ツール・ド・フィリピン最終(第4)ステージ伊丹健治が総合8位フィニッシュでUCIポイント獲得 サルツバーガーが総合ポイント賞

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 UCI(国際自転車競技連合)コンチネンタルチーム「キナンサイクリングチーム」が出場するツール・ド・フィリピン(UCIアジアツアー2.2)は2月21日、最終の第4ステージが行われ、伊丹健治が個人総合時間賞において8位に食い込んだ。これにより、UCI2クラスにおいて上位8選手に付与される UCIアジアツアーポイントを3点獲得。また、前日の第3ステージを制し、ポイント賞首位に立っていたウェズリー・サルツバーガー(オーストラリア)もリーダージャージのキープに成功し、総合ポイント賞に輝いた。

総合8位でレースを終えてUCIポイントを獲得した伊丹健治(左)がゴール後、キャプテンのジャイ・クロフォード(右)と握手。ウェズリー・サルツバーガー(中央)も総合ポイント賞のグリーンジャージを守った Photo: Syunsuke FUKUMITSU総合8位でレースを終えてUCIポイントを獲得した伊丹健治(左)がゴール後、キャプテンのジャイ・クロフォード(右)と握手。ウェズリー・サルツバーガー(中央)も総合ポイント賞のグリーンジャージを守った Photo: Syunsuke FUKUMITSU
美しいマヨン山の麓が最終ステージの舞台 Photo: Syunsuke FUKUMITSU美しいマヨン山の麓が最終ステージの舞台 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 灼熱のフィリピンで繰り広げられた戦いもいよいよフィナーレ。レガスピの街を発着点に、そのシンボルであるマヨン山の麓を2周回するルートは、アップダウンに富み、クイーンステージとの呼び声も高い。全長160.20kmのレースのなかに、39.93km、112.62km地点に山岳ポイントが、61.50kmと139.55kmにスプリントポイントがそれぞれ設けられる。総合争いもさることながら、ポイント賞や山岳賞をかけた様々な駆け引きが起こることは必至だ。まさに大会最終日にふさわしい舞台が用意された。

 ここまで順調にレースを進めてきたキナン勢は、前日まで総合6位の伊丹を、少しでも総合上位に送り込むことが一番のミッション。さらに、ポイント賞争いでトップに立つサルツバーガーのジャージをキープすること、山岳賞争いで3ポイント差の4位につけるジャイ・クロフォード(オーストラリア)が逆転でジャージを獲得することも念頭に置きながら、最終日に臨んだ。

選手のステムにはコースのポイントや、注意すべき選手の番号を貼り付ける Photo: Syunsuke FUKUMITSU選手のステムにはコースのポイントや、注意すべき選手の番号を貼り付ける Photo: Syunsuke FUKUMITSU
スタート最前列に並んだ、山岳賞、新人賞、個人総合、ポイント賞の、総合4賞リーダージャージ Photo: Syunsuke FUKUMITSUスタート最前列に並んだ、山岳賞、新人賞、個人総合、ポイント賞の、総合4賞リーダージャージ Photo: Syunsuke FUKUMITSU
正式スタート前のニュートラル区間を行く集団 Photo: Syunsuke FUKUMITSU正式スタート前のニュートラル区間を行く集団 Photo: Syunsuke FUKUMITSU
通る際に親指を立てて応える石田哲也監督 Photo: Syunsuke FUKUMITSU通る際に親指を立てて応える石田哲也監督 Photo: Syunsuke FUKUMITSU
アタックを見せるサルツバーガー Photo: Syunsuke FUKUMITSUアタックを見せるサルツバーガー Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 序盤に形成された逃げグループは最大17人で、メーン集団に最大約4分の差をつけた。ここにクロフォードが加わり、山岳ポイントの加算と、メーン集団をコントロールするライバルチームにプレッシャーを与えることを狙う。だが、1回目の山岳ポイントでクロフォードは4位通過に終わり、ポイント加算にはいたらなかった。

 逃げグループとメーン集団とのタイム差は距離を追うごとに縮まり、2周回目に入ったところで、逃げメンバーは全員キャッチされた。代わって、地元フィリピン勢を中心に次々と選手がアタック。しかしメーン集団はタイム差を調整しながらフィニッシュを目指し、ラスト7kmで逃げていた選手たちを捕まえた。

ゴール直前でのアタックを成功させたティモシー・ガイ(オーストラリア、アタッキ・チーム グスト)が独走でステージ優勝 Photo: Syunsuke FUKUMITSUゴール直前でのアタックを成功させたティモシー・ガイ(オーストラリア、アタッキ・チーム グスト)が独走でステージ優勝 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 このままスプリントフィニッシュになるかと思われた矢先、アタッキ・チーム グストのティモシー・ガイ(オーストラリア)が一瞬の隙を突いてアタック。見る見る間に集団との差を広げた。結果的にこの動きが決定打となり、ガイは独走で最後の直線へ。そのままトップでフィニッシュラインを通過した。9秒差で続いたメーン集団でも、ガイのチームメートであるキャメロン・ベイリー(オーストラリア)がスプリントを制し、アタッキ・チーム グスト勢がワン・ツーフィニッシュを達成した。

 メーン集団内でのスプリントに参戦したサルツバーガーは4位となり、フィニッシュポイントを3点加算してポイント賞を確定させた。その後ろでは伊丹もスプリントに臨み、10位でフィニッシュした。このほかキナン勢はクロフォードが19位、スタートから終始伊丹のアシストに徹し、役目を果たした阿曽圭佑と野中竜馬はそれぞれ27分36秒差のグルペットに入り、45位と51位でレースを終えた。

2位争いのゴールスプリントでサルツバーガーがステージ4位に Photo: Syunsuke FUKUMITSU2位争いのゴールスプリントでサルツバーガーがステージ4位に Photo: Syunsuke FUKUMITSU
総合ポイント賞を守ったサルツバーガー Photo: Syunsuke FUKUMITSU総合ポイント賞を守ったサルツバーガー Photo: Syunsuke FUKUMITSU
伊丹はUCIポイント権の総合8位でフィニッシュ Photo: Syunsuke FUKUMITSU伊丹はUCIポイント権の総合8位でフィニッシュ Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 これにより、伊丹は総合8位となった。総合同タイムの選手とのステージ順位合算の結果、前日の6位から順位こそ落としたものの、チームが目標としていた UCI アジアツアーポイント獲得のミッションは達成された。キナン勢は全員完走を果たし、チーム総合順位では5位の結果。なお、個人総合優勝は第2ステージを独走で勝利したオレグ・ゼムリャコフ(カザフスタン、ヴィノフォーエバー・SKO)だった。

レーススタート前、マヨン山の前での記念写真。(左から)伊丹健治、阿曽圭佑、ウェズリー・サルツバーガー、野中竜馬、ジャイ・クロフォード Photo: Syunsuke FUKUMITSUレーススタート前、マヨン山の前での記念写真。(左から)伊丹健治、阿曽圭佑、ウェズリー・サルツバーガー、野中竜馬、ジャイ・クロフォード Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 今シーズン2戦目、2016年の UCI アジアツアーでは初戦だったキナンサイクリングチームだが、昨年12月のジェラジャ・マレーシア、今年1月のスペインでのトレーニングキャンプ、同じくスペインでのボルタ・シクリスタ・ア・ラ・バレンシアナ(UCI ヨーロッパツアー2.1)から続いたよい流れを維持し、一定の成果を挙げた。今後も UCI ポイントの獲得を最大の狙いに据えながら、アジアを中心に転戦していくこととなる。

 最終ステージを終えてキナンの石田哲也監督、選手たちは次のようにコメントした。

■石田哲也監督 UCI アジアツアーポイント獲得という目標が達成されたことは素直に喜びたい。シーズン序盤から好成績が残せて、アジアをメーンに戦うチームの姿勢を見せられたのではないか。ウェズ(サルツバーガー)のステージ優勝に対する日本からの大きな反響はこちらに伝わってきていたし、最終的な結果についてもみんなで共有できたらと心から思っている。選手たちの調子はとてもよいので、この流れを持続していきたい。
■ジャイ・クロフォード タフなレースの連続だった。それはどのレースにも言えることであり、そこに理由はないんだ。今大会はウェズがステージ優勝を果たし、伊丹さんが総合8位と全体的によい結果で、とても喜ばしいことだ。
■阿曽圭佑 ステージを追うごとに調子は上がっていた。ただ、自分が思い描いていた走りと実際は違っていたのが正直なところ。少し体を休めながら、今後に向けて立て直していきたい。
■伊丹健治 UCI アジアツアーポイントが獲得できて嬉しい。みんなが僕をサポートしてくれて、とても感謝している。特に今日のステージ(第4ステージ)は、ジャイさんとウェズさんが常に近くを走ってくれて、僕は何もしなくても集団前方をキープできるような状況だった。本当に走りやすくて、あれこそが真のアシストなのだと実感している。今後、エースとアシストの立場が入れ替わることもあるだろうし、今日彼らが見せてくれた姿勢を今度は僕が果たさないといけないと思っている。
■野中竜馬 伊丹さんの UCI アジアツアーポイント獲得に尽きる。そのためのアシストができたし、今日のステージもやるだけのことはやってメーン集団を降りた。個人的にも調子がよかったので、これからも前向きに走っていけるだろう。
■ウェズリー・サルツバーガー ハッピーだ。今年最初のアジアでのレースでチームの強さを証明できたし、僕個人としても勝利を挙げられたことは満足している。ポイント賞ジャージ獲得ももちろん嬉しいよ。

第4ステージ結果
1 ティモシー・ガイ(オーストラリア、アタッキ・チーム グスト) 3時間52分50秒
2 キャメロン・ベイリー(オーストラリア、アタッキ・チーム グスト) +9秒
3 ジャン・スンジェ(韓国、LX・IIBS サイクリングチーム) +9秒
4 ウェズリー・サルツバーガー(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +9秒
5 ジェームス・グラスプール(オーストラリア、チーム ノボノルディスク) +11秒
6 鈴木龍(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) +11秒
10 伊丹健治(キナンサイクリングチーム) +11秒
19 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +11秒
45 阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム) +27分36秒
51 野中竜馬(キナンサイクリングチーム) +27分36秒

個人総合成績
1 オレグ・ゼムリャコフ(カザフスタン、ヴィノフォーエバー・SKO) 17時間36分23秒
2 エフゲニー・ギディフ(カザフスタン、ヴィノフォーエバー・SKO) +19秒
3 バトムンフ・マラルエルデネ(モンゴル、テレンガヌ サイクリングチーム) +21秒
4 ジェシー・ジェームス・イワート(オーストラリア、セブンイレブン・サヴァ RBP) +22秒
5 マルセロ・フェリペ(フィリピン、セブンイレブン・サヴァ RBP) +1分22秒
6 鈴木龍(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) +1分25秒
8 伊丹健治(キナンサイクリングチーム) +1分25秒
13 ウェズリー・サルツバーガー(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +6分43秒
19 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +10分5秒
44 野中竜馬(キナンサイクリングチーム) +37分43秒
48 阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム) +48分48秒

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