大阪府警も普及に一役高齢者の自転車ヘルメット、おしゃれに安全に 事故男性が訴える「万一の備え」の大切さ

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 帽子のようにデザイン性に富んだ自転車用のヘルメットが、高齢者の間で注目を集めている。自転車で転倒し頭を打ったお年寄りが亡くなる事故が相次ぐ中、購入費用を助成する自治体もあり、大阪府警も独自に「エルダー(年配の)ヘルメット」と名付け、普及に力を入れている。このヘルメットを着けて大事に至らなかった男性は、外出の際に抵抗感のないデザイン性はもちろん、「万一の備え」の大切さを訴える。(産経新聞大阪社会部 矢田幸己)

穴に転落も無事

ヘルメットをかぶって自転車に乗り、転倒時の状況を説明する當山龍観さん =大阪市浪速区(矢田幸己撮影)ヘルメットをかぶって自転車に乗り、転倒時の状況を説明する當山龍観さん =大阪市浪速区(矢田幸己撮影)

 「ヘルメットをしていなかったらと思うと、ぞっとする」。大阪市浪速区戎本町の無職、當山龍観(とうやまたつみ)さん(87)は約1年前、自宅のある市営団地の敷地で起きた事故を振り返る。

 自転車で帰宅する途中、前かごの荷物の重さで、思うようにハンドルを操作できなくなった。その瞬間、水道工事のために掘られた約1m四方の穴(深さ約1m)に転落し、頭を強打した。

 それでも、ヘルメットをかぶっていたことで衝撃が和らぎ、頭は無傷。腕などを打撲したが軽傷で済んだ。この半月ほど前、府警の交通安全イベントでヘルメットの必要性を感じて約8000円で購入し、着用を続けていたことで助かった。

 當山さんは「『事故に遭ったり、こけたりしない』という思い込みが一番危ない。年を重ねると、とっさに反応できない。おしゃれなヘルメットなので、見た目も気にせず安心して外出できる」と話す。

死亡者着用なし

 大阪府警交通総務課によると、府内の自転車事故による今年の死者数は10月末現在で45人。このうち65歳以上の高齢者が21人を占める。前年同期に比べ、高齢者の死者数は7人も増加した。

 21人の8割以上に上る17人は、「頭部損傷」により、命を落とした。同課によると、高齢者が事故に遭うケースでは、加齢で反応が鈍くなって腕などで体を支えられず、頭から倒れてしまうことが多いという。

 21人の中でヘルメットを着用していた高齢者はゼロだった。同課は「一概にはいえないが、ヘルメットをかぶっていれば、被害を軽減できた可能性もある」と指摘する。

広がる購入助成

「ヘルメットがあれば、自転車での外出時も安心」と話す當山龍観さん =大阪市浪速区(矢田幸己撮影)「ヘルメットがあれば、自転車での外出時も安心」と話す當山龍観さん =大阪市浪速区(矢田幸己撮影)

 死亡事故の抑止を目指す府警は昨年、高齢者向け自転車ヘルメットを「エルダーヘルメット」と名付け、着用を呼びかけている。デザイン性に優れたヘルメットは、高齢者も抵抗感なく受け入れているようだ。

 パレード用ユニホームなどを手がける「日本パレード」(東京)と公益財団法人「東京しごと財団」が共同開発したヘルメットは帽子部分が着脱式で、おしゃれ感覚でかぶることができる。約3年前に販売を開始したが、「毎年、倍のペースで売れ行きが伸びている」(日本パレード営業部)という。

 自転車保有率が全国上位の大阪府内では、各自治体が購入助成に力を入れる。

 堺市では市内の65歳以上の高齢者らを対象に、自転車講習会への参加を条件に今年度から上限2000円の購入補助を開始。泉大津市も今年度から購入費用を最大3000円まで助成しており、11月末現在で63件の申請があったという。

 同市の担当者は「ヘルメットの定着に向けては根気が必要。来年度以降も事業を継続して普及に努めていきたい」としている。

高齢者向け自転車ヘルメット

 自転車に乗る高齢者に受け入れられやすいよう、デザインなどを工夫して作られたヘルメット。帽子部分を着脱することが可能で、帽子部分はハンチング型やコサージュ付きのハット型など、さまざまな種類がある。自転車専門店などで扱っており、1個数千円~1万円程度。

産経ニュースWESTより)

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