集団走行も怖くない!ビギナーでもレースの楽しさを満喫 埼玉・熊谷で「EQAクリテリウム」145人が快走

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 レース未経験者や初心者向けのロードレース「第6回 EQAクリテリウムin熊谷」が3月19日、熊谷スポーツ文化公園(埼玉県熊谷市)の特設コースで開かれ、145人の参加者が出場。集団で安全に走る方法を学び、全員が1日2回のショートレースに臨んでレースの楽しさを満喫した。

「EQAクリテリウムin熊谷」 のレースを走る参加者たち =埼玉県熊谷市の熊谷スポーツ文化公園 Photo: Yoshiyuki KOZUKE「EQAクリテリウムin熊谷」 のレースを走る参加者たち =埼玉県熊谷市の熊谷スポーツ文化公園 Photo: Yoshiyuki KOZUKE

予選、決勝と本格レースを体験

 EQAクリテリウムin熊谷は、ロードレースの日本代表チーム監督などで活躍する浅田顕さんが主宰するエキップアサダ(EQA)が企画・運営。サイクルイベント未経験者・初心者向けの「レクチャークリテリウム」と位置づけ、レースを通じて集団走行技術を上達させることを目的にしている。

会場となった熊谷スポーツ文化公園。遠方に「彩の国くまがやドーム」が見える Photo: Yoshiyuki KOZUKE会場となった熊谷スポーツ文化公園。遠方に「彩の国くまがやドーム」が見える Photo: Yoshiyuki KOZUKE
ロードレース日本ナショナルチームの監督も務める浅田顕・エキップアサダ代表 Photo: Yoshiyuki KOZUKEロードレース日本ナショナルチームの監督も務める浅田顕・エキップアサダ代表 Photo: Yoshiyuki KOZUKE

 講習走での模擬レースを経て、予選、決勝(または順位決定戦)と必ず3回は出走できることも大きな魅力。これから集団走行が伴うエンデューロやレースイベントにチャレンジしようというライダーに最適な大会だ。

 公園内に設けられた特設コースは1周約750m、平坦で急なカーブもなく走りやすい。すべてのレースが8周(6km)か10周(7.5km)と短い距離で争われたため、参加者は体力を使い切る心配がなく、集団走行やライン取り、駆け引き、全力を出し切ることなどに集中してレースに臨むことができた。

レース経験の浅いビギナーでも思いっきり楽しみ、そして学べるプログラムが組まれている Photo: Yoshiyuki KOZUKEレース経験の浅いビギナーでも思いっきり楽しみ、そして学べるプログラムが組まれている Photo: Yoshiyuki KOZUKE

 カテゴリーは、男子は「U17+U15」(17歳未満)、中級者を含む「ビギナーA」、レース初体験の人を含む「ビギナーB」。また「レディース」には12人が参加した。

雨のち晴れ 絶好のコンディションに

 この日は午前中、あいにく本降りの雨となり、朝8時に始まった講習走では寒さをしのいでペダルを回した。午前中の予選も雨の中で始まり、参加者たちは学んだばかりの集団走のテクニックを実践しつつ、濡れた路面でスリップしないよう慎重に走った。

朝の講習走に集まった参加者たち。この時間帯は雨が本降りだった Photo: Yoshiyuki KOZUKE朝の講習走に集まった参加者たち。この時間帯は雨が本降りだった Photo: Yoshiyuki KOZUKE
雨の中、水しぶきを上げて疾走する参加者たち Photo: Yoshiyuki KOZUKE雨の中、水しぶきを上げて疾走する参加者たち Photo: Yoshiyuki KOZUKE
コーナーの水たまりを慎重にクリアする参加者たち Photo: Yoshiyuki KOZUKEコーナーの水たまりを慎重にクリアする参加者たち Photo: Yoshiyuki KOZUKE

 ところが予選の途中から雨は上がり、午後はドライコンディションに。気温も上昇し、選手はアームウォーマーを脱いで半袖ジャージ姿になるなど、絶好のロードレース日和の中で決勝レースが行われた。

午後はドライコンディションとなったため、タイヤの空気圧を高めに設定した Photo: Yoshiyuki KOZUKE午後はドライコンディションとなったため、タイヤの空気圧を高めに設定した Photo: Yoshiyuki KOZUKE
雨が上がり、気温も上昇。地面に寝転がって休憩する姿も Photo: Yoshiyuki KOZUKE雨が上がり、気温も上昇。地面に寝転がって休憩する姿も Photo: Yoshiyuki KOZUKE

14歳の新星・寺田吉騎が浦北高勢を制圧

 アンダーカテゴリーでは、1回目のレースで独走勝利した、黄色いジャージの寺田吉騎が注目された。対抗するのは5人が出場している浦和北高校の選手たち。序盤は逃げが決まることもなく集団は一つのままレースが展開し、中盤にさしかかると寺田がペースを上げた。これに浦和北高校の3人が加わって先頭集団を形成すると、4人は先頭交代しながら後続との差を広げていった。

男子U17+U15決勝レースで、逃げる寺田吉騎(右)をぴったりマークする浦和北高校のトレイン Photo: Yoshiyuki KOZUKE男子U17+U15決勝レースで、逃げる寺田吉騎(右)をぴったりマークする浦和北高校のトレイン Photo: Yoshiyuki KOZUKE
浦和北高校の3人と中学2年の寺田吉騎が激しい攻防を展開した Photo: Yoshiyuki KOZUKE浦和北高校の3人と中学2年の寺田吉騎が激しい攻防を展開した Photo: Yoshiyuki KOZUKE
前に出る寺田吉騎と、それを追う浦和北高校勢 Photo: Yoshiyuki KOZUKE前に出る寺田吉騎と、それを追う浦和北高校勢 Photo: Yoshiyuki KOZUKE
最終周回に入る前に腰を上げ、浦和北高校の3人を引き離しにかかる寺田吉騎(左) Photo: Naoi HIRASAWA最終周回に入る前に腰を上げ、浦和北高校の3人を引き離しにかかる寺田吉騎(左) Photo: Naoi HIRASAWA

 先頭4人のまま最終周回に入ると、寺田が先にアタックし3人を引き離しにかかった。この動きで浦和北高校は佐藤駿だけに絞られ、寺田との一騎打ちに。ここでも強さを見せた寺田が先行して最後のコーナーを曲がり、佐藤も最終ストレートのスプリントで追い上げたが、わずかに届かず。寺田が数的不利を跳ね返して勝利を飾った。

浦和北高校の佐藤駿(左)はわずかに届かず、寺田吉騎がU17+U15を制した Photo: Naoi HIRASAWA浦和北高校の佐藤駿(左)はわずかに届かず、寺田吉騎がU17+U15を制した Photo: Naoi HIRASAWA

 表彰式での優勝インタビューでは、学年を聞かれた寺田が「中学2年生です」と答え、会場からどよめきが起こった。「ツール・ド・フランスに出られるような選手になりたい」という将来の目標を宣言し、盛大な拍手を浴びた。

 また、2位の佐藤は「アシストしてもらって捉えきれたかと思ったけれど、力及ばなかったので悔しい。自転車競技をやっていれば、いつかまた(寺田と)勝負できるので、今度こそ勝ちたい」と未来に目を向け、再戦を誓った。浅田さんは浦和北高の選手たちに対し、コーチ目線のアドバイスとして「人数がいるんだからアタックしないと。どうやって相手を疲れさせるかを考えて」と諭し、浦和北高校の選手たちは真剣に聞き入っていた。

ゴール後、レースを振り返って談笑する寺田吉騎(後姿)と浦和北高校の選手たち Photo: Yoshiyuki KOZUKEゴール後、レースを振り返って談笑する寺田吉騎(後姿)と浦和北高校の選手たち Photo: Yoshiyuki KOZUKE
中学2年で男子U17+U15を制した寺田吉騎(右)を浅田顕さんも祝福した Photo: Yoshiyuki KOZUKE中学2年で男子U17+U15を制した寺田吉騎(右)を浅田顕さんも祝福した Photo: Yoshiyuki KOZUKE
健闘をたたえ合い、再戦を誓った寺田吉騎(中央)と浦和北高校の選手たち Photo: Yoshiyuki KOZUKE健闘をたたえ合い、再戦を誓った寺田吉騎(中央)と浦和北高校の選手たち Photo: Yoshiyuki KOZUKE

U17+U15の表彰。2~6位を浦和北高生が占めた Photo: Yoshiyuki KOZUKEU17+U15の表彰。2~6位を浦和北高生が占めた Photo: Yoshiyuki KOZUKE

■U17+U15決勝結果(7.5km)
1 寺田吉騎 11分44秒
2 佐藤駿
3 池田和哉 +8秒
4 東口慶
5 成瀬敬太 +20秒
6 野澤慎平 +21秒


レディースは浦和北高の坂田萌音が快勝

 レディース決勝は男子よりも距離が短い8周6kmで争われた。1周目から上野英子が集団を牽引し続け、力強いレース展開を見せた。浦和北高校の坂田萌音は、上野のペースにしっかりと合わせながら、集団前方を常にキープ。坂田は最終周回で他の選手たちを引き離し、独走に持ち込んだ。リードを広げ、ゴールスプリントにもつれ込むことなくトップでフィニッシュした。

レディースクラス決勝のスタート前、集中する選手たち Photo: Yoshiyuki KOZUKEレディースクラス決勝のスタート前、集中する選手たち Photo: Yoshiyuki KOZUKE
レディースクラスの決勝も激しい攻防が展開された Photo: Yoshiyuki KOZUKEレディースクラスの決勝も激しい攻防が展開された Photo: Yoshiyuki KOZUKE
最終周回で後続を引き離し、優勝した浦和北高校の坂田萌音 Photo: Naoi HIRASAWA最終周回で後続を引き離し、優勝した浦和北高校の坂田萌音 Photo: Naoi HIRASAWA

 優勝した坂田は16歳の1年生。高校に入って競技を始めたばかりで、今回が初優勝だった。高校女子のレベルが高い埼玉県にあって、目標は「インターハイに出場すること」と瞳を輝かせた。

レディースクラスの表彰 Photo: Naoi HIRASAWAレディースクラスの表彰 Photo: Naoi HIRASAWA

■レディース決勝結果(6km)
1 坂田萌音 11分40秒
2 大路桃子 +1秒
3 上野英子 +2秒
4 厚澤尚子
5 重光祥子 +3秒
6 齊藤由季


ビギナーA、Bも熱戦を展開

 レース経験者を含むビギナーAは、この日一番のハイレベルな争いが繰り広げられ、数人が逃げを試みては集団に吸収されるという展開が続いた。最終周回に単独でペースアップを図った選手が現れるも、この動きに伊藤伸一と釜田康佑が反応した。そのまま勝負は2人のゴールスプリントにもつれ込み、わずか1000分の4秒差で伊藤が競り勝った。

序盤から積極的にレースを展開した釜田康佑(先頭) Photo: Naoi HIRASAWA序盤から積極的にレースを展開した釜田康佑(先頭) Photo: Naoi HIRASAWA
逃げ切りを狙って飛び出す選手たち Photo: Naoi HIRASAWA逃げ切りを狙って飛び出す選手たち Photo: Naoi HIRASAWA
伊藤伸一(右)がわずかな差で釜田康佑とのゴールスプリントを制した Photo: Naoi HIRASAWA伊藤伸一(右)がわずかな差で釜田康佑とのゴールスプリントを制した Photo: Naoi HIRASAWA
優勝者に贈られる「チャンピオン前掛け」を身に付け、笑顔の伊藤伸一 Photo: Naoi HIRASAWA優勝者に贈られる「チャンピオン前掛け」を身に付け、笑顔の伊藤伸一 Photo: Naoi HIRASAWA

 優勝した伊藤は39歳。昨年までトライアスロンに打ち込んできたが、「今年からロードレースを本格的にやっていきたい」とEQAクリテリウムに参加した。自転車のレースでは初めての優勝。「まだまだ初心者なので」と謙遜しつつ、将来は実業団のレースにも出てみたいと夢を膨らませている。

ビギナーAの表彰 Photo: Naoi HIRASAWAビギナーAの表彰 Photo: Naoi HIRASAWA

■ビギナーA決勝結果(7.5km)
1 伊藤伸一 13分51秒
2 釜田康佑
3 阿部昴平 +3秒
4 小林義博
5 古仲学 +4秒
6 古田隆太
※落車によりローリングスタートをやり直したため、1周分のタイムが多く加算されています。


レース初心者のビギナーBの選手たち Photo: Naoi HIRASAWAレース初心者のビギナーBの選手たち Photo: Naoi HIRASAWA
ビギナーBもスピード感のあるレースを展開 Photo: Naoi HIRASAWAビギナーBもスピード感のあるレースを展開 Photo: Naoi HIRASAWA
ビギナーBは森谷匠(右)がスプリントで追い上げた桶野純平を振り切った Photo: Naoi HIRASAWAビギナーBは森谷匠(右)がスプリントで追い上げた桶野純平を振り切った Photo: Naoi HIRASAWA

ビギナーBの表彰 Photo: Naoi HIRASAWAビギナーBの表彰 Photo: Naoi HIRASAWA

■ビギナーB決勝結果(7.5km)
1 森谷匠 11分41秒
2 桶野純平
3 幅聖矢 +1秒
4 太田耀文
5 竹本拓樹 +3秒
6 遠藤颯 +10秒


「目的と成果のあるイベントを」

MCを務めたエキップアサダのスタッフ。分かりやすい解説と軽妙なトークで会場を盛り上げた Photo: Yoshiyuki KOZUKEMCを務めたエキップアサダのスタッフ。分かりやすい解説と軽妙なトークで会場を盛り上げた Photo: Yoshiyuki KOZUKE

 手作りの小規模な大会だが、会場にはクラブミュージックが流され、エキップアサダのスタッフらがMCを務めてレースを実況。わかりやすい解説や、軽妙なトークで会場を盛り上げるなど、本格的な大会と同様に明るく楽しい雰囲気に包まれた。表彰式では各カテゴリーとも6位までの選手に賞状や賞品が贈られた。

アットホームな雰囲気で行われた表彰式 Photo: Yoshiyuki KOZUKEアットホームな雰囲気で行われた表彰式 Photo: Yoshiyuki KOZUKE
閉会式で講評を話す浅田顕・エキップアサダ代表 Photo: Yoshiyuki KOZUKE閉会式で講評を話す浅田顕・エキップアサダ代表 Photo: Yoshiyuki KOZUKE

 表彰式で浅田さんは一日を振り返り、「朝は『なんでこんな雨のなかで走らなきゃいけないんだ』と思った方もいるかもしれないけれど、『雨のなかで走っておいてよかった』と思える日が必ずくる。ぶっつけ本番はもっと大変だから」と語り、悪天候も参加者たちにとっていい経験になったはずだと指摘した。

 次回のEQAクリテリウムは、7月開催を予定している。浅田さんによれば「色々な場所で開催していきたい」という考えはあるが、イベントの目的は参加者に集団走行の技術などを身に付けてもらうこと。人数はあまり増やさず「しっかりレクチャーできる範囲で、目的と成果のあるイベントとしてやっていきたい」と今後の展望を語った。

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