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栗村修の“輪”生相談<72>20代男性「落車で選手が落とした機材もボトルみたいに観客が持ち帰っているんですか?」

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ツール・ド・フランスなどの映像を見ていると、落車が起こるとボトルなどが地面に落ちているのを度々見かけます。

 ボトルなどは観客が拾っているのを多く見かけますが、集団で落車が起こるなど混乱している状況では、観客がサイクルコンピューターを拾っていたりも…(チームカーは選手と共に先に行ってしまったり)。

 こういった場合、サイクルコンピューターやアイウェアも観客が持ち帰っているのでしょうか?

 日本だと律儀に返すのが想像できますが本場では一体…よろしくお願いします。

(20代男性)

 いきなり結論から入りますが、海外・国内問わず、なんらかの理由でレース現場に放置された選手やチームの所有物をファンが拾って持ち帰ってしまうという現象は実際に数多く起きています。また、それらがヤフオクなどで売られていたという話も聞いたことがあります。

 まず大前提ですが、日本の遺失物法では、「拾得者は、速やかに、拾得をした物件を遺失者に返還するか、または警察署長に提出しなければならない」と定められています。人のモノを勝手に持って帰っちゃったり売ったりしてはいけませんね。また、海外に於いてはその国の法律により扱いは変わると思いますが、それほど大きな違いはないはずです。

 ただボトルはちょっとグレーなところがあります。というのも、チーム側には、ボトルはファンサービスの一環として配るもの、という認識もあるからです。最近は環境意識の高まりなどもあり、ボトルを捨てられる区間が予めレースのなかで決められていますが、今でもファンサービスとしてファンのそばにボトルを捨てる(というか、投げる)文化は残っています。

さまざまなものが散らばってしまう落車の現場 Photo: Yuzuru SUNADAさまざまなものが散らばってしまう落車の現場 Photo: Yuzuru SUNADA

 自転車ロードレースの文化におけるお客さんって、言い方は悪いんですが、選手の残したものを処理する係でもあるんです。選手がボトルを捨てても、お客さんが拾えば、あとにはなにも残らないですよね。ボトルでプロモーションをしたいチームと、観客と、地元。すべてに利益があります。
 
ただ、落車した選手が飛んで行ったボトルを探しているとか、ボトルを必要としている状況では、絶対にNGであることは言うまでもありません。ボトル1本がその選手の成績を左右することだってあるんです。その辺は、観客としての状況判断能力が問われるところです。

 なお、僕のように「プロの観客」を自称する人間にとっては、ボトル以外のものもすべて価値を持ちます。もし「有名」選手が食べかけのエナジーバーを目の前で捨てたならば、僕は迷わず拾って泥を払い、口に含んでうっとりするに違いありません。それがプロの観客の流儀(?)です。ですからそういうプロの観客が多いベルギーなどでは、たとえばサガンが捨てたサコッシュだって価値を持ちますし、場合によっては高値で売買され、額に入れてリビングに飾られるでしょう。

 しかし、ボトルやサコッシュなどの補給関係以外の選手やチームの所有物を拾った場合などについては、紳士的なプロの観客であれば、あとでチームやレース主催者などへきっちり届けるのがベストなのは言うまでもありません。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまでお寄せください。

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