フランス勢21年ぶりの“ラ・プリマヴェーラ”制覇デマールがミラノ~サンレモを制す 大混戦のゴールプリントで抜群の加速を発揮

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 春のクラシックレースシーズンの幕開けを告げる「ミラノ~サンレモ」(UCIワールドツアー)が3月20日、イタリアで開催され、集団でのスプリントを制したアルノー・デマール(フランス、エフデジ)が初優勝を果たした。レース後半に落車トラブルに巻き込まれながらもメーン集団へ復帰し、最後は群を抜く加速力で勝利を決めた。

ゴールスプリントでミラノ~サンレモを制したアルノー・デマール(フランス、エフデジ) Photo: Yuzuru SUNADAゴールスプリントでミラノ~サンレモを制したアルノー・デマール(フランス、エフデジ) Photo: Yuzuru SUNADA

土砂崩落でコース変更 距離が延長

 第107回目を迎えたミラノ~サンレモ。毎年サイクルロードレースシーズンに春の到来を告げ、現地では「ラ・プリマヴェーラ(春)」と呼ばれ愛されている。近年は悪天候に見舞われることが多く、それがレースに大きな波乱を生んでいたが、今回は晴天の下でレースがスタート。14km地点で形成された11人の逃げグループが最大10分45秒のリードを得て、レースをリードした。

高速道路から出てくる選手たち Photo: Yuzuru SUNADA高速道路から出てくる選手たち Photo: Yuzuru SUNADA

 そんな中、フィニッシュまで約130kmを残すアレンツァーノの丘で土砂崩落が発生。土や岩が道路をふさぐ格好となり、選手たちの通過が不可能な状況に。オーガナイザー(主催者)は急遽、付近を走る高速道路への迂回を決定。これにより、当初予定されていた291kmから295kmにレース距離が伸びることとなった。

 とはいえ、ひときわレース距離が長い“ミラノ~サンレモらしさ”は変わらない。おなじみの勝負どころであるラスト30kmを切ってからの「チプレッサ」(登坂距離5.6km、平均勾配4.1%、最大勾配9%)、ラスト10kmを切ってからの「ポッジオ」(登坂距離3.7km、平均勾配3.7%、最大勾配8%)が勝敗を左右するポイントだ。

優勝候補が巻き込まれる落車

 しばらく7~8分差でコントロールしていたメーン集団は、フィニッシュまで残り100kmを切ると、逃げとの差を少しずつ縮め始めた。レーススピードが上がったことも関係してか、残り50kmを前にしたあたりから集団内で落車が次々と起きはじめる。

落車後に集団復帰するも、苦しそうな表情のマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) Photo: Yuzuru SUNADA落車後に集団復帰するも、苦しそうな表情のマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) Photo: Yuzuru SUNADA

 なかでも、残り約30kmの地点で起きたクラッシュは影響が大きく、優勝候補に挙げられていたゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ)、マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)らが巻き込まれてしまった。デマールも足止めを余儀なくされ、大急ぎで集団復帰を目指す場面も見られた。

チプレッサ、ポッジオで激しい攻防

 逃げ集団は残り25km、チプレッサの上りで吸収。以降、アスタナ プロチーム、ティンコフ、チーム スカイが前方に位置取り、レースの主導権を握ろうと試みる。その結果、メーン集団で中切れが発生し、スプリンターのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)らが脱落した。

集団からアタックしたイアン・スタナード(イギリス、チーム スカイ)ら Photo: Yuzuru SUNADA集団からアタックしたイアン・スタナード(イギリス、チーム スカイ)ら Photo: Yuzuru SUNADA

 残り23kmでは、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター チーム)とイアン・スタナード(イギリス、チーム スカイ)がアタック。さらに、チプレッサを下った後の平坦区間でダニエル・オス(イタリア、BMCレーシングチーム)、マッテーオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル)、ファビオ・サバティーニ(イタリア、エティックス・クイックステップ)が合流。最大で約20秒差を得て、先を急いだ。

 しかし、ポッジオを前にした残り11kmでメーン集団に吸収されてしまう。そしてチーム スカイを先頭に運命のポッジオへと突入した。

ポッジオで抜け出したミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、チーム スカイ) Photo: Yuzuru SUNADAポッジオで抜け出したミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、チーム スカイ) Photo: Yuzuru SUNADA

 各チームとも様子を見ながらポッジオの上りを進むが、勾配が厳しくなるにつれてアタックが続発。残り6kmで抜け出したミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、チーム スカイ)がトップで頂上を通過し、その後の下りも攻め続けたが、集団の勢いには勝つことができず、ラスト1.5kmで吸収されてしまった。

デマールが「モニュメント」初制覇

 勝負を決める仕掛けが見られないまま、長丁場の戦いは集団スプリントに委ねられることになった。わずかな望みに賭けてエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)、フレッヒ・ヴァンアーヴルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)がアタックを繰り出したが、これも実らず。そのままボアッソンハーゲンを先頭に最終局面を迎えた。

 スプリントに向けてポジション争いが激しさを増すなか、初出場初優勝を狙ったフェルナンド・ガヴィリア(コロンビア、エティックス・クイックステップ)がヴァンアーヴルマートに接触し落車。これに影響され、ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ)、ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック・セガフレード)ら優勝候補が進路を外側に大きく逸れる形になってしまった。

落車の影響で集団が割れてのゴールスプリントに Photo: Yuzuru SUNADA落車の影響で集団が割れてのゴールスプリントに Photo: Yuzuru SUNADA

 その間に集団はスプリント態勢へ。ユルヘン・ルーランツ(ベルギー、ロット・ソウダル)の飛び出しをきっかけに、ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ)とデマールが動きを合わせる。ブアニがメカトラブルに見舞われた一方で、デマールがぐんぐんと加速。ルーランツをかわすと、別ラインから追い上げたベン・スイフト(イギリス、チーム スカイ)も寄せ付けず、真っ先にフィニッシュラインを通過した。

表彰式(左から)ベン・スイフト、アルノー・デマール、ユルヘン・ルーランツ Photo: Yuzuru SUNADA表彰式(左から)ベン・スイフト、アルノー・デマール、ユルヘン・ルーランツ Photo: Yuzuru SUNADA
モニュメント初制覇のアルノー・デマール Photo: Yuzuru SUNADAモニュメント初制覇のアルノー・デマール Photo: Yuzuru SUNADA

 2011年の世界選手権アンダー23(23歳未満)ロードレースで優勝し、翌年のプロ入り以降も順調に勝利を重ねてきたデマール。昨シーズンは2勝にとどまったが、今季は復調し、3月7日のパリ~ニース第1ステージで優勝するなどここまで3勝を挙げていた。そしてシーズン4勝目は、クラシックレースの中でも古い歴史と伝統を持つ「モニュメント」初制覇となった。

 レース後のインタビューでデマールは、「後半に(落車に巻き込まれる)トラブルがあって一度は諦めそうだったが、チームメートに励まされてフィニッシュを目指した」とコメント。アシスト陣に支えられての勝利であることを強調した。

 この大会を終え、春のクラシックシーズンはベルギー・フランドル地方へと舞台を移す。パヴェ(石畳)や急坂が多く控える“北のクラシック”は、ミラノ~サンレモで熱い戦いを繰り広げた選手たちが再び主役となる可能性が高い。

■ミラノ~サンレモ結果
1 アルノー・デマール(フランス、エフデジ) 6時間54分45秒
2 ベン・スイフト(イギリス、チーム スカイ) +0秒
3 ユルヘン・ルーランツ(ベルギー、ロット・ソウダル) +0秒
4 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ) +0秒
5 フレッヒ・ヴァンアーヴルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム) +0秒
6 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、チーム カチューシャ) +0秒
7 ハインリッヒ・ハウスラー(オーストラリア、イアム サイクリング) +0秒
8 フィリッポ・ポッツァート(イタリア、サウスイースト・ベネズエラ) +0秒
9 ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バルディアーニ・CSF) +0秒
10 マッテーオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ) +0秒

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