出産後も「現役アスリートの道」選ぶパラリンピック選手の佐藤真海さんがトライアスロンへ転向 2020年東京大会目指す

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 パラリンピック陸上女子走り幅跳びで2012年ロンドン大会まで3大会連続出場した佐藤真海さん(サントリーホールディングス)が、今春から2020年東京パラリンピックを視野にトライアスロンへ本格転向することが分かった。陸上での実績が考慮され、日本トライアスロン連合の強化指定選手に選ばれた。昨年4月末に第1子を出産し、現在は育児休暇中だが、トレーニング量を増やし、春先から実戦の大会に出場する。

「ツール・ド・東北2014」に出場し、スタートするパラリンピック陸上競技日本代表選手の佐藤真海さん。大会では“東北応援大使”を務めた =2014年9月14日 Photo: TOUR de TOHOKU 2014「ツール・ド・東北2014」に出場し、スタートするパラリンピック陸上競技日本代表選手の佐藤真海さん。大会では“東北応援大使”を務めた =2014年9月14日 Photo: TOUR de TOHOKU 2014

 早大在学中に、骨肉腫を発症した右足膝下を切断。義足で走り幅跳びに挑戦し、2004年アテネ大会から3大会連続でパラリンピックに出場した。東日本大震災の被災地の宮城県気仙沼市出身で、2020年東京大会の招致活動では、国際オリンピック委員会(IOC)総会でプレゼンターを務めた。

「ツール・ド・東北2014」の東北応援大使に就任し、記者会見であいさつする佐藤真海さん =2014年6月10日 Photo: Aki KARASAWA「ツール・ド・東北2014」の東北応援大使に就任し、記者会見であいさつする佐藤真海さん =2014年6月10日 Photo: Aki KARASAWA

 また、被災地を舞台にした復興支援サイクリングイベント「ツール・ド・東北」では応援大使を務め、サイクリング界の活性化にも貢献している。

 東京五輪招致実現から1年後の2014年9月7日に大手広告代理店勤務の男性と結婚し、2015年4月に長男を授かった。妊娠後も安定期に入ってからはトレーニングを継続。持久系競技のほうが長く現役生活を続けられることを知り、トライアスロンを目指すことを決めた。当面は国内レースを中心に経験を積むという。

 8月に開幕するパラリンピック・リオデジャネイロ大会に向けた代表選考はすでに始まっていることから、4年後の東京大会を一つの照準に定めてトレーニングを進める。

◇         ◇

「より長く現役を」と持久系へ

 「2020年の招致を成功に導いたのは、アスリートの力が大きかった。大会までの残り4年も、アスリートとして現在進行形でスポーツの素晴らしさ、力を発信しつつ、自分の可能性に挑戦していきたい」

 社会で働く女性として、4月に1歳になる息子を育てるママとして、33歳のパラリンピアンが決断したのは「現役アスリートの道」だった。ママさんアスリートとしての将来を見据えたとき、国内に参考になる文献が見当たらなかった。海外の本を読み、安定期や産後すぐのトレーニング方法を学ぶなど、未知の世界へ足を踏み入れた。「より長く現役を続けたい」と、持久系のトライアスロンへの競技転向を決心した。

 産後2カ月で再開したトレーニングで、当初、高い壁にぶち当たる。出産でホルモンバランスが崩れ、体力も低下した。子供がいることで、気分転換の外出もままならず、自宅で人知れず涙を流したこともある。「出産は大変なことだと改めて思った」。そんな中でも、「置かれた状況で柔軟に競技に打ち込もうと思った」と振り返る。

 1歳上の夫が育児面をサポートしてくれ、早朝からプールに通い、子供が寝た後の深夜にも自宅周辺でランニング。昼間は週に一度、長男を託児所に預け、陸上時代から見てくれるトレーナーの指導を受けるためにジムにも通う。

自ら呼び込んだ東京パラ大会へ強い思い

 本格転向するトライアスロンは、ランと水泳、自転車をこなす過酷な競技。義足になって最初に始めたスポーツが水泳で、全身を使って駆ける走り幅跳びの経験もランに生きる。

「ツール・ド・東北2014」のエイドステーションで食事をふるまう佐藤真海さん =2014年9月14日 Photo: TOUR de TOHOKU 2014「ツール・ド・東北2014」のエイドステーションで食事をふるまう佐藤真海さん =2014年9月14日 Photo: TOUR de TOHOKU 2014

 復帰には先駆者としての思いもある。「日本では、現役を続けるために婚期が遅れたり、出産で競技を断念する女性アスリートがまだまだいると聞く。私自身も20代のころは、出産したら引退かなと思っていた。若いアスリートに、出産の先にも現役の選択肢があることを示せればいい」

 自ら招致を呼び込んだ4年後の東京パラリンピック出場への思いは強い。「これまでのパラリンピックは1人での挑戦だったけど、今度は家族で一緒に乗り越えたい」。トレードマークの笑顔とともに、新たな目標へ突き進む。(産経新聞用京編集局運動部 田中充)

産経ニュースより)

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