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私の落車<カルテ5>飛んできたコンビニ袋をつかもうとして車に衝突 鎖骨にプレートを入れて1年を過ごす

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【落車カルテ5】

Dさん(53歳 男性)
ロードバイク歴:3年(50歳~)

<事故発生状況とその後>
・都内を2人で走行中、前方不注意で駐車中の乗用車に衝突
・転倒し、左の鎖骨を骨折
・プレート式の手術を施し、1年後にプレートは摘出
・完全復帰はしたものの、腕の上げ下げに違和感が残る

深い意味もなく腕を伸ばした瞬間に

気持ちの良い都心サイクリングが一転… Photo: Junji NAKAYAMA気持ちの良い都心サイクリングが一転… Photo: Junji NAKAYAMA

 本格的にロードバイクに乗り始めたのは50歳からです。事故に遭ったのは去年の7月で、乗り始めて3年経っていました。知人と2人で六本木から日比谷公園、虎ノ門を走って、スカイツリーまで行く予定だったのですが、都内にも関わらずこの日は交通量が少なくて、気持よかったですね。暑くも寒くもないちょうどいい気温で、ウキウキしながら走っていました。

 ふと、前方からコンビニ袋が飛んできまして、前を走っていた知人がつかもうとしたのを、取り損ねました。で、後ろの私が、特に深い意味もなく腕を伸ばして、つかんだ瞬間から記憶がありません。その瞬間に事故っていたんです。

事故の瞬間の記憶が無い

 事故の瞬間の記憶が一切ないんです。気づいたら地面に倒れていました。路肩に駐車していた乗用車に衝突したことはわかりました。でも、どんな追突をしたのか、どこをぶつけたのか、受け身がとれたのかも覚えていません。事故後にサイコンを確認したら、時速28kmで走っていたことだけはわかりました。

ポッキリと折れてしまった鎖骨(提供写真)ポッキリと折れてしまった鎖骨(提供写真)

 左の鎖骨を折り、救急車で病院に運ばれました。ヘルメットにはキズはなく、頭を打たなかったのが不幸中の幸いでしたね。

傷つけたクルマはその場で持ち主と確認せよ

 車と事故を起こした際の私からのアドバイスは、「車の傷や凹みの確認は、その場で持ち主としておく」です。というのも、車はすぐに修理工場へ運ばれてしまい、二度と見るチャンスがないから。このことは警察にも言われたんですが、損傷の箇所と数等はその数で持ち主と合意しておかないと、あとで「やった」「やってない」の水掛け論になりやすいんです。

 できれば写真も撮っておくといいでしょう。ただ、私は担架で運ばれてしまって、車の確認はまるでできませんでしたが……。

折れた腕を抱えて、手術を受ける病院を探しまわる

手術直後の痛々しい様子(提供写真)手術直後の痛々しい様子(提供写真)

 病院では、応急処置をされただけ。レントゲンを撮り、ベルトで患部を固定して帰らされました。「手術する病院は自分で探してね」と言われて、「えぇ~、自分でやらなくちゃいけないの!?」と驚きましたね。

 病院はネットで調べ回りました。骨折の治療の方法は、ざっと「保存、ワイヤー、プレート」の3方法があるそうです。保存は患部を固定したまま治す方法で、プレートは金属片を折れた箇所に当ててボルトをねじ込んで固定する方法。ワイヤーは骨の中に針金を通すやり方らしいです。鎖骨骨折といえど、長期間入院させられた知人や、手術がヘタで再手術させられた友人等が周囲にいたので、自分は失敗したくなかったんです。

1日も早く仕事に復帰したくて、手術を決意

 1泊2日で退院できる病院を探し当て、そこに行きました。医者には保存式を勧められましたが、独身のフリーランスなので、長期間ハーネスで固定されたままでは日常生活がキツいし、仕事にも支障が出ます。手術であれば、骨が固定されるぶん、仕事に即復帰できるメリットがあるので、プレート式を選びました。あと、手術したほうが骨はキレイにくっつくそうです。

 ただ、金属片を体内に入れるわけですので、金属撤去の再手術が必要になるのが億劫ではあります。若い人だと3カ月、50代の自分は1年間待つ必要があるようで、今年の6月にようやく撤去できました。

プレートでガッチリ固定された鎖骨。サイボーグの気分(提供写真)プレートでガッチリ固定された鎖骨。サイボーグの気分(提供写真)
手術の傷口は針と糸ではなく、医療用ホチキスで縫合(提供写真)手術の傷口は針と糸ではなく、医療用ホチキスで縫合(提供写真)

腕の違和感がいまだに残る

 手術は全身麻酔で行いました。手術そのものは短時間で終わります。ただ、プレートが体内にあった1年間は、違和感がすごかったですよ。腕が上げにくいし、突っ張る感覚がありました。私は痩せ型なので、余計に違和感があったような気がします。プレートを抜いて5カ月になりますが、違和感は完全に消えていません。

 あと、個人的には「ワイヤーでもよかったのかな?」という後悔もありますね。どちらが良いかはわかりませんが、今はワイヤーという手術方法もあることは、覚えておいて損はないですよ。ちなみに私の周囲のローディは、ワイヤー手術を選んだ者が多い印象です。

個人賠償責任保険は入っておくべし

プレートが入った分、盛り上がった鎖骨部分(提供写真)プレートが入った分、盛り上がった鎖骨部分(提供写真)

 個人賠償責任保険はぜひとも入っておきましょう。手術する病院をさがしながら被害者の方と個人で交渉するのは現実的ではありま せん。弁護士特約もセットにしておくべきです。私の場合、すべて保険会社が対応してくれて、本当に助かった。ちなみに、レンタカー代や修理で35万円ほど掛かりましたが、保険で全額カバーされました。

 生まれて初めての骨折&手術でしたので、手術が無事終わるまでずっと緊張しっぱなしでしたね。自分で病院を探さなくては…、正しい治療を選ばなくては…、早く仕事に戻らなくては…、と気が張っていました。手術が終わって帰宅したら、安堵で涙が出そうになりましたよ。

バンザイの姿勢はできないが、ロードバイクの運転は問題なし

 鎖骨手術後の回復ってどんなかんじか、ですか? プレートを入れたら、三角巾は不要になります。つまり、すぐに日常生活が送れます。手術中も術後も痛みは全くなし。さすがに鎖骨に負荷のかかるリュックは1カ月待ちましたが、ママチャリは手術の2週間後に、ロードバイクは2カ月後に乗れましたね。ワイヤー手術をした友人の一人は、手術の翌日にロードバイクで100キロ走りましたが、真似はしないほうが良いでしょう。

 プレートを抜いた直後は、骨に穴が空いた状態で再骨折しやすいので要注意と言われました。おおよそ、3カ月かけて穴がふさがるそうです。私は完治したのですが、今も完全なバンザイはできなくって、どこかひっかかる感覚はあります。骨の問題ではなく1年間動かさなかったために、リハビリが必要なのでしょう。よって、水泳のクロールはできません。ただ、幸いにしてロードバイクはぜんぜん問題ないので構いませんが(笑)。

取り外したプレートとスクリュー。自転車乗りが大好き?なチタン製(提供写真)取り外したプレートとスクリュー。自転車乗りが大好き?なチタン製(提供写真)
プレートを抜いても手術の傷跡とともに違和感が残る(提供写真)プレートを抜いても手術の傷跡とともに違和感が残る(提供写真)

すべてのローディに伝えたいこと

 ロードバイクに乗る仲間に伝えたいことは、「乗車中は、調子に乗らない&浮かれない」ですね。事故時、私はかなり浮かれていました。都内の景色に見とれて、気持よくハイテンションで走っていたのが、事故の大きな要因だったと思います。

 自分で自分の心をコントロールするのは難しいですが、今は気分が良くなってくると、「おっと、注意!浮かれるな、自分!」と注意散漫にならないよう戒めています。

 

<今回の教訓>

「社会人 仕事に穴は 開けられない 調子に乗らぬ 自制心持て」

(取材・編集 中山順司)

中山 順司中山 順司(なかやま・じゅんじ)

ロードバイクをこよなく愛するアラフォーブロガー。ブログ「サイクルガジェット」を運営。”徹底的&圧倒的なユーザー目線で情熱的に情報発信する”ことがモットー。ローディの方はもちろん、これからロードバイクを始めようかとお考えの方が、「こんなコンテンツを読みたかった!」とヒザを打って喜ぶ記事をつくります。

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