産経新聞【被災地を歩く】よりスポーツがつなぐ三陸沿岸 5月22日初開催「おおつち新山高原ヒルクライム」の挑戦

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 自然の風や地形を肌で感じることができる自転車。その中にあって、山頂を目指し、ひたすら坂道を登るという苦行のようなレース形態がある。それがヒルクライムだ。岩手県大槌町が三陸沿岸初のヒルクライムイベント「おおつち新山(しんやま)高原ヒルクライム」を5月22日に開催する。この新しい取り組みは、復興の様子を町外に発信するだけでなく、スポーツを通じて三陸沿岸をつなげることを大きな柱としている。(産経新聞東北総局 高木克聡)

走り応えある23km

 走行するコースは、町役場前をスタートし、小鎚川(こづちがわ)を沿って西方向に向かい、新山高原の山頂を目指す。全行程は約23kmで標高差は約940m。市街地や集落を走り抜ける初めの10km(標高差120m)はタイムを計測しないパレード区間で、この区間だけの参加もできる。

実際に「おおつち新山高原ヒルクライム」で走行するコースを試走するサイクリストたち =2015年6月(岩手県大槌町提供)実際に「おおつち新山高原ヒルクライム」で走行するコースを試走するサイクリストたち =2015年6月(岩手県大槌町提供)

 スタート地点付近はかさ上げのための盛り土工事のまっただ中。復興が一歩ずつ進んでいるのを目の当たりにする。国道を横切って、小鎚川沿いの町道に入ると、豊かな緑と清流が流れる大槌の原風景に出合う。所々に仮設団地が建ち並び、震災から5年たった今も、多くの人がつらい思いをしている現状を知ることができる。

 棚田などや古民家の集落を抜け、パレード区間を終えると、残りの13km(標高差820m)が計測区間。つづら折りの坂がライダーを待ち受ける。脇には山神信仰を示す石碑や鳥居がいたるところに立ち、町民の山に対する敬意が感じられる。深くまで入ると、牧場が広がり、高原へと景色が変わればゴールはもうすぐ。今はまだ雪が積もっており、頂上付近には行くことはできなかった。

風光明媚な新山高原風光明媚な新山高原

 昨年6月に開かれた試走会に参加した自転車愛好家からの評価は「中級、上級者でも楽しめる」と、かなり走り応えのあるコースとのこと。イベントがある5月下旬は、町の花でもあるツツジが見頃を迎える。その鮮やかなピンク色は、大会公式ジャージーにも採用されている。

ツツジ再生目指す

 東日本大震災で大きな被害を受けた大槌町で始まるこのイベントには、さまざまな新しい挑戦が隠されている。

 一つめの大きな目的はツツジの再生と震災からの復興。公式ジャージーの販売価格1万1760円のうち、500円をツツジなど新山高原の環境再生に、1000円を三陸鉄道へ寄付する。

 町を通るJR山田線の宮古-釜石間55.4kmは平成30年度末に復旧し、三陸鉄道に移管される。商工観光課の担当者は「自転車を持って三鉄に乗れれば、新しい観光の目玉になる。寄付金はそのための整備に使ってもらいたい」と話す。

「おおつち新山高原ヒルクライム」では大会公式ジャージも受注販売され、売上金の一部はツツジ再生のためのチャリティーに充てられる「おおつち新山高原ヒルクライム」では大会公式ジャージも受注販売され、売上金の一部はツツジ再生のためのチャリティーに充てられる
ジャージのバックポケットには大槌町の大漁旗をデザインジャージのバックポケットには大槌町の大漁旗をデザイン

 もう一つの挑戦が、三陸同士の連携だ。今秋に5回目を迎え、大船渡市と陸前高田市にまたがる自転車イベントとして定着した「ツール・ド・三陸サイクリングチャレンジ」の姉妹大会として運営スタッフの交流などを行っている。

 このほか、北上市の「きたかみ夏油高原ヒルクライム」(7月4日開催)や釜石市の「かまいし仙人峠マラソン」(10月30日開催)との合計タイムを競うシリーズも設定し、年間を通じて三陸各地の自転車やマラソンのレースを楽しめる仕組みも取り入れた。

 募集人数は200人。エントリーは大会公式ページ(http://www.mspo.jp/otsuchi.shinyama)から。人数に達した時点で申し込みを締め切る。3月10日現在で170人の申し込みがあるという。また、大会運営を補助するボランティアも募集。問い合わせは町商工観光課(電)0193・42・2111。

産経新聞より)

「おおつち新山高原ヒルクライム」開催概要

【開催日】2016年5月22日(日) ※21日(土)は前日受付、交流パーティー開催
【競技会場】
<ヒルクライムの部>大槌町役場~8km地点(パレードの部ゴール)~計測開始地点(10km)~中間カットオフ地点=明神平(17km)~新山高原頂上付近(23km)
<パレードの部>大槌町役場~産直つつじの里付近(距離8km、標高差66m) ※計測なし
【参加費】
ヒルクライムの部:6,000円(オンラインエントリー費用が別途300円必要)
パレードの部:1,000円(オンラインエントリー費用が別途250円必要)

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