ボーネンは僅差の2位、サガンは11位オリカの37歳ヘイマンがパリ~ルーベで大金星 カンチェッラーラは無念の落車で51位

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 “クラシックの女王”と称され、27セクター(区間)の石畳を走る過酷なレース「パリ~ルーベ」(UCIワールドツアー)が10日、フランスで行われ、37歳のマシュー・ヘイマン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)がワールドツアー初優勝を飾った。今季限りの引退を表明し、4度目の優勝を狙ったファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック・セガフレード)は残り46kmで落車。レースには復帰したが、51位に終わった。ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ)は11位で、ワールドツアーランキングの首位を守った。

パリ~ルーベ初優勝のマシュー・ヘイマンは両手を広げ喜ぶ Photo: Yuzuru SUNADAパリ~ルーベ初優勝のマシュー・ヘイマンは両手を広げ喜ぶ Photo: Yuzuru SUNADA

 握りこぶし大の石が敷き詰められたパヴェ(石畳)の攻略がカギを握るレース。計27セクターのパヴェの難易度は星の数で表現され、今年も最難関の五つ星が3区間用意された。パリ近郊のコンピエーニュをスタートし、ベルギー国境に近い街・ルーベまでの総距離257.5kmの中に52kmのパヴェが組み込まれた。パンクを誘発する角ばった石とともに、雨天時の泥が転倒の原因となる、危険と隣り合わせのレース。前々日から前日まで雨が降ったというが、この日は序盤から晴れ上がり、路面は概ねドライコンディションのレースとなった。だが後半、わずかに残った泥がドラマを生むことになった。

 前々週のヘント~ウェヴェルヘム、前週のツール・デ・フランドル初優勝に続きUCIワールドツアー3連勝を狙うペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ)。今大会3回優勝で引退に花を添えたいカンチェッラーラ。大会最多タイの優勝4回を誇るトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)が中心となり、レースが展開された。

パリ~ルーベ2016で石畳区間を走るペテル・サガン Photo: Yuzuru SUNADAパリ~ルーベ2016で石畳区間を走るペテル・サガン Photo: Yuzuru SUNADA

 スタート後98.5kmから始まるパヴェ区間までに、激しい攻防が繰り返された。強い横風で何度も集団が分断し、逃げと吸収を繰り返す。今大会限りでの引退を表明したヤオスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、トレック・セガフレード)、シルヴァン・シャバネル(フランス、ディレクトエネルジー)、マシュー・ヘイマン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)ら20人ほどの逃げ集団が、集団に約40秒差をつけ、最初の石畳区間に入った。

 先頭集団を追う第2集団をリードしたのはエティックス・クイックステップ勢。タイムトライアルスペシャリストのトニー・マルティン(ドイツ)がボーネンの風よけになりながら集団を引っ張った。そこにルーク・ロウ、イアン・スタナード(ともにイギリス)らチーム スカイ勢4人も協調し、順調に先頭集団との差を縮めていった。

石畳区間を力強く走るトム・ボーネン Photo: Yuzuru SUNADA石畳区間を力強く走るトム・ボーネン Photo: Yuzuru SUNADA

 一方、サガンとカンチェッラーラは、ボーネンらに続く第3集団中盤で、アレクサンドル・クリストフ(チーム カチューシャ)らとマークしあって走っていた。ところが第20セクターで起きた落車で集団が分断され、各チームのエース級選手は一時的にアシストを失ってしまう。残り95km、森の中を上り坂の石畳を2.4km上る五つ星の難関「アランベール」に入ると、カンチェッラーラは積極的に先頭を牽引。サガンも負けじと3番手をキープする。そこから残り86kmでアシストが戻るまで、サガンとカンチェッラーラは何度も先頭を引っ張りあった。

 最後の難関の石畳2区間で、レースが動いた。残り63km地点で第2集団は先頭集団に合流。チームスカイの4人が先頭を走っていたが、残り54km地点の四つ星のパヴェ「オシュイ・レ・オルシヴェ」のカーブ付近の水たまりでジャンニ・モズコン(イタリア、チームスカイ)がスリップ。その上にロウが乗り上げて前方に1回転する。残り51kmではサルヴァトーレ・プッチョ(イタリア、チームスカイ)がカーブを曲がりきれず転倒。チーム スカイはスタナード以外の3人が転倒した。
 

石畳区間で先頭を引くファビアン・カンチェッラーラ Photo: Yuzuru SUNADA石畳区間で先頭を引くファビアン・カンチェッラーラ Photo: Yuzuru SUNADA

 先頭集団を追うカンチェッラーラも石畳の餌食となった。残り46km、五つ星のパヴェ「モン・サン・ペベール」のぬかるみでホイールをすべらせ転倒。大きな負傷はなかったが、バイクを後続に次々と踏まれてしまい、4度目の優勝は遠のいた。真後ろについていたサガンは絶妙なバイクコントロールでカンチェッラーラの自転車を飛び越えたが、先頭を一緒に追う同志がいなくなり、前との差は少しずつ離れていった。

 最後の5つ星パヴェを通過すると、優勝の行方は、ボーネン、セップ・ヴァンマルク(ベルギー、チーム ロットNL・ユンボ)、ヘイマン、スタナード、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)の5人に絞られた。ゴールの前の坂道から始まった5人のアタック合戦はなかなか決着がつかず、ヴェロドローム(自転車競技場)まで持ち込まれた。

パリ~ルーベ2016を制し表彰台に立つマシュー・ヘイマン(中央)。左は2位のトム・ボーネン、右は3位のイアン・スタナード Photo: Yuzuru SUNADAパリ~ルーベ2016を制し表彰台に立つマシュー・ヘイマン(中央)。左は2位のトム・ボーネン、右は3位のイアン・スタナード Photo: Yuzuru SUNADA

 大歓声のヴェロドロームで、ボーネン、ヘイマン、ヴァンマルク、スタナードの順に残り1周に入る。残り半周でヘイマンが飛び出すと、ボーネンが反応。大外からスタナードも差しにかかるが、2人を抑えたヘイマンが両手を広げゴールした。「今朝起きたとき、勝てるなんて思ってもみなかった。プレッシャーもなく、リラックスして走ることができた。このレースで表彰台に立てるのは本当に特別なこと」と喜んだ。ヘイマンはオーストラリア出身の37歳。2000年、ラボバンクでプロ生活をはじめ、優勝は2011のパリ~ブールジュに続き2度目。パリ~ルーベはこれまで2012年の8位が最高で、プロ16年目でうれしいワールドツアー初制覇になった。

 落車で51位に終わったカンチェッラーラだったが、競技場では大歓声に包まれ、観客に何度も笑顔で手を振りながらゴール。「これまでも言ってきたことだが、パリ~ルーベには運が必要で、今日の僕には運がなかったということ。本当に『北の地獄』だったよ」と思い出が詰まったレースを締めくくった。

■パリ・ルーベ2016結果
1    マシュー・ヘイマン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)5時間51分53秒
2    トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
3    イアン・スタナード(イギリス、チーム スカイ)
4    セップ・ヴァンマルク(ベルギー、チーム ロットNL・ユンボ)
5    エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)+3秒
6    ハインリッヒ・ハウスラー(オーストラリア、イアム サイクリング)+1分
7    マルセル・ジーベルク(ドイツ、ロット・ソウダル)
8    アレクセイ・サラモティンス(ラトビア、イアム サイクリング)
9    イマノル・エルビティ(スペイン、モビスター チーム)+1分7秒
10   アドリアン・プティ(フランス、ディレクトエネルジー)+2分20秒

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