千葉競輪に所属、来春のデビュー目指すハンマー投げ日本一の野口裕史さんが競輪へ 練習仲間の琴奨菊関に「負けられない」

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 室伏広治選手が20年間王者として君臨し続けた陸上男子ハンマー投げの日本選手権を2015年に制し、「21年ぶりの新王者」として話題になった千葉県佐倉市在住の野口裕史さん(32)が、千葉競輪場の所属を希望して受験した日本競輪学校(静岡県伊豆市)の適性試験に今月合格した。自身のトレーニングを取り入れた大相撲の大関・琴奨菊関(31)が初優勝を果たしたのを見て、「自分も負けられない」と来春以降のデビューを目指して燃えている。(産経新聞千葉総局 山本浩輔)

室伏不在の優勝

千葉競輪場で自転車の練習に励む野口裕史さん =2016年1月7日(山本浩輔撮影)千葉競輪場で自転車の練習に励む野口裕史さん =2016年1月7日(山本浩輔撮影)

 野口さんは北海道北斗市出身。順天堂大学に進学後、さくらキャンパス(印西市)で文武両道に励み、3年次に全日本インカレで優勝。「ハンマー投げで、食べていけるかもしれない」と、さらなる高みを目指す決意を固めた。

 大学時代のベストは67mほど。「まずは70m」と実業団に入ったが、なかなか飛距離が伸びず、ハンマー投げを始めて憧れ続けた室伏選手の背中は遠い。日本選手権では2006年以降、5年連続で3位。2011年からは70mを超えて3年連続の2位。2014年の同選手権はけがの影響もあり屈辱の5位となった。

 「やれることをすべてやって来年に臨もう」。走ったり飛んだりするトレーニングにも力を入れ、これまでにない練習量をこなした。こうして万全の態勢で臨んだ昨年6月の日本選手権は、直前に室伏選手が欠場を発表。「室伏さんと戦える数少ない大会。ショックでした」

 結局、「不戦勝」もあってこの大会に優勝。初の日本王者となった。「周りからはたたえられましたが、世界陸上の参加標準記録(76m)には遠く及ばない71.98m。ほめられて『もう直すところがないのか』という思いになりました。五輪は遠く先が見えない。そんな私を雇う会社にも申し訳ない。辞める決意ができました」

千葉の象徴に

陸上日本選手権の男子ハンマー投げで優勝した野口裕史さん =2015年6月27日、新潟市のデンカビッグスワンスタジアム(共同通信)陸上日本選手権の男子ハンマー投げで優勝した野口裕史さん =2015年6月27日、新潟市のデンカビッグスワンスタジアム(共同通信)

 ハンマー投げの練習の合間、住居に近い千葉競輪場で、趣味として自転車に乗っていた経緯もあり、鍛え上げられた肉体を武器にできる次なるステージに競輪を選んだ。転機にあたって思いだしたのは、2009年の年の瀬に観戦した競輪レースの最高峰「KEIRINグランプリ」だった。大学陸上部の先輩で、千葉競輪に所属する海老根恵太選手が初出場で優勝し、「かっこよさに鳥肌が立った」。

 妻の明子さん(32)と結婚し、長女・結萌(ゆめ)ちゃん(2)の子宝にも恵まれている。「家族もいるし、年を重ねた上での挑戦。『駄目だった』では済まない」と並々ならぬ決意を抱いている。

 競輪学校の適性試験は、千葉市が廃止方針を決めている千葉競輪場の所属として受験、合格した。著名人ということもあり、周囲の先輩選手らから「千葉の象徴になってほしい」と期待されている。

 「千葉競輪場は、所属選手が出場するとファンからすごい声援が送られる。是非存続してほしいし、ここで戦いたい」と強く願う。

千葉競輪場のバンクを自転車で走る琴奨菊関 =2016年1月7日(山本浩輔撮影)千葉競輪場のバンクを自転車で走る琴奨菊関 =2016年1月7日(山本浩輔撮影)

 琴奨菊関は、野口さんが行ってきたタイヤや重りを投げたり押したりする体幹トレーニングを半年前から導入。多いときには週に2回、一緒にトレーニングも行う“同志”だ。琴奨菊関も大相撲春場所の優勝インタビューでこのトレーニングが功を奏したと話した。

 「一緒にやってきたトレーニングで学んだ体の使い方は、競輪でも生きる。でも、自転車についてはまだまだ素人。これからのことを考えると不安でいっぱいです」。そう話す言葉とは裏腹に、若手選手のように期待に満ちた表情が印象的だ。

産経ニュースより)

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