新旧世界王者が一騎打ちクフィアトコフスキーがE3ハーレルベーケ初優勝 サガンとのマッチスプリントを制す

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 今年で第59回目を迎えた石畳系クラシック「E3ハーレルベーケ」が3月25日、ベルギーで開催され、ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、チーム スカイ)が初優勝を果たした。フィニッシュまで約30kmを残し、ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ)とともにメーン集団からアタック。2014年と2015年のロード世界王者による一騎打ちが実現し、最後は“前”世界王者のクフィアトコフスキーが、“現”世界王者のサガンをスプリントで破った。

ペテル・サガン(ティンコフ)とのマッチスプリントを制し、初優勝を決めたミハウ・クフィアトコフスキー(チーム スカイ) Photo: Team Skyペテル・サガン(ティンコフ)とのマッチスプリントを制し、初優勝を決めたミハウ・クフィアトコフスキー(チーム スカイ) Photo: Team Sky

パヴェセクションで縦長になるメーン集団 Photo: TDWsport.comパヴェセクションで縦長になるメーン集団 Photo: TDWsport.com

 100年以上の歴史を誇る伝統のクラシックレースが数多くある中で、E3ハーレルベーケは1958年創設と比較的新しい。UCI(国際自転車競技連合)ワールドツアーに採用されたのも2012年で、それまではUCI1.HCクラスに位置づけられていた。2月下旬からベルギー北部・フランドル地方では石畳を舞台とするレースが開催されているが、ワールドツアーとしてはこのレースから連戦が始まる。また、3月22日にベルギーの首都ブリュッセルを襲った同時テロにより開催が危ぶまれたが、レースは予定通りスタートした。

 序盤に形成された9人の逃げグループが4~5分のリードで先行したが、残り80kmを切ったあたりからメーン集団が徐々にペースアップ。それにともない、コーナー通過のたびに落車する選手が続出した。

ターイエンベルグでメーン集団から飛び出した(先頭から)トム・ボーネン(エティックス・クイックステップ)、ファビアン・カンチェッラーラ(トレック・セガフレード)ら Photo: TDWsport.comターイエンベルグでメーン集団から飛び出した(先頭から)トム・ボーネン(エティックス・クイックステップ)、ファビアン・カンチェッラーラ(トレック・セガフレード)ら Photo: TDWsport.com

 206.4kmのコースに石畳を含む15の急坂セクションが設定された中で、7番目に登場したターイエンベルグ(132.2km地点、登坂距離650m、平均勾配9.5%)でメーン集団が崩壊。トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)、ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック・セガフレード)ら有力選手を含む10人のグループが形成され、先行する選手たちを追い始める。後続でも10~20人程度のグループが複数でき、前方への合流を急いだ。

 残り70kmを切ったところで、カンチェッラーラがチェーントラブルに見舞われた。メーン集団が分裂した影響でチームカーがはるか後方を走っていたため、バイク交換に数分要してしまった。その間、ボーネンらのグループは逃げメンバーに合流。ペースが落ち着いたことから後続も追いつき、約30人の先頭集団となった。再出発したカンチェッラーラは、先頭集団から1分以上のタイム差で集団復帰を目指した。

ファビアン・カンチェッラーラ(トレック・セガフレード)がチェーントラブルに見舞われ、追走グループから遅れる Photo:  TDWsport.comファビアン・カンチェッラーラ(トレック・セガフレード)がチェーントラブルに見舞われ、追走グループから遅れる Photo: TDWsport.com

 フィニッシュまで45kmを切ると、勝負の行方を左右する急坂セクションが立て続けに現れる。164.4km地点のパテルベルグ(700m、12%)ではクフィアトコフスキーが、168.6km地点のオウデ・クワレモント(2200m、4.2%)ではニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ)がそれぞれペースアップ。さらに、人数が絞られたところでサガンがカウンターアタック気味に仕掛けるシーンもあり、レースは激しさを増す。後方では、カンチェッラーラが猛然と追い上げ、オウデ・クワレモントで先頭集団との差を一気に縮めた。その後はアシストの力を借りながら落ち着いて走り、残り32kmでついに先頭への合流を果たした。

 その直後、レースは大きな局面を迎える。14番目のセクションにあたるカルネメルクベーク(175km地点、1530m、4.9%)でクフィアトコフスキーが再度ペースアップした。これをチェックできたのはサガンただ1人。そのまま2人が抜け出すことに成功すると、ともに持ち前のスピードを武器に集団との差をみるみる広げていった。

残り31kmのカルネメルクベークでの攻撃を成功させたミハウ・クフィアトコフスキー(右)とペテル・サガンの新旧世界王者が一騎打ち Photo: Team Sky残り31kmのカルネメルクベークでの攻撃を成功させたミハウ・クフィアトコフスキー(右)とペテル・サガンの新旧世界王者が一騎打ち Photo: Team Sky

 快調に飛ばすクフィアトコフスキーとサガン。集団はエティックス・クイックステップを中心に追う姿勢を見せるが、勢いに欠けトップを行く2人に迫ることができない。最大で約40秒にまで広がった差は、残り15kmで35秒、残り10kmで36秒、残り5kmで30秒となかなか縮められない。勝負を意識し始めた先頭2人の動きにより、ラスト3kmから急激にタイム差が縮小したが、それも11秒が精一杯。

 クフィアトコフスキーとサガンは、ともにプロトンの“ゴールデンエイジ”と言われる1990年生まれ。ジュニア時代からその世代では群を抜く実力を誇ったライバルで、プロ入り後は世界の頂点も経験。そんな2人による勝負は、マッチスプリントにゆだねられた。前をサガン、その後ろをピッタリとクフィアトコフスキーがつける。そしてラスト250m、サガンのマークが外れた一瞬を逃さなかったクフィアトコフスキーがぐんぐん加速。これに対応できなかったサガンは、完全に戦意喪失。最後まで脚を緩めることのなかったクフィアトコフスキーが両手を挙げてフィニッシュラインを通過し、戦いに終止符を打った。

表彰を受けた(左から)2位ペテル・サガン、優勝ミハウ・クフィアトコフスキー、3位イアン・スタナード Photo: Tinkoff表彰を受けた(左から)2位ペテル・サガン、優勝ミハウ・クフィアトコフスキー、3位イアン・スタナード Photo: Tinkoff

 今年からチーム スカイに加入したクフィアトコフスキーにとっては、うれしいシーズン初勝利。昨年4月のアムステル・ゴールドレース以来の優勝で、改めて勝負強さを見せ付けた。レース後、「モチベーションは高かったし、ベストを尽くした。チームメートの完璧な仕事にも感謝している。調子はよかったので、勝つために走っていたし、それ以外の選択肢はなかった。私とペテルは素晴らしいレースができたという実感がある」と喜びのコメント。また、3位にイアン・スタナード(イギリス)が入り、チーム スカイは表彰台に2人を送り込んだ。

 一方のサガンは、今シーズンだけで6度目の2位。ポディウムでは笑顔を見せていたが、レース直後はさすがに悔しさを隠せなかった。

 UCIワールドツアーは、中1日おいて27日にヘント~ウェヴェルヘムが開催される。レース距離は242.8kmで、石畳や急坂のセクションこそ待ち受けるが、レースにおける比重は低め。スプリンターが主役となる可能性が高い。

■E3ハーレルベーケ結果
1 ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、チーム スカイ) 4時間49分34秒
2 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ) +4秒
3 イアン・スタナード(イギリス、チーム スカイ) +11秒
4 ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック・セガフレード) +11秒
5 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) +11秒
6 ラルス・ボーム(オランダ、アスタナ プロチーム) +11秒
7 ティシュ・ブノート(ベルギー、ロット・ソウダル) +11秒
8 セップ・ヴァンマルク(ベルギー、チーム ロットNL・ユンボ) +11秒
9 ジャンピエール・ドリュケール(ルクセンブルク、BMCレーシングチーム) +11秒
10 ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシングチーム) +11秒

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