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栗村修の“輪”生相談<65>10代男性「自転車整備士、できればプロチームなどの専属整備士になりたいです」

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今は飲食関係で働いています。実はこれから自転車整備士、できればプロチームなどの専属整備士になりたいと思っているのですが、具体的にどのようなことをすればいいのかわかりません。教えていただけると幸いです

(10代男性)

 「ロードレース関連の仕事」で選手に次いで思い浮かびやすいのがチームメカニックだと思います。実際、世界のトップチームならば、メカニックとして食っている人はそれなりにいます。

 けれど同時に、自分でショップを持っていて兼務でチームメカニックをやっているひともいます。パートタイムでメカニックをやっているわけです。国内チームでも、ショップのスタッフがレースの時だけメカニックとして帯同してくれる、というパターンは多いです。

 要は不安定なんですよ。選手じゃないですが、チームがなくなるなどのリスクもある。だから保険は必要ですよね。

 さて、どのようにメカニックになればいいのか、というご質問ですが、結論から言うとまずはショップで働くのがいいと思います。「将来はチームメカニック」と周囲に公言してもいいと思いますよ、全然。

ジロ・デ・イタリア2015にNIPPO・ヴィーニファンティーニのメカニックとして参加した福井響さん Photo: NIPPO Vini Fantiniジロ・デ・イタリア2015にNIPPO・ヴィーニファンティーニのメカニックとして参加した福井響さん Photo: NIPPO Vini Fantini

 なんでかというと、基本的な整備のスキルを身につけられるからです。あと、最新のパーツに触れられますから、情報量も増えますよね。整備士の資格はいくつかありますが、「SBAA PLUS」という資格は基本的な整備ノウハウに加え、交通ルールや競技に関する知識も身につけられますから、質問者さんの想定する整備士になる近道かもしれません。

 でも、ショップで働ければすぐにメカニックになれるかといえば、そうではないんです。別のスキルも必要です。

 自転車ロードレースというスポーツは、スポーツである以前に「年間を通した大きな旅」といっても過言ではありません。メカニック自らがチームカーや機材トラックなどを移動させることが一般的ですから、まずは大陸をまたぐような長時間の運転に慣れないといけません。もちろんその国で効力のある運転免許が必要です。

 それから、メカニックはすごく過酷です。睡眠時間は少ないし、雑用も多い。しかも、選手の機材に責任を負わなければならない仕事です。自分の整備ミスがもとで、選手がレースを失う可能性すらある。そういう心身への負担に耐える力が、メカニックには求められます。だから大変です。

メカニックはプロチームの膨大な機材を管理する。想像以上に過酷な仕事だ Photo: NIPPO Vini Fantiniメカニックはプロチームの膨大な機材を管理する。想像以上に過酷な仕事だ Photo: NIPPO Vini Fantini

 限られた時間の中で、洗車用スペースと水源などを確保し、翌日のスタートまでには選手たちの自転車を最善の状態へと仕上げる。また、整備だけではなくて、ポジションなどのセッティングに関するノウハウも必要ですから、そういった意味ではご自身に選手経験があった方が、選手の気持ちを理解するのは楽だと思います。なかにはミリ単位以下の要求をする選手もいますからね。

 でも、これらの経験は、将来ご自身でショップを経営するような際には大きなアドバンテージになりますから、人生設計の上では重要な選択肢とも言えますね。これは冒頭で言った「保険」になるかもしれません。

 というわけで、メカニックはショップ店員と密接な関係にあるんです。まずはショップ、特にプロチームと強い関係にあるショップの門を叩くのが第一歩ではないでしょうか。がんばってくださいね。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまでお寄せください。

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