サンケイビズ【ビジネスのつぼ】より子供用「鉄道ヘルメット」を生んだカナック企画 「格好良い」アイテムで安全守る

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鉄道ヘルメット「E5系はやぶさ」鉄道ヘルメット「E5系はやぶさ」

 幼稚園の頃には補助輪付きの自転車に乗っていた子供も、小学1、2年になると、補助輪なしでも乗れるようになる。子供が自転車に乗るときには、ヘルメットをかぶることになっているのだが、実際にかぶっている子供はそれほど多くはない。「面倒だから」「格好が悪い」など、かぶらない理由はさまざま。オリジナルグッズの企画開発を手がけるカナック企画は、そうした子供たちの気持ちに応えた自転車用ヘルメット「鉄道ヘルメット」を開発した。

新幹線先頭車両をイメージ

 ヘルメットには、新幹線の先頭車両をイメージしたデザインが施されている。子供たち、特に男児は動くものが大好き。なかでも「子鉄」と称されるように、新幹線などの鉄道好きな子供は多い。

 カナック企画は2015年3月、東北新幹線E5系「はやぶさ」(緑)、秋田新幹線E6系「こまち」(赤)、北陸新幹線E7系「かがやき」(青)を発売。同年9月には、東海道・山陽新幹線で線路や架線の状態を調べる試験車両「923形ドクターイエロー」(黄)を登場させた。

「鉄道ヘルメット」(E6系こまち)「鉄道ヘルメット」(E6系こまち)
鉄道ヘルメット「ドクターイエロー」鉄道ヘルメット「ドクターイエロー」

 いずれもMサイズ(頭囲50~56センチ)でダイヤル式のサイズ調節アジャスターを装備し、3~8歳児なら着用可能だ。子供の首への負担を減らせるよう、約300グラムの軽量設計とした。価格は3500円(税別)で、4商品合わせて計4000個以上が売れた。

 カナック企画はもともと、液晶テレビなど自動車用AV機器用の取り付けキットの企画や開発、設計などを手がけていた。そんな会社がなぜ、子供用自転車ヘルメットを開発したのか。そこには金子高一郎社長(45)の地元への熱い思いがあった。

新幹線の先頭車両をモチーフにしたカナック企画の「鉄道ヘルメット」について語る金子高一郎社長=東京都葛飾区新幹線の先頭車両をモチーフにしたカナック企画の「鉄道ヘルメット」について語る金子高一郎社長=東京都葛飾区

 本社のある東京都葛飾区は、平らな地形で坂道が少ないことから、通勤や通学、買い物で自転車が活躍している。区内にはJRや京成電鉄などの鉄道が通っているが、いずれも地下鉄と比べて駅と駅の間が長く、2km前後あることも少なくない。地面を蹴って進む「ストライダー」も人気を集めている。子供たちにとって、ヘルメットは必需品といえ、金子さんは「子供が好きな鉄道のイラストを入れたヘルメットなら、かぶってもらえるのでは」と考えた。

 金子さんは2013年秋、葛飾区の異業種交流会で、あいおいニッセイ同和損害保険東京東支店葛飾支社の営業担当職員、橋本源則さん(42)と出会った。そのとき、子供の自転車事故が招く悲劇を聞いた。

 法律上、保護者は13歳未満の子供が自転車に乗る際にヘルメットを着用させる努力義務がある。もし、子供がヘルメットを着用しないで事故を起こした場合、親が「交通ルールについてきちんと指導していない」として監督責任を問われ、被害者に数千万円の賠償金を支払わなければならないケースもあるというのだ。

 「子供たち、そしてその親を悲しい交通事故から守りたい」。金子さんの強い思いが商品化を後押しした。

 そもそも、鉄道に関するグッズを企画・製作・発売するためには、まず鉄道会社の許諾を得ないといけない。早速、許諾を得るために確認したところ、許諾に動いている会社が他にもあることを知った。

デザインを工夫、販路を拡大

北陸新幹線で運行しているE7系かがやきの「鉄道ヘルメット」北陸新幹線で運行しているE7系かがやきの「鉄道ヘルメット」

 鉄道グッズは単価が高くても数千円で、利幅は薄い。このため、採算ベースに乗せるためには、早く商品化することが絶対条件だった。すでに北陸新幹線長野-金沢間の開業時期が決まっており、少なくとも15年春までに商品化しないと商機を逃すことになる。

 ヘルメットメーカーから材料の供給にめどをつけ、デザインの検討を進めた。しかし、許諾先のジェイアール東日本企画は、競合他社のデザインと似ているとして首を縦に振らなかった。競合他社が、ヘッドライトを含めた先頭車両のデザインで商品化を考えていることは容易に想像できた。

 そこで金子さんは、デザインからヘッドライトを外し、ヘルメットの側面に車両のイラストをあしらい、後部に車両形式や列車名を入れるというアイデアを採用。最初の交渉から4カ月後、ようやくジェイアール東日本企画に認められた。

 ヘルメットは徐々に販路を広げ、自転車専門店や家電量販店、鉄道グッズ店でも置かれるようになった。金子さんは「このヘルメットがきっかけで、親子で自転車の安全について考えるきっかけになれば」と話している。(松村信仁)

SankeiBizより)

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