世界チャンピオンが待望のシーズン初勝利サガンがヘント~ウェヴェルヘムで3年ぶり優勝 逃げ切った4選手での勝負を制する

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 石畳と急坂がコースに織り込まれる“北のクラシック”の一戦、「ヘント~ウェヴェルヘム」が3月27日にベルギー北部のフランドル地方で開催され、フィニッシュまで残り33km地点で形成された4人が逃げ切り、最後はペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ)がゴール勝負を制した。サガンにとって、この大会は3年ぶり2回目の優勝となった。また、AFP通信などフランスメディアの報道によると、レース中盤に落車したアントワーヌ・ドゥモワティエ(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)が、リール大学病院へ救急搬送されたのち死亡した。

4選手によるゴールスプリントを制し、3年ぶり2度目のヘント~ウェヴェルヘム優勝を果たしたペテル・サガン(ティンコフ) Photo: Tinkoff4選手によるゴールスプリントを制し、3年ぶり2度目のヘント~ウェヴェルヘム優勝を果たしたペテル・サガン(ティンコフ) Photo: Tinkoff

ケンメルベルグを上る選手たち ©TDWsport.comケンメルベルグを上る選手たち ©TDWsport.com

 北のクラシックの中でも、伝統的にスプリンターが活躍することが多いこの大会。今年は243kmのコースが設定された。最大勾配24%のケンメルベルグは172kmと209kmの2回通過し、10カ所設定された急坂セクションのうち、7番目と10番目に登場。下りもテクニカルなためレースが動くポイントとして注目される。2回目のケンメルベルグ通過後はフィニッシュまで34km残されており、スプリント狙いのチームと逃げを試みる選手との駆け引きが激しさを増すのが例年のレース展開だ。

横風の影響で分断する集団 ©TDWsport.com横風の影響で分断する集団 ©TDWsport.com

 序盤に5選手が逃げグループを形成し、しばしリードを続ける。一方のメーン集団では、強風や落車の発生により最大で3つに分断。有力選手が含まれる前方の集団がペースを上げ、残り114kmで逃げる5人をキャッチ。残り88kmで後続グループも合流し、レースはふりだしに戻った。

 残り67kmでは、マッテーオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ)、ティシュ・ブノート(ベルギー、ロット・ソウダル)ら力のある5人が抜け出すも、ディメンションデータが牽引するメーン集団が逃げを許さない。その直後に、ビアチェスラフ・クズネツォフ(ロシア、チーム カチューシャ)がアタック。単独の逃げとあって、メーン集団はクズネツォフの動きを容認した。

協調して逃げ続けるヴァンマルク(右)ら Photo: Team LottoNL - Jumbo協調して逃げ続けるヴァンマルク(右)ら Photo: Team LottoNL - Jumbo

 メーン集団では、残り40kmで迎えた9番目のセクションにあたるバネベルグでセップ・ヴァンマルク(ベルギー、チーム ロットNL・ユンボ)がペースアップ。続く最終セクションのケンメルベルグでサガンがアタック。これをチェックできたのはヴァンマルク、ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック・セガフレード)、ズデニェック・シュティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)、フレッヒ・ヴァンアーヴルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)、ルーク・ロウ(イギリス、チーム スカイ)の5人。直後の下りでサガン、ヴァンマルク、カンチェッラーラが他の3人や後続とのタイム差を広げ、先頭を行くクズネツォフに合流。そのまま4人はフィニッシュに向け、先を急いだ。

優勝をかけて駆け引きをする4選手 ©TDWsport.com優勝をかけて駆け引きをする4選手 ©TDWsport.com

 長い時間を独走していたクズネツォフ以外の3人が協調し、先頭交代のローテーションを繰り返す。トップを行く4人はスピードに乗り、エティックス・クイックステップがアシストを総動員してペースアップを図るメーン集団のペースを上回った。30秒から40秒の間で推移していたタイム差だったが、残り7kmで50秒差に広がったことで逃げ切りが濃厚に。クズネツォフとともにサガンも先頭交代から外れがちになり、カンチェッラーラがグループの前方に出る時間が長くなるが、誰も脱落することなくラスト1kmのフラムルージュを通過した。

4選手のゴールスプリント ©TDWsport.com4選手のゴールスプリント ©TDWsport.com

 勝負のタイミングを計る4選手。サガンとヴァンマルクはカンチェッラーラをマークする。そしてラスト250mを切ったところで、最後尾につけていたクズネツォフが猛然とスプリントを開始。他の3人は反応が若干遅れたが、サガンが冷静に対処。クズネツォフの後ろにつけると、ラスト100mからの加速で先頭へ。勝利を確信すると、誇らしげな表情でフィニッシュラインを真っ先に通過した。

 昨年9月の世界選手権ロードレースを制して以降、勝利に見放されていた世界王者だったが、ついに今シーズン初勝利。それも伝統のクラシックレースでしっかりと結果を残してみせた。2位にはヴァンマルク。レース後半に見せ場を作ったクズネツォフが最後まで粘りを見せ、大健闘の3位。キャリア最終シーズンを宣言し、タイトル獲得を狙ったカンチェッラーラは最後に失速し4位に終わった。日本勢唯一の参加となった別府史之(トレック・セガフレード)は途中でバイクを降りている。

ポディウムで表彰を受けた(左から)2位セップ・ヴァンマルク、優勝ペテル・サガン、3位ヴィアチェスラフ・クズネツォフ Photo: Tinkoffポディウムで表彰を受けた(左から)2位セップ・ヴァンマルク、優勝ペテル・サガン、3位ヴィアチェスラフ・クズネツォフ Photo: Tinkoff

 また、AFP通信などフランスの複数メディアが報じたところによると、残り115km地点のサント・マリー・カペル(フランス領内)で落車したドゥモワティエが、リール大学病院へ救急搬送されたのち死去。チームはレース後、ドゥモワティエの容態を「非常に深刻」と発表していたが、その後、帰らぬ人となった。

 UCI(国際自転車競技連合)ワールドツアーの次戦は、“クラシックレースの王様”と呼ばれる「ツール・デ・フランドル」が4月3日にベルギーで開催される。クラシックレースの中でも最も格式が高く“モニュメント”と称される5レースの1つで、石畳や急坂が次々と現れるコースでサバイバルレースが展開される。

■ヘント~ウェヴェルヘム結果
1 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ) 5時間55分12秒
2 セップ・ヴァンマルク(ベルギー、チーム ロットNL・ユンボ) +0秒
3 ヴィアチェスラフ・クズネツォフ(ロシア、チーム カチューシャ) +0秒
4 ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック・セガフレード) +0秒
5 アルノー・デマール(フランス、エフデジ) +11秒
6 フェルナンド・ガヴィリア(コロンビア、エティックス・クイックステップ) +11秒
7 ユルヘン・ルーランツ(ベルギー、ロット・ソウダル) +11秒
8 ヤコポ・グアルニエーリ(イタリア、チーム カチューシャ) +11秒
9 フレッヒ・ヴァンアーヴルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム) +11秒
10 ミケル・モルコフ(デンマーク、チーム カチューシャ) +11秒
DNF 別府史之(トレック・セガフレード)

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