聖母の支えと、頑固親父の愛情と

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夏の甲子園で大阪桐蔭(大阪)が光星学院(青森)を破って優勝を決めた瞬間。アマチュアスポーツの報道は勝者にも敗者にも優しい =2012年8月23日(撮影・松永渉平)夏の甲子園で大阪桐蔭が青森の光星学院を破って優勝した瞬間。アマチュアスポーツの報道は敗者に優しいのが不文律 =2012年8月23日(撮影・松永渉平)

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毎年、春にも夏にも国民的行事として大いに盛り上がる高校野球。新聞やテレビは、都道府県の予選段階から詳しく伝え、甲子園での全国大会は連日、プロ野球並みの大報道が続きます。

 しかし、伝える側のメディアは、プロ野球の報道と高校野球の報道に決定的な差をつけています。それは、プロ野球では負けたチームや期待に応えられなかった選手に手厳しい批判も書きますが、高校野球では、敗者やミスをした選手をできるだけ悪く書かないよう配慮していることです。

 極端な例を挙げると、プロ野球選手が凡フライを落球すると、テレビの「珍プレー特集」で繰り返し放送されて笑いのタネにされることすらありますが、高校野球で落球があっても、メディアはできるだけ追及しないよう気遣うものです。プロ野球選手は、素晴らしいプレーを見せることを職業にして報酬を得ているのだから、ふがいないプレーは批判されたり笑われたりするし、そうした批判を糧に成長していくものでしょう。

 このようなメディアの“不文律”は、他のスポーツにも当てはまります。プロ化の度合いが高い競技は、プロ野球と同じように厳しい視線で論評する。反対にアマチュア度の高い競技は、高校野球のようにできるだけ良いことを選んで書く傾向があるといえます。

 いま日本のロードレース界は、実業団レースのトップカテゴリーが「Jプロツアー」という名称を掲げているほか、NIPPO、シマノといった企業系チーム以外でもプロを名乗るチームが次々に現れるなど、全体的にプロ化の流れが加速しています。

 現状ではすべてのチームがプロ化したわけではなく、Jプロツアーでも大半はアマチュアのクラブチームなので、まだ過渡期といえるでしょう。しかし、トップを競っているのはほとんどがプロチームの選手たち。彼らプロ選手が活躍し、レベルアップすることが、欧州のプロレースのような世界水準に近づくことを意味します。

 そんなプロのロードレース選手たちを後押しし、競技水準を高めつつファンのすそ野をいっそう広げたい。そのために、ファンやメディアは何ができるでしょうか? 時には、選手が勝っても負けても味方になって支える、聖母のような存在であることも必要でしょう。一方で、愛情を胸に秘めつつ厳しい視線で叱咤する、頑固親父のような存在になる機会も、今よりもっと必要でしょう。その叱咤がプロ選手をいっそう成長させるのですから。(上)

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