ツール・ド・フィリピン第3ステージサルツバーガーがスプリント制しキナンに今季初勝利もたらす 伊丹は総合6位浮上

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 UCI(国際自転車競技連合)コンチネンタルチーム「キナンサイクリングチーム」が出場するツール・ド・フィリピン(UCIアジアツアー2.2)は2月20日、第3ステージが行われ、マッチスプリントを制したウェズリー・サルツバーガーがステージ優勝を飾り、キナンに2016年初勝利をもたらした。また、総合7位でスタートした伊丹健治もメーン集団で危なげなくフィニッシュ。順位を1つ上げ、総合6位で最終ステージを迎えることとなった。

ツール・ド・フィリピン第3ステージでマッチスプリントを制したウェズリー・サルツバーガー(キナンサイクリングチーム) Photo: Daebong KIMツール・ド・フィリピン第3ステージでマッチスプリントを制したウェズリー・サルツバーガー(キナンサイクリングチーム) Photo: Daebong KIM

 大会は後半に入り、総合成績を見据えて有力チームが駆け引きを始めた。そんななかで臨んだステージは、細かなアップダウンこそ続くものの、カテゴリー山岳は設けられておらず、スピードに富んだ展開になると予想された。

レース前、写真撮影に応じるウェズリー・サルツバーガー Photo: Syunsuke FUKUMITSUレース前、写真撮影に応じるウェズリー・サルツバーガー Photo: Syunsuke FUKUMITSU
スタートしていく選手たち Photo: Syunsuke FUKUMITSUスタートしていく選手たち Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 約8kmのパレード走行を経てアクチュアル(正式)スタートが切られると、すぐに6人が逃げグループを形成。キナン勢はこの中にサルツバーガーが加わった。いずれも前日の第2ステージでトップから大きく後退した選手たちだったこともあり、メーン集団は6人の抜け出しを容認した。

ウェズリー・サルツバーガー(先頭)が入った逃げグループ Photo: Syunsuke FUKUMITSUウェズリー・サルツバーガー(先頭)が入った逃げグループ Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 この日1回目のスプリントポイント(60km)では動かなかったサルツバーガーだったが、メーン集団とのタイム差が最大で約7分に広がり、ステージ優勝のチャンスがあると見るや、 2回目のスプリントポイント(102.1km)を1位通過。メーン集団は、リーダージャージのオレグ・ゼムリャコフ(カザフスタン)擁するヴィノフォーエバー・SKOが主にコントロール。無理にタイム差を縮めようとしない姿勢に、他チームが痺れを切らし集団の先頭に位置する場面こそあったが、タイム差が大きく縮まるにはいたらない。

逃げに大きなリードを与えたメーン集団 Photo: Syunsuke FUKUMITSU逃げに大きなリードを与えたメーン集団 Photo: Syunsuke FUKUMITSU
メーン集団内で走る(右から)伊丹健治、阿曽圭佑、野中竜馬 Photo: Syunsuke FUKUMITSUメーン集団内で走る(右から)伊丹健治、阿曽圭佑、野中竜馬 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 再び約8分にタイム差が広がったこともあり、5人となったサルツバーガーたちの逃げ切りは濃厚に。ラスト20kmを切ると、ヴィノフォーエバーのアシストがメーン集団の牽引をやめたこともあり、5人の中からステージ優勝者が出ることは決定的となった。

 ラスト15kmを切ってからは5人の間でアタックが散発するが、いずれも決定打にはいたらない。そして勝負が大きく動いたのは、フィニッシュまで残り3kmを切ったあたり。アタッキ・チームグストのガイ・カルマ(オーストラリア)のアタックにサルツバーガーが乗じ、2人で抜け出すことに成功。互いに先頭交代を繰り返しながら、いよいよラスト1kmを迎えた。

会心の勝利に充実した表情のウェズリー・サルツバーガー Photo: Syunsuke FUKUMITSU会心の勝利に充実した表情のウェズリー・サルツバーガー Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 勝利への執念を見せる2人だが、ヨーロッパなど世界最高峰のレースを数多く経験してきたサルツバーガーに一日の長があった。残り300mで早めのスプリントを仕掛けたカルマをしっかりとチェックし、自らのタイミングで加速。フィニッシュラインの数十メートル手前で勝利を確信し、歓喜のゴールを果たした。

 ワールドクラスの実績を誇るサルツバーガーとはいえ、UCIレースでの勝利は実に7年ぶり。キナン加入2戦目での大きな勝利に、ポディウムでは笑顔がはじけた。そして、フィニッシュポイントも加算し、13点でポイント賞ジャージも獲得。残る1ステージはジャージをかけた戦いにもなる。

 総合上位陣が含まれたメーン集団は、サルツバーガーから3分10秒差でレースを終えた。チーム総合最上位の伊丹健治は16位でフィニッシュし、同タイムの選手間でのステージ順位合算により総合6位にアップした。ほか3選手は、終始メーン集団内で伊丹のサポートに徹し、ジャイ・クロフォードが伊丹と同タイムの30位、阿曽圭佑が伊丹らから10秒差の40位、同じく野中竜馬が48位だった。結果、キナンはチーム内上位3人の合計タイムで争われるチーム総合において、このステージの1位に輝いた。

総合上位の伊丹健治のフォローに徹した野中竜馬 Photo: Syunsuke FUKUMITSU総合上位の伊丹健治のフォローに徹した野中竜馬 Photo: Syunsuke FUKUMITSU
レース後、報道陣に対応するウェズリー・サルツバーガー Photo: Syunsuke FUKUMITSUレース後、報道陣に対応するウェズリー・サルツバーガー Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 大会は21日に行われる第4ステージでフィナーレを迎える。レガスピを発着地とする 160.20kmのコースは、レガスピのシンボルであるマヨン山の麓を2周回。厳しい上りが複数控えており、クイーンステージの呼び声も高い。山岳ポイント、スプリントポイントがそれぞれ2カ所ずつ待ち受けており、各賞ジャージ争いにも拍車がかかるはずだ。よい内容で第3ステージまでを終えたキナンとしては、伊丹の総合順位浮上、3ポイント差で4位につけるクロフォードの山岳賞、そしてサルツバーガーが着用するポイント賞ジャージと、大きなチャンスをもって最終日に挑むこととなる。

 第3ステージを終えたキナンの石田哲也監督と選手たちは次のようにコメントした。

■石田哲也監督 シーズン2戦目での勝利は、今後のレースに勢いをもたらす最高の結果だ。スタート直後からウェズ(サルツバーガー)を含む脚のある選手がそろったことが、逃げ切りにつながった要因だろう。終盤はウェズの上手さが際立っていた。残す最終ステージは、伊丹を少しでも総合上位に送り込んで、何としてもUCIポイントを獲得したい。
■ジャイ・クロフォード パーフェクトなステージだった。何よりもウェズの勝利に尽きるね。力のあるウェズが逃げグループに入ったことによって、リーダーチームのヴィノフォーエバー勢の脚を使わせることができたし、われわれはイージーに1日を過ごすことができた。明日、伊丹さんのために力を出し切ることができそうだ。
■阿曽圭佑 第2ステージよりは調子がよかった。脚が動いている感覚があったし、伊丹さんのアシストとして集団内で走ることができた。あと1ステージは力を出し尽くしたい。
■伊丹健治 チームとしてパーフェクトな動きができたのではないか。ウェズが逃げてステージ優勝したと同時に、僕たちは集団内で回復に努めることができた。第2ステージの落車ダメージも減ってきているので、最終ステージは少しでも上位を目指して走りたい。
■野中竜馬 伊丹さんのフォローに終始することができ、大きなトラブルなくステージを終えられた。最終ステージも伊丹さんの総合上位を目指してしっかりと走りきりたい。個人的には調子がよく、内容のある走りができている。
■ウェズリー・サルツバーガー 絶好のレース展開になることは走っている間から分かっていたんだ。ラスト3kmを切ってからのアタックは、カルマと申し合わせていたこと。彼の動きに合わせて僕もスピードアップしたんだ。スプリントになれば勝つ自信があったし、先に仕掛けたカルマをかわすことはなんら問題がなかったよ。

第3ステージ結果
1 ウェズリー・サルツバーガー(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) 4時間27分55秒
2 ガイ・カルマ(オーストラリア、アタッキ・チーム グスト) +2秒
3 ジョニファー・ラヴィーナ(フィリピン、セブンイレブン・サヴァ RBP) +20秒
4 ダニエル・ホワイトハウス(ニュージーランド、テレンガヌ サイクリングチーム) +20秒
5 クリストファー・ウィリアムス(オーストラリア、チーム ノボノルディスク) +25秒
6 ルストム・リム(フィリピン、フィリピンナショナルチーム) +3分7秒
16 伊丹健治(キナンサイクリングチーム) +3分10秒
30 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +3分10秒
41 阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム) +3分20秒
48 野中竜馬(キナンサイクリングチーム) +3分20秒

個人総合成績
1 オレグ・ゼムリャコフ(カザフスタン、ヴィノフォーエバー・SKO) 13時間43分22秒
2 エフゲニー・ギディフ(カザフスタン、ヴィノフォーエバー・SKO) +19秒
3 ジェシー・ジェームス・イワート(オーストラリア、セブンイレブン・サヴァ RBP) +22秒
4 バトムンフ・マラルエルデネ(モンゴル、テレンガヌ サイクリングチーム) +23秒
5 鈴木龍(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) +1分25秒
6 伊丹健治(キナンサイクリングチーム) +1分25秒
13 ウェズリー・サルツバーガー(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +6分45秒
24 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +10分8秒
30 野中竜馬(キナンサイクリングチーム) +10分18秒
47 阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム) +21分23秒

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