工具はともだち<84>スポーツバイクのトルク管理は締め付け値の確認が重要

by 重田和麻 / Kazuma SHIGETA
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力を可視化できるKTCのデジタル型トルクレンチ「デジラチェ」で正しいトルク管理を 写真提供: KTC力を可視化できるKTCのデジタル型トルクレンチ「デジラチェ」で正しいトルク管理を 写真提供: KTC

 カーボン製のスポーツバイクの整備には、もはや必須工具といっても過言ではないトルクレンチ。しかし単純に「ボルトは強く締めとけば大丈夫!」と思っていませんか? それは大きな間違いです。トルク管理の必要性などをご紹介した前回に続き、今回はトルクレンチの特性と、スポーツバイクに最適なトルクレンチをご紹介します。

それぞれのトルクレンチに異なる特性

 前回、トルクレンチには「プレート型(ビーム型)」「ダイヤル型」「プレセット型」「デジタル型」の4タイプがあることをお伝えしました。

 「プレート型(ビーム型)」は比較的安価で正確ですが、使い方には少し慣れとコツがいること、そしてプレートを真上から読まないと数字がずれてしまうため、さまざまな角度で作業を行う自転車にはあまり向いていないことを説明しました。

プレート型(ビーム型)トルクレンチ 写真提供: KTCプレート型(ビーム型)トルクレンチ 写真提供: KTC
ダイヤル型トルクレンチ 写真提供: KTCダイヤル型トルクレンチ 写真提供: KTC
プレセット型トルクレンチ 写真提供: KTCプレセット型トルクレンチ 写真提供: KTC

 さらに「ダイヤル型」は比較的高価なことと、本体が大きく取り回しがしにくい点から、こちらも自転車ユーザーにはあまりおすすめできません。

スポーツバイクにはデジタル型が最適

KTCのデジタル型トルクレンチ「デジラチェ」 写真提供: KTCKTCのデジタル型トルクレンチ「デジラチェ」 写真提供: Kyoko GOTO

 「プレセット型」と「デジタル型」については、いずれも自転車への使用について問題ありませんが、どちらかといえば「デジタル型」がおすすめです。「プレセット型」はあらかじめ設定したトルクに達すると「カチッ」と音がして作業者に知らせてくれる便利なトルクレンチです。ただ、意外と知られていないことですが、音がしたからといってもそれ以上締まらなくなるわけではありません。

感覚に頼るとたいていは締め付け過ぎの状態になる 写真提供: KTC感覚に頼るとたいていは締め付け過ぎの状態になる 写真提供: KTC

 音がした時に手を止めようとしても勢いがついていたり、上から荷重をかけたりしている場合は簡単に締め付けを止めることはできません。その場合、大抵は設定したトルク以上で締め付けられてしまいます。私の経験上、「カチッ」と音がしてから手を止めても、多くの人が2~3割増しで締め付けています。中には5割増しで締めてしまう人もいるくらいです。

「デジラチェ」の液晶画面 写真提供: KTC「デジラチェ」の液晶画面。数値が見えるため、締め過ぎを防止できる 写真提供: KTC

 当然、設定したトルクに近い値で締まっているとは思いますが、トルクレンチの使い方を誤ると、とんでもなく強い力で締め付けている可能性があります。とくに自転車のように指定されるトルクが小さい場合は少しのブレが大きく影響しますから、締め付けたトルクが目で見える「デジタル型」の方がより安心といえます。

レンチの特性を知ることがトルク管理の第一歩

 「えぇ~、もうプレセット型を買っちゃったよ~」という方、安心してください。正しく使えば「プレセット型」でも問題ありませんし、逆にどんなトルクレンチを使っても使い方によっては正確に締め付けられていない可能性があるということ。つまり、トルクレンチを使っていれば安心と思うことが間違いで、トルクレンチの特性を知った上で正しい使い方をすることがトルク管理の第一歩となるのです。

 トルクレンチの正しい使い方や精度に関することなど、重要なお話はまだまだたくさんありますが、それはまた別の機会にお話しするとして、今回でこれまでお伝えしてきました「工具の選び方」は以上となります。

 次回からは、また違ったテーマで工具に関する様々な情報をお伝えしていきます。

Cyclistロゴ入りエプロン付き「デジラチェ工具セット」発売

Cyclist × KTC オリジナルデジラチェ工具セット Photo: SANKEI netShopCyclist × KTC オリジナルデジラチェ工具セット Photo: SANKEI netShop

 CyclistとKTCとのコラボレーションによる自転車メンテナンス向け「オリジナルデジラチェ工具セット」が産経netShopから発売されました。

 デジタル式トルクレンチに、収納用ブローケースや、自転車整備に活躍する5つの付替え用ビットソケット、ソケットホルダー、さらにCyclistとKTCのロゴが入ったオリジナルショートエプロンが付属しています。価格は4万3869円(税込)で、セット内容を別々に購入するよりもグッとお得な設定になっています。

 特にカーボン製のフレームやパーツを使用している方は、ボルトの締め過ぎによる破損リスクも高いため、これを機にデジラチェを導入してみてはいかがですか?(産経デジタル)
→「オリジナルデジラチェ工具セット」商品販売ページ(産経netShop)

重田和麻(しげた・かずま)

KTC(京都機械工具)入社後、同社の最高級ツール「nepros」(ネプロス)の立ち上げに携わった後、販売から企画、商品開発とさまざまな立場で同商品と歩みを共にしてきた。スポーツ自転車は初心者だが、工具についてはプロフェッショナル。これまでの経験を生かして、色々な角度からサイクリストに役立つ工具の情報を提供する。

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