工具はともだち<82>ハンドルと組み合わせてボルトを回す基本工具「ソケット」 選ぶポイントはサイズや長さ

by 重田和麻 / Kazuma SHIGETA
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 京都機械工具(KTC)として初めてのライドイベント「KTC工具セミナー&TOJ先取りライド」が、Cyclistとのコラボレーションによって11月28日にKTC本社(京都府久御山町)で開催されました。ご参加いただいたお客様のご協力もあり、最後まで無事に終えることができました。参加者のみなさんの楽しそうな姿を見て、企画した甲斐があったなぁと心から感じることができました。

クルマやママチャリ整備には必須

ハンドルと組み合わせて六角ボルトなどを回す「ソケット」ハンドルと組み合わせて六角ボルトなどを回す「ソケット」

 さて、今回の「工具の選び方」は「ソケット」です。英語では 「Socket」、「受け口」や「軸受け」のほか「コンセント」の意味でも使われます。

 ボルトを回すためのとてもメジャーな工具ですが、六角穴付きボルトが主流のスポーツバイクユーザーにとっては使う機会が少ないかもしれません。ただ、基本工具としては重要なアイテムのひとつですし、ロードバイク以外のいわゆる“ママチャリ”などにはまだまだ多く使われています。ロードバイクの整備だけでなく奥さんやお子さんの自転車の整備もたまにはしてみようと思われるお父さんたちには必須のアイテムです。

 ソケットはそれ単独で使用することはほとんどなく、四角い差込にラチェットやハンドル類を差して使います。差込角は6.35(6.3と表記されることが多い)、9.5、12.7、19.0、25.4(mm)が基本サイズで、「sq.(squareの略)」という単位を用います。

六角側に“負けない”四角側を

 なぜこんな中途半端なサイズかと言いますとインチ(25.4mm)が元になっているためです。ISO規格が浸透していくなか、インチは使われることがめっきり少なくなりましたが、こうした形で残っています。

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 1インチを基準に、9.5sq.の差込角を3/8、12.7sq.を1/2と言い表したり、業種によっては、9.5sq.を三分(さんぶ)、12.7を四分(よんぶ)と呼んだりします。

 一般的によく使われるのは9.5sq.のタイプで、自転車やクルマなどに幅広く使われます。一方、狭い所での作業が多い航空機では6.3sq.が多く使われていて、あまり大きなトルクを必要としない自転車も小さな6.3が適しています。主流は9.5sq.ですが、持ち運びなどには結構便利です。

 ただ、差込角を選ぶ際、注意して欲しいのは六角側のサイズとの関係です。四角側は一定なので、六角側のサイズが大きくなると、場合によっては六角側に四角側が負けてしまい、四角の差込角がねじ切れることもあるんです。ですから、6.3sq.では10mm程度、9.5sq.では14mm程度までが理想で、それより大きなサイズを使う場合はワンランク上の差込角を使うことをお勧めします。

使い勝手がいい十二角の口径部分

 ソケットを回す、レンチとの相性も注意すべきポイントです。なぜなら、ソケットにはレンチを差し込んだ際、抜けにくくするための「ボール溝」が設けられており、そこにレンチ側のボールが入るのですが、メーカーによって寸法設定に微妙な差があります。ですから、ソケットとレンチは同じメーカーのものを選ぶ方が無難です。

十二角のソケット十二角のソケット

 そして、種類としては口径部分が六角のものと十二角(二重六角)のものがあります。どちらがいいかというと、私としては十二角をお勧めします。なぜなら、六角ボルトやナットにはめる際に、あまり角度を気にせずに使えるためです。ラチェットを使うことが多い現在では、何度もはめ直す必要がないため十二角の優位性は薄らぎましたが、それでも使い勝手がいいのは十二角だと思います。

 また、「六角の方が強いですよね?」と質問されることがよくあるのですが、答えは「No」。六角も十二角も強度的には同じです。

おすすめはセミロングタイプ

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 そして、長さはスタンダードとロング(ディープともいいます)があり、メーカーによってはセミロング(セミディープ)があります。KTCはスタンダードのソケットの全長が短めに、ロングタイプは少し長めにしています。そのため、中間的なセミロングタイプを設定しています。

 自転車ユーザーにはセミロングタイプが使いやすいと思います。ただし、以前に工具を選ぶ際の基本として「良く使うサイズで、できる限りたくさんの種類の工具を持っておく」ことをおすすめしたように、自転車で使用するサイズは少ないので、六角のサイズバリエーションを増やすより、同じサイズでスタンダード、ロング、セミロングと揃えるのが理想です。また、これも以前ご紹介しましたが、スタンダードのソケットと30mm程度のエクステンションバーを持っていればロングサイズに近い感覚で作業できるので便利です。

 最後に、ソケットの機能で重要なのは六角側の寸法精度です。この精度が悪いとボルトとのガタツキが多くなり、最悪の場合、ボルトをなめてしまいます。ソケットそのものは安くてもパーツをだめにしては本末転倒ですから、信頼性の高いメーカー品を使って下さいね。

重田和麻(しげた・かずま)

KTC(京都機械工具)入社後、同社の最高級ツール「nepros」(ネプロス)の立ち上げに携わった後、販売から企画、商品開発とさまざまな立場で同商品と歩みを共にしてきた。スポーツ自転車は初心者だが、工具についてはプロフェッショナル。これまでの経験を生かして、色々な角度からサイクリストに役立つ工具の情報を提供する。

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