライドも実施されていた Photo: Aki KARASAWAドルトムント専門大学のブースではシミュレーションライドも実施されていた Photo: Aki KARASAWA

 ピーターソンバイクのフレームは特殊なカーボン製、ペダルとネジはチタン製で、接続部や、最も重いモーター部はアルミ製となっている。学生たちは、来場したおじさんに「きのうテレビで見たよ」と話しかけられ、「そうなんです、きのうようやくプロトタイプが完成したばかりで」と嬉しそうに答えていた。

 このピーターソンバイクは2017年に200台限定で販売が予定されている。開発に携わったという市内の自転車店オーナーが取り扱う予定で、想定価格は1500ユーロ(約18万8000円)という。仕様が日本の法規に合致しないため、日本国内の公道では走行できないというが、日本でも購入できるかどうかを筆者が尋ねると、「もちろん送れるよ!」と元気な答えが返ってきた。

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