ライダーに余裕と安心感を進化した推進力と振動吸収性能 トレックの新型「ドマーネSLR」をインプレッション

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 アメリカのバイクブランド「トレック」から新登場したロードバイク「ドマーネ SLR」の国内発表会が開かれた4月18日、東京都心部でメディア向けに試乗の場が用意された。独自の振動吸収システム「IsoSeed」(アイソスピード)をシートチューブに加えてヘッドチューブにも搭載し、更なる進化を遂げた二代目ドマーネのパフォーマンスを体感した。

トレック「ドマーネ SLR 6」 Photo: Naoi HIRASAWAトレック「ドマーネ SLR 6」 Photo: Naoi HIRASAWA

“しなり具合”を好みに調整

リアのアイソスピードは、シートチューブを独立した構造体にすることで振動吸収性と剛性を両立している Photo: Naoi HIRASAWAリアのアイソスピードは、シートチューブを独立した構造体にすることで振動吸収性と剛性を両立している Photo: Naoi HIRASAWA

 初代ドマーネは2012年、振動吸収性を飛躍的に向上させたバイクとしてデビューした。その大きな特徴は、パリ~ルーべなど石畳を舞台とするレースで、路面からの振動を巧みに吸収してライダーへの負担を軽減させるためのフレーム構造にあった。シートチューブがトップチューブやシートステーから独立して動くアイソスピード機構は、前後への“しなり”を生み出すことで乗り心地と安定感を両立させた。

 二代目となるドマーネSLRは、アイソスピード機構をヘッドチューブにも搭載。フォークのコラムを前後にしならせることで、パワーロスを感じさせることなく、上半身への振動を軽減させた。また、カーボン素材に特殊なエラストマーを重ねて構成される「IsoCore」(アイソコア)ハンドルバーは、路面からの高周波の振動を減衰し、快適性をアップさせた。

フロントに用いられたアイソスピード Photo: Naoi HIRASAWAフロントに用いられたアイソスピード Photo: Naoi HIRASAWA
スライドバーを上下させることでシートチューブ自体のしなり具合を調整することができる Photo: Naoi HIRASAWAスライドバーを上下させることでシートチューブ自体のしなり具合を調整することができる Photo: Naoi HIRASAWA

 シートチューブに備わるアイソスピードは一新され、しなり具合を好みに合わせて調整できるようになった。支点となるスライドバーを上下させることで、シートチューブが動く範囲を設定。荒れた路面環境ではよりしならせ、スムーズな路面でバイクとの一体感を得たい場合は硬めの設定にするなど、ライダーが自らフレームの性能を決定できる。

 新型ドマーネは、今年3月にイタリアで開かれた未舗装路を走る過酷なロードレース「ストラーデ・ビアンケ」で、ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック・セガフレード)が優勝を果たすなど、すでに発売前から注目を集めてきた。

推進力と振動吸収性がアップ

 筆者は初代ドマーネ「Cyclist号」を最近はほぼ毎日使用してトレーニングに励み、実業団レースにも出場してきた。初代ドマーネは安定感と粘りが特徴的で、軽量バイクのような軽快さは他のバイクに軍配が上がるものの、バランスの良さで勝負ができるバイクだ。長距離のトレーニングでも、微細な振動が蓄積して起こる疲れが少なく、快適にハイペースのトレーニングに取り組むことができる。

松尾修作 Cyclistの新人編集部員。元プロロードレーサーでヨーロッパをはじめ、アジアツアーやJプロツアーのレースを転戦した。脚質はオールラウンダーで、剛性が高いバイクよりはしなやかでも伸びのあるバイクを好む。身長175cm Photo: Naoi HIRASAWA松尾修作 Cyclistの新人編集部員。元プロロードレーサーでヨーロッパをはじめ、アジアツアーやJプロツアーのレースを転戦した。脚質はオールラウンダーで、剛性が高いバイクよりはしなやかでも伸びのあるバイクを好む。身長175cm Photo: Naoi HIRASAWA

 そんな風に初代ドマーネを愛用してきただけに、新型のドマーネSLRとの違いをじっくり確かめようと試乗に臨んだのだが、ペダルを一漕ぎした瞬間から体感することができた。踏みが軽いと同時に、初代にはなかった背中から押されるような推進力を感じられる。初代のシートチューブはトップチューブやシートステーから独立していたが、二代目はシートチューブが可動部分と一体成型部分の二重構造になっており、フレーム構成全体の剛性が増したからだろう。トルクとパワーを上げていっても同様の印象を得た。

ハンドル内部にラバーコンパウンドが用いられ、細かい振動を打ち消す効果を備えた「アイソコア」ハンドルバー Photo: Naoi HIRASAWAハンドル内部にラバーコンパウンドが用いられ、細かい振動を打ち消す効果を備えた「アイソコア」ハンドルバー Photo: Naoi HIRASAWA

 また、フロントのアイソスピードは良い意味で存在をあまり感じさせない。コラムをしならせる働きは、パワーロスにつながるのではないかという先入観があったが、ダンシングをしても、スプリントでねじるような力を加えても違和感はなかった。しかし、段差や路面の凹凸、道端の側溝にあえてフロントタイヤを差し込んでも挙動の乱れは少ない。必要なロードインフォメーションは伝わってくるが、“不安に感じる原因”となる不快な振動はなかった。これは、標準装備される28Cの幅広タイヤの恩恵も大きいだろう。

 リアのアイソスピードの効き具合を調整しようと、赤信号で停止して作業をしたが、青信号になるまでのわずかな時間で簡単に完了することができた。効き目の違いは歴然で、スライドバーを最も下げると体重をサドルに乗せただけでシートチューブが前後し、上に設定するとトルクをかけたハードなペダリングにもしなりすぎず対応した。

電動コンポーネント用のバッテリーや充電ポートを備えた「コントロールセンター」 Photo: Naoi HIRASAWA電動コンポーネント用のバッテリーや充電ポートを備えた「コントロールセンター」 Photo: Naoi HIRASAWA
ダイレクトマウントブレーキタイプのオリジナルブレーキキャリパー Photo: Naoi HIRASAWAダイレクトマウントブレーキタイプのオリジナルブレーキキャリパー Photo: Naoi HIRASAWA

 バイク全体における振動吸収性を初代ドマーネと比べると、体感では倍以上良くなっていた。さらに、踏みの軽さと推進力を得たので、本格的なレーサーでも満足できる走行性能だろう。サイクリスト号では、クリテリウムなどハイスピードでコンペティティブな場面で「もう少しピリッとした反応や加速があれば…」と感じることもあったが、新型のドマーネSLRなら心配無用。これ以上に期待することは、カラーラインナップぐらいしかない。(※トレックのカスタムプログラム「プロジェクトワン」では好みのカラーリングにオーダーできる)

 世界のトッププロが石畳の舞台で磨き上げた新型ドマーネのの安定感と振動吸収性は、一般ライダーが使用する日常のサイクリングシーンでも十分に発揮されるだろう。ライダーの能力を、振動や不安感でスポイルすることなく引き出し、快感に昇華させてくれる新しいスポーツサイクルが誕生した。

ドマーネ SLR 7
税込価格:680,000円
コンポーネント:シマノ/6800アルテグラDi2

ドマーネ SLR 6
税込価格:590,000円
コンポーネント:シマノ/6800アルテグラ

ドマーネ SLR 6 ディスク
税込価格:640,000円
コンポーネント:シマノ/6800アルテグラ+ディスクブレーキ仕様

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