健脚を発揮し、参加者のサポートも「自転車の楽しさを思い出した」 団長安田さんが「サイクリング屋久島」で完全復活宣言

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 2月21日に開催された「2016サイクリング屋久島」にゲスト出場したお笑いトリオ「安田大サーカス」の団長安田さんは、今大会に特別な思いを抱いて臨んだ。昨年7月にトライアスロン大会中の落車事故で大けがを負って以来、初めて参加する自転車ライドイベントだったからだ。自らの健脚を試すように坂道を駆け上った団長は、一方で大勢の参加者との交流を楽しみ、またコース上でトラブルにあった参加者を助ける一幕も。「トラブルが嫌な思い出になったらつまらないからね」と語る姿に、大けがを乗り越えて復活を果たした団長のたくましさと優しさが漂っていた。

エイドステーションの前で参加者たちに声をかける団長安田さん Photo: Kento KURA / SANKEI SPORTSエイドステーションの前で参加者たちに声をかける団長安田さん Photo: Kento KURA / SANKEI SPORTS

コース上でマッサージ&パンク修理

 アップダウンを繰り返す島一周100キロの部のコースには、序盤から強烈な向かい風が吹きつけた。そんな厳しいコンディションに立ち向かい、快調に自転車をこぎ進める団長安田さん。力強いペダリングは、コース後半の難所、西部林道にさしかかっても一向に衰えなかった。

坂道を駆け上る団長安田さん Photo: Kento KURA / SANKEI SPORTS坂道を駆け上る団長安田さん Photo: Kento KURA / SANKEI SPORTS
参加者をサポートする「マヴィックカー」と並んで走る団長安田さん Photo: Kento KURA / SANKEI SPORTS参加者をサポートする「マヴィックカー」と並んで走る団長安田さん Photo: Kento KURA / SANKEI SPORTS

 そんな団長安田さんが2度、コース上で脚を止めて自転車を下りた。

途中、足がつって座り込んでいたサイクリストの脚をマッサージする団長安田さん。的確なケアで、時折アスリートの顔がのぞく Photo: Kyoko GOTO途中、足がつって座り込んでいたサイクリストの脚をマッサージする団長安田さん。的確なケアで、時折アスリートの顔がのぞく Photo: Kyoko GOTO

 1度目は、西部林道の上り坂で、脚がけいれんして休んでいる参加者を見かけたときだ。自転車の傍らで脚を伸ばして座り込んでいる男性のそばへ迷わず駆け寄り、「大丈夫ですか?」と声をかけて、けいれんしている脚をもみほぐし始めた。「脚を使い果たしちゃいましたね~」と声をかける団長安田さん。「いや~、もう売り切れました」と苦笑いする男性に対し、「あとちょっとでてっぺんですから、頑張りましょう。水分は残ってますか?」などと励ました。

女性の参加者のパンク修理を手際よく手伝う団長安田さん。「早く行かないと次のエイドステーションのカレーがなくなっちゃうからね~」 Photo: Kyoko GOTO女性の参加者のパンク修理を手際よく手伝う団長安田さん。「早く行かないと次のエイドステーションのカレーがなくなっちゃうからね~」 Photo: Kyoko GOTO

 2度目は、タイヤがパンクした参加者を見かけたときだ。次のエイドステーションまであと2km弱という地点でパンクし、自転車を押して歩こうとしていた女性に声をかけた。「僕、修理手伝いましょうか?」

 慣れた手つきでタイヤを着脱する団長安田さん。お礼の言葉を述べる女性に対し、「トラブルはつきもの。それで嫌な思い出になったら、せっかく来たのにつまらないですからね」と笑顔で応じた。そして「俺だって落車したときは、たくさんの人のお世話になったし…」と、自分が事故で救助されたときに重ね合わせて、黙々と作業をしていた。

「くれぐれも無理をしないで」

50キロの部をスタートを待つ小中学生たちに「みな気いつけて安全運転でな~」と声をかける団長安田さん Photo: Kyoko GOTO50キロの部をスタートを待つ小中学生たちに「みな気いつけて安全運転でな~」と声をかける団長安田さん Photo: Kyoko GOTO

 スタート前、団長安田さんは開会式で「くれぐれも無理をしないで」と呼びかけた。「競走ではなくサイクリングを楽しむイベントなので、安全にゴールを目指してください。早く走っても誰もほめてくれないし、ケガをしたらまわりの人に多大な迷惑をかけるだけです」と、自らの事故の体験を交えて挨拶し、会場の笑いを誘った。

 人気者だけに、エイドステーションへ立ち寄るたびに周囲から声をかけられた。多かったのは、やはり昨年の事故によるケガの影響を心配する声だ。

 「落車のニュース驚きました。元気になってよかったですね」
「もう完治したんですか?」
「また自転車に乗ることは怖くはなかったですか?」

東京から親子で参加した庄田守男さんと有里さんに挟まれる団長安田さん。「うちの娘もこうなってほしいわ~」 Photo: Kyoko GOTO東京から親子で参加した庄田守男さんと有里さんに挟まれる団長安田さん。「うちの娘もこうなってほしいわ~」 Photo: Kyoko GOTO
小さい子どもともすぐに仲良くなる Photo: Kento KURA / SANKEI SPORTS小さい子どもともすぐに仲良くなる Photo: Kento KURA / SANKEI SPORTS

 そんな声に対し、団長安田さんは「強打した脳の定期検査を受けているけれど、もうとくに問題はないです」と回復ぶりを説明。「落車した瞬間、すぐ気を失ったので、そのときの記憶がないんですよ。だから恐怖すら覚えていないんです」などと参加者の質問に丁寧に答えつつ、「温かい声をかけてもらえてありがたい」と参加者の気遣いに感謝を示していた。

エイドステーションでは屋久島名物のスイーツの他、温かい豚汁も用意されていた Photo: Kyoko GOTOエイドステーションでは屋久島名物のスイーツの他、温かい豚汁も用意されていた Photo: Kyoko GOTO
エイドステーションで「美味しそうなものがたくさんあって食べ過ぎてしまいそう」と喜ぶ団長安田さん Photo: Kyoko GOTOエイドステーションで「美味しそうなものがたくさんあって食べ過ぎてしまいそう」と喜ぶ団長安田さん Photo: Kyoko GOTO
サポートスタッフとして参加した鹿屋体育大学自転車競技部の皆さんに、思わず「かっこええわ~」と近寄る団長安田さん Photo: Kyoko GOTOサポートスタッフとして参加した鹿屋体育大学自転車競技部の皆さんに、思わず「かっこええわ~」と近寄る団長安田さん Photo: Kyoko GOTO

事故にあったからこそ再挑戦

 自転車の走りにブランクを感じさせないのは、今年5月のトライアスロン大会出場に向けて、すでに3カ月前にトレーニングを再開していたからだ。屋久島入りする前日の19日まで水泳に励み、大会前日の20日夜にはホテルでランのトレーニングをするなど、体を追い込んでいた。

コース最大の難所、西部林道の峠を走る団長さん。道中でヤクザルを見つけて驚きの表情 Photo: Kento KURA / SANKEI SPORTSコース最大の難所、西部林道の峠を走る団長さん。道中でヤクザルを見つけて驚きの表情 Photo: Kento KURA / SANKEI SPORTS
一定のペースで坂をぐいぐい上っていく団長安田さん Photo:Kyoko GOTO一定のペースで坂をぐいぐい上っていく団長安田さん Photo:Kyoko GOTO

 大けがから復帰してすぐに、事故にあったトライアスロンを再び目指す理由について、団長安田さんは「事故にあったからこそです。全てはトレーニングの結果であり、自分の責任。トライアスロンが危ない競技だと誤解されたくないし、僕自身もう一度納得のいく形でリベンジしたいんです」と語る。その意志は固く、だからこそこれまでのようなゲスト選手としてではなく、一般参加選手として出場を目指し、自分なりの結果を出したいのだという。

 そんな思いを明かしつつ、鍛え上げた脚で坂をぐいぐいと坂道を上っていく団長安田さん。それでも、参加者を追い抜くときには、一人ひとりを気遣って声援を送ったり、坂を上るときの体勢やペダルの効率的な回し方をさりげなく伝えたりしていた。

「やっぱり自転車っていいな」

笑顔で走る団長安田さん Photo: Kento KURA / SANKEI SPORTS笑顔で走る団長安田さん Photo: Kento KURA / SANKEI SPORTS

 100kmを走り切ってメーン会場に戻り、「やっと着いた~!!」と歓声をあげた団長安田さん。「実は最近、トレーニングで自分を追い込む練習ばかりしていたので、こうして多くの人と楽しく走れたのは久しぶりでした」と完走を喜んだ。

 「エイドステーションで美味しいものを食べたり、景色を楽しみながら走ったりして、いろんな人たちと触れ合うことができ、やっぱり自転車っていいなと思いました。今回のイベントに参加できたことで、忘れていた自転車の楽しさを改めて認識しました」と感想を語り、最後に「リフレッシュできて、体力的にも気持ち的にも全快。完全に復活です!」と活気あふれる笑顔を見せた。

参加者に囲まれて気勢を上げる団長安田さん(中央) Photo: Kento KURA / SANKEI SPORTS参加者に囲まれて気勢を上げる団長安田さん(中央) Photo: Kento KURA / SANKEI SPORTS

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