本大会は10月2日開催予定野山をMTBで駆け巡った「松野四万十バイクレース」プレ大会 130kmで獲得標高3000m

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
  • 一覧

 マウンテンバイク(MTB)のアドベンチャーレース「クロスカントリーマラソン松野四万十バイクレース」のプレ大会が4月17日、愛媛県松野町を中心に開催された。上級クラスは距離約130km、獲得標高約3000m、未舗装率52%という過酷なコースを設定。約90人の参加者が一日中野山を駆け巡って、MTBならではの“冒険”を楽しんだ。本大会は、プレ大会の経験を反映させて10月2日に開催する予定だ。

甲冑姿の武者が選手に襲いかかる!? Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL甲冑姿の武者が選手に襲いかかる!? Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL

愛媛の自然を堪能できるMTBレース

松野町の玄関口、温泉併設のJR予土線松丸駅 Photo: Ikki YONEYAMA松野町の玄関口、温泉併設のJR予土線松丸駅 Photo: Ikki YONEYAMA

 松野町は愛媛県の南端近くの内陸部に位置し、南側は高知県と隣接する。人口は4000人あまりと県内で最小だが、「森の国」をキャッチフレーズに、キャニオニングなどアウトドアアクティビティを推進。さらに、ご当地PRムービーの制作、スポーツ大会の開催といった地域振興策を積極的に展開している。

 コースは、国内のMTBレースとしては異例の長さを誇る。2本の四万十川支流(目黒川、黒尊川)に沿った舗装路を中心とし、両者をつないで山間部を越える林道や、脇道の林道といったオフロードがいくつも組み込まれた。そのエリアは、高知県四万十市を含む広範囲に及んでいる。約130kmの上級クラスのほか、最終ループなど林道2つを省略した約90kmの中級クラスも設定された。

雄大な四国の自然を一日満喫できる「松野四万十バイクレース」 Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL雄大な四国の自然を一日満喫できる「松野四万十バイクレース」 Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL

 参加は2~4人のチーム制で、各チーム員が見える範囲でまとまって走るのがルール。一部選手の途中リタイアも許されるが、順位計算の際にペナルティとなる。1人になってしまえば失格となる。これは長距離のコースで役員の目の届かない範囲が広いため、事故やトラブルの際に初期対応をチーム内で行う必要があるからだ。

のどかな農村を駆け抜ける Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIALのどかな農村を駆け抜ける Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL

 また、一部選手のリタイアを認めるのは、少しでも多くの参加者が完走し、地元の素晴らしい自然を体験してほしいという主催者の考えによる。コースはのどかな清流沿いの農村地帯から、急峻な山道を通り、滝や急流をかすめながら、周囲一面を見渡せる絶景ポイントなど、変化に富んだ四国の自然を堪能できる。運が良ければサワガニや鹿、タヌキなどの野生動物に出会うこともできる。

 レースは朝5時半スタートで、上級クラスは最終制限時間の午後6時まで、最大12時間半をかけてゴールを目指す。途中2カ所(中級は1カ所)の関門が設けられ、制限時間内に通過できなければ、その時点で失格となる。

獲得標高は上級クラスで3000m超におよぶ Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL獲得標高は上級クラスで3000m超におよぶ Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL
3本垂らされたコーステープが進行方向を示す Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL3本垂らされたコーステープが進行方向を示す Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL
四万十に続く源流が溢れ出す滑床渓谷を行く Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL四万十に続く源流が溢れ出す滑床渓谷を行く Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL

 コースは看板やコーステープで仕切るのではなく、分かれ道のポイントなどでコーステープを“垂らす”ことで示される。方向を迷った場合は左右を見れば進む方向がわかり、万一ミスコースした場合も、すぐに気付けるようになっている。

本格MTB必須 チェックポイントに“お楽しみ”も

 ダートは全区間が林道のダブルトラック以上で、シングルトラックや階段、ドロップオフなど特別なテクニックが必要な場所はない。上りも相応の体力と技量があれば、全区間で乗車が可能だ。ただし斜度15%以上の急坂や、大きな石が転がるガレ場の区間があるため、バイクは本格的なMTBが必須。林道を油断してかかると痛い目にあう。

緑豊かな自然の中を走る Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL緑豊かな自然の中を走る Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL
乗り続けることが困難な、乾いた砂利道の急勾配 Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL乗り続けることが困難な、乾いた砂利道の急勾配 Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL
愛媛県内を中心に、数多くの自転車イベントに携わる門田基志選手(チームジャイアント) Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL愛媛県内を中心に、数多くの自転車イベントに携わる門田基志選手(チームジャイアント) Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL

 レースをプロデュースした門田基志選手(チームジャイアント)は、「マウンテンバイクでなければ走れないコースにしたかった」と語る。MTB仲間や地元関係者と協力して、周辺の林道を自ら試走し、走りごたえのあるコースを作り上げた。

 上級クラスは3割程度の完走率を想定。将来、完走率が上がった場合には、さらに厳しい林道を組み込むことも考えているという。海外レースの経験も豊富な門田選手が、「ここでならクロスカントリー・マラソンの世界選手権も開ける」と太鼓判を押すコースだ。

一見普通のアウトドアおじさん。実はれっきとした表千家のお茶の先生 Photo: Ikki YONEYAMA一見普通のアウトドアおじさん。実はれっきとした表千家のお茶の先生 Photo: Ikki YONEYAMA

 また、途中のチェックポイントでは、甲冑姿の武者や、獅子舞、浴衣姿の美女、さらに太鼓での応援、本格的な抹茶を味わえるお茶会、鹿肉ソーセージバーベキューなど、参加者を楽しませる数々の演出を用意する。ほぼ和風テイストで揃えたのは、海外のライダーの誘客も想定しているためだという。

 ロードサイクリングでは「しまなみ海道」が世界的に知られる愛媛県。今度は瀬戸内海とは間逆の山の魅力を使って、MTBでも世界のサイクリストにアピールする大会を目指す。

獅子舞と睨めっこ! Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL獅子舞と睨めっこ! Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL

 上位チームには賞品として、武者甲冑を模したトロフィーや、地元の農産物、地酒などが贈られる。ただ、順位を狙う場合は、途中のお楽しみは“ほどほど”にする必要がありそうだ。

 10月2日開催の本大会は、7月ごろから申し込み受付が始まる見込みという。本大会では会場でのブース出店や、コース途中での演出のパワーアップ、また参加者が地元住民と触れ合える農家民泊なども予定されている。

武者甲冑を模した優勝トロフィー Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL武者甲冑を模した優勝トロフィー Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL
田舎の人情と郷土料理をたっぷり味わえる農家民泊 Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL田舎の人情と郷土料理をたっぷり味わえる農家民泊 Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL

プレ大会は雨のち晴れ

 プレ大会当日は、あいにくの雨風の中でのスタートとなった。しかし悪コンディションもレースのうち。前夜に発令された暴風警報が解除されるのを待ち、予定より1時間遅れの朝6時半、上級クラスが松野町の目黒南小学校をスタートしていった。

徐々に木々が深くなる Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL徐々に木々が深くなる Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL

 県道270号線の舗装路を7km弱上ると、いよいよ最初のダート区間、滑床林道へと入る。10km弱の距離はひたすら上りで、斜度も平均7%と決して楽ではない。渓谷沿いにひたすら上って林道を抜けると、そこでは表千家の先生が野点の茶をふるまうお茶会が待っていた。

幻想的な霧の中、ヒルクライムが続く Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL幻想的な霧の中、ヒルクライムが続く Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL
日見須林道の急勾配区間。たまらず押し歩き Photo: Ikki YONEYAMA日見須林道の急勾配区間。たまらず押し歩き Photo: Ikki YONEYAMA

 舗装の黒尊スーパー林道を下り、途中で2番目のダートとなる西谷林道のループ(15km)に入る。ここまでに天候は完全に回復し、照りつける日差しが選手の体をヒートアップさせた。上りを終えたチェックポイントで鹿肉ソーセージを味わった後は、最初のオフロードダウンヒルが待ち受ける。斜度は緩めで、コースに慣れるにはピッタリの下りだ。

 再び黒尊川沿いを下っていくと、中盤の難所となる玖木南林道(10km ※上級クラスのみ)、日見須林道(13km)が立て続けに現れる。最大斜度15%強の斜面が数百m続く区間では、押し歩きになる選手が続出した。ダウンヒルも急斜面区間があり、テクニックだけでなくタイヤやブレーキの性能が試されるエリアだ。

野武士の法螺貝を合図に沈下橋を渡る Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL野武士の法螺貝を合図に沈下橋を渡る Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL

 林道出口の沈下橋を渡ると、最初の県道270号線に戻り、途中、小ぶりなオフロード区間を挟みながら、舗装路をスタート地点の目黒南小学校に戻る。中級クラスはここでゴールだが、上級クラスは最終ループのダートが待ち受けている。県道270号線を5kmほど上ったところから始まる目黒林道(20km)は、一気に天上の世界へと選手をいざなう。周囲一面を展望できる頂上では、浴衣美人の祝福を受け、最後は迫力のある展望を楽しみつつ、ゴールの目黒南小へと豪快なダウンヒルで戻っていく。

目黒林道では周囲一面が展望できる Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL目黒林道では周囲一面が展望できる Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL
目黒林道の最高地点で待ち構えていた浴衣美人と盆踊り Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL目黒林道の最高地点で待ち構えていた浴衣美人と盆踊り Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL
ゴールに向けて一気のダウンヒル Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIALゴールに向けて一気のダウンヒル Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL

完走を逃しても“満足”

 今回のプレ大会では、スタート時間が遅くなった一方で、関門の制限時間は当初の予定通りで行われた。このため上級クラスに参加の16チーム中、最終ループに進めたのはわずか5チームだった。タイムアウトになった選手たちは、本大会こそは完走したいと次の目標に燃える一方で、ほとんどの選手が8時間以上走っており、「今日は十分走った」と満足の表情をみせていた。

プレ大会上級クラスは、門田・西山の師弟コンビが優勝 Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIALプレ大会上級クラスは、門田・西山の師弟コンビが優勝 Photo: Matsuno-Shimanto Bike Race OFFICIAL

 プレ大会では大きなトラブルは発生しなかったが、尖った石でタイヤがサイドカットのパンクに見舞われた選手が少なくなかったようだ。本大会に向けての装備の参考になるだろう。

 上級クラスのトップは、門田選手と西山靖晃選手(焼鳥山鳥)のペア。タイムは約8時間だったが、途中1時間程度、休憩やコース整備などロスタイムがあったと話しており、本大会でのトップタイムは、さらに縮まることになりそうだ。

フォトギャラリー


この記事のタグ

MTBレース ジャイアント

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

サイクリストTV

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載